藤原竜也×鈴木亮平による”団地大河ドラマ”『渦が森団地の眠れない子たち』

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2019年10月4日(金)に舞台 Sky presents『渦が森団地の眠れない子たち』が東京・新国立劇場 中劇場にて開幕。初日前日に公開ゲネプロと囲み会見が行われ、藤原竜也、鈴木亮平、蓬莱竜太が登壇した。

今作は、2019年上半期の読売演劇大賞において優秀演出家賞にノミネート、2018年に発表した新作『消えていくなら朝』が第6回ハヤカワ悲劇喜劇賞を受賞など、いま演劇界が注目する蓬莱竜太(劇団モダンスイマーズ)が作・演出を手掛ける舞台完全新作。

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団地を舞台とし、小学生という子どもたちの視点からエンターテイメントにあふれた群像劇と人間ドラマを描きたいという蓬莱の思いから生み出された、まったく新しい“団地大河ドラマ”と銘打つ本作。出演は舞台での共演が10年ぶりという藤原竜也と鈴木亮平の同級生コンビで、ダブル主演により小学生役を演じる。

藤原と鈴木に小学生を演じさせるというアイデアについて、蓬莱は「最初に竜也くんとやると聞いていて、もっと演劇の中で竜也くんで遊べないかなと思っていたんです。竜也くんは少年っぽいところが日常的にあるのが魅力だなと思っていたので、そういう魅力をまず存分に出せる、なおかつ亮平くんが入ったことで二人がフィクション度を高めて演劇的に思いっ切りできるシチュエーションとなると、子供でやってもらったらすごく楽しいんじゃないかなと考えたんです」と明かした。

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小学生役と聞いた時の心境を、藤原は「驚きましたが、蓬莱さんの考えはとても興味深くおもしろかったですね。稽古をしていて、自分の気持ちが違和感なく素直にその世界に入っていけました」と述べると、鈴木は「中学生役まではやったことがあるんですけどね。僕は結構アクの強い役を頂くことが多くて、ここまできたかと思いました。残すは幼稚園児か赤ちゃんしかないと思っています(笑)」と笑顔を見せた。

藤原が演じる“キング”と呼ばれる佐山鉄志と鈴木が演じる田口圭一郎は、同じ団地に住む小学生でいとこの関係。圭一郎が低学年で団地に越してきて以来、鉄志とは親友だが、ある事件をきっかけに対立し、次第に団地の王座をかけて争うようになる。

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役柄に関して、藤原は「子どもってひたすら元気じゃないですか、ひたすらはしゃいで遊んで、銃撃戦して、罵り合って、バカバカ言い合って、汚い言葉を連発させて、そうやって物語が進むんです。僕と亮平くんは37歳と同い年ですけど、違和感はないですよ。子どもの心を常に持っているからかもしれないですね」と打ち明け「ただ一つだけ、僕も亮平くんも先輩たちからはまだ若いと言われてますけど、こういう役をやると節々が痛い(笑)。いよいよそういう年齢になってきたのかな」と冗談交じりに語った。

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鈴木は「圭一郎が鉄志のいとこなので、鉄志に特別扱いされているんですけど、ある出来事からいじめられるようになったりとか、そこを圭一郎が逆転してこっちがキングになったりとか、本当に“団地大河ドラマ”と呼んでいる作品です」と語ると「子供の世界にも意外とキラキラしたことだけじゃなくて、結構大変で、パワーバランスがあって、子どもだからこそ本能が出て、戦国時代みたいなところがあったよねというのがテーマにもなっています」と解説した。

お互いの子ども役の印象を尋ねられると、藤原からの「亮平くんはピッタリですよ。もう小学生にしか見えない」との言葉に、鈴木は「ウソ? 俺は結構でかいよ」と答えて笑いを誘った。一方の鈴木は「竜也くんはもう普段が小学生ですから、まったく違和感ないです(笑)。キングほど傍若無人じゃないですけど、優しくなるとガキ大将みたいな感じです」とコメント。

続いて、蓬莱からの「やっぱりイタズラ好きなんですよ。もともと竜也くんは稽古の途中でもいろんなものをぶっ込んでくるので、全然言うことを聞かない。それは、蜷川幸雄さんしか演出家と思っていないからだと思います(笑)」との発言に、藤原も「やめてくださいよ~」と思わず苦笑いを浮かべた。

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また、自分自身の小学生当時を参考にしたかという質問に、鈴木は「僕はしています。今回の時代設定や場所が、僕が育った時代と場所に近いんです。僕は個人的におなかが弱いんですけど圭一郎も同じ設定で、蓬莱さんが見透かしているんじゃないかというところがあります。それと、泣くシーンが多いんですが、大人と違う子どもの泣き方を毎日やっていると、こんな感じで子どものときに泣いていたなというのを思い出しますね」と振り返った。

藤原は「僕は蓬莱さんの台本とセリフに忠実に自分の気持ちを乗っけていけば、ストレートに表現できていけるので、特に振り返るということはなかったですね。台本と向き合うことによって見つけ出していったという感じでした」と語った。

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震災の傷跡が残る団地を舞台に、子どもたちによる何気ない暴力、いじめ、権力争いに恋愛と、大人の世界顔負けの群像劇が人間ドラマとして紡がれ、これぞ“団地大河ドラマ”と思わず納得の舞台。

その中心となるのは、藤原が演じる鉄志と鈴木が演じる圭一郎の二人だ。“キング”と呼ばれ団地に君臨し、その圧倒的な存在感で舞台上を支配する藤原に、鉄志に言われるがままで内向的だが、あることから感情を爆発させ、“キング”に取って代わる圭一郎。蓬莱が当て書きしているというだけあって、二人のイメージに重なるものを感じさせるユニークなキャラクターとなっている。

そんな蓬莱ワールドの見どころについて、藤原は「冒頭から子どもたちの銃撃戦で始まるという、子どもの意味のない暴力が続く描写が描かれているのですが、そういうところからも蓬莱さんが瞬間的に物語に引き込んでくれて、大事なシーンになっています」と挙げ、鈴木は一幕終盤に訪れる鉄志と圭一郎の感情がぶつかり合う殴り合いのシーンを挙げた。

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藤原と鈴木に加えて、鉄志の手下として小学生を演じる岩瀬亮、蒲野紳之助、辰巳智秋、林大貴、宮崎敏行、青山美郷、田原靖子、傳田うにたちと、鉄志が憧れるマドンナ的存在のダイアナを演じる太田緑ロランスと、ダイアナに心酔する少女・楓を演じる伊東沙保という個性派キャスト陣が顔をそろえている。蓬莱が注