2019年10月10日(木)に舞台劇『からくりサーカス』~デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神編)~が、東京・新宿FACEにて開幕した。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、深澤大河、滝川広大、大西桃香(AKB48)、飯田里穂、小坂涼太郎、横尾瑠尉、大崎捺希、村田洋二郎が登壇した。
原作は、藤田和日郎によって1997年から2006年に「週刊少年サンデー」(小学館)で連載され、2018年にはアニメ化もされるなど、連載終了から13年を経た今でも根強いファンに支持されている人気作品。舞台としては、2019年1月に第1弾「真夜中のサーカス編」を上演。本作はその続編であり、完結編。己に課された運命と戦うことを決意した少年・才賀勝、しろがねとなりながらも自身の生き方を貫き自動人形と戦う青年・加藤鳴海、数奇な運命に翻弄されながら、勝と鳴海により人間的な感情を取り戻したしろがね・エレオノールの3人を中心に、200年前から始まる長き物語の中で、ゾナハ病、しろがね、自動人形などの全ての謎と想いが明かされる。
挨拶に立った才賀勝役の深澤は「前回は守られる側でしたが、今回から戦う側に回ります。前回までは私服と言われるような衣裳でしたけど、やっとちゃんとした衣裳をいただきましたので、がんばって戦いたいと思います(笑)」と成長した勝の役どころらしく決意を示した。
加藤鳴海役の滝川は「前作で感じた思いは本当につらかったです。いろんな人たちが自分のために命を譲って死んでいったり、子供たちが苦しんだりとその思いを乗せて、今回、表現できなかった原作シーンの気持ちと共にしっかりと体現していきたいです。9年間の藤田先生の思いを乗せて、しっかりと僕たちがこの舞台上から皆さまに届けられるようにがんばります」と意気込んだ。
今作では、エレオノール、アンジェリーナ、フランシーヌ、フランシーヌ人形の四役を飯田とWキャストで演じる大西は「日によって役が違うので、そこも見どころです。前作では一緒にできなかった飯田さんとステージに一緒に立てることも嬉しいです」と喜びを露わにすると、「この作品はすごく大きな愛でできていて、この作品から学ぶこともたくさんありました。それを自分なりに皆さんと表現していきたいです」と意気込みを披露した。
その飯田は「後半には新たな登場人物たちも登場してすごく豪華になっております。さらに、いろんな人が愛に向き合い、登場人物たち同士の熱い思いも最後までしっかりと描かれています。前回、桃ちゃんとは一緒にステージに立つことはなかったんですけど、今回は対話するシーンもあるので、ぜひそこも見てほしいです」と見どころを挙げた。
白金(バイジン)役を演じる小坂は「(メインキャストは)変わっていないので、すごく落ち着いています。稽古場も充実していたので、とても楽しかったです。その楽しさで作ったものを全力でぶつけたいと思います。めっちゃおもしろいと思います!」とアピールした。
フェイスレス役で出演する村田は「見どころは愛です。藤田先生の愛から生まれて、それを愛する読者の皆さんがいて、そして、舞台版を作ろうと製作陣とスタッフの皆さんがいて、僕たち役者がようやくこうやって衣裳を着て、舞台をやることができております」と振り返りつつ、「作品自体も愛を多く語っていて、いろんな愛の形があるなと思いながら、この舞台に恋してやっていきたいと思っております」と熱く語った。
本作で初登場となる才賀勝の祖父・才賀正二を演じる横尾は「本作は原作をダイジェスト版のような形でまとめているんですけど、登場人物たちは魅力的な方ばかりです。その登場人物たちの魅力を皆様に伝えようとキャストとスタッフ一同で頑張ってきましたので、ぜひそれが伝わるといいなと思います」と期待を寄せた。
同じく初登場の才賀勝の養父・才賀貞義を演じる大崎は「本作の初演を見させていただいて、まさか自分がこうやってこの舞台の上に立たせていただくとは思っていなかったので、心からうれしく思っております。ジェットコースターような作品で、一瞬も気の抜けない内容となっておりますので、ぜひ楽しみにしてください」と呼びかけた。
本シリーズの大きな魅力の一つが、360度を客席で囲む円形ステージだろう。前作同様に円形ステージの四方から演者たちが登場するだけでなく、今回はさらに舞台の奥に紗幕を用いた張り出し舞台も設置されている。新演出も盛り込まれたサーカスのような空間で繰り広げられるドラマと、新たに登場する“自動人形(オート-マータ)”としろがねが操る“懸糸傀儡(マリオネット)”によって繰り広げられる数々のアクションも、前作からさらにパワーアップしていた。
その魅力を、深澤は「どの表情も必ずお客様の誰かが観ているという、嬉しさがあるので、その場でずっと生きていられる」と語ると、滝川は「四方のどこからキャストが出てくるんだろうとかというドキドキやワクワクがあって、観る場所によって物語の流れが変わってきます」と明かし、大西も「すごく刺激的な舞台で、1回だけ観ても楽しめるけど、違う席から観ると新たな発見もあります」と同調した。
エレオノール/アンジェリーナ役と、フランシーヌ/フランシーヌ人形役を公演ごとにWキャストで演じる大西と飯田。四役を演じることについて、飯田は「360度の舞台は、前回もすごく着替えをしていて印象的でした。今回も役どころによって衣裳の細かいところまでこだわっています」と見どころとして述べた。今作では2人の邂逅シーンも注目となっており、200年にわたる物語の中で、運命の始まりでもあるフランシーヌの物語から続く悲劇と、エレオノールとして懸糸傀儡を使っての力強いアクションを見せるなど、二人はしっかりと演じ分けていた。
そんなお互いについて、大西は「私とは性格が真逆で、自分には持っていないものをすごく持っていて、表現もさすがです。飯田さんの思い切った感じの演技がすごく大好きなので、そこを見習いたいです」と打ち明けると、飯田は「自分にない表現の仕方を持っているなと前作から思っていました。そういったところも話し合いながら、今作もやらせていただきました。Wキャストでできて良かったと思っています」と笑顔を見せた。
そのほかに今作から、自動人形の「最後の四人」としてハーレクイン(田中彪)、カピタン(稲垣成弥)、ブリゲッラ(田中尚輝)、ディアマンティーナ(鈴木桃子)が初登場。
前作に続き、阿紫花英良(健人)、ジョージ・ラローシュ(横井翔二郎/山崎晶吾/松田周 ※トリプルキャスト)、ギイ・クリストフ・レッシュ(越智友己)、あるるかん(三枝奈都紀)、「最古の四人」からパンタローネ(塚本拓弥)、アルレッキーノ(松本寛也)、コロンビーヌ(花奈澪)も登場する。
最後に深澤は「藤田先生の魂がこもっている作品です。人と人とが会話している言葉の中にもすごく熱いものがあります。それを舞台劇として生の人間が演じる、だからこそより熱さが皆様にご提供できると思います」と自信を覗かせると、「新キャストと一緒に『からくりサーカス』というサーカスを見事フィナーレに導きたいので、ぜひともお客様は『サーカスに来たんだな』という思いで楽しんでください」と会見を締めた。
原作者の藤田も認めた役者の熱量あふれる演技で大好評を博した前作から、さらなるパワーアップを見せるドラマとアクションによって、数々の謎を秘めた壮大な物語が感動のフィナーレと共に完結を迎える。
舞台劇『からくりサーカス』~デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)編~は、10月19日(土)まで東京・新宿FACEにて上演。上演時間は、2時間35分(休憩なし)を予定。
【公式サイト】http://officeendless.com/sp/karakuri/
【公式Twitter】@karakuri_stage
(C)藤田和日郎・小学館/舞台劇「からくりサーカス」製作委員会
(取材・文・撮影/櫻井宏充)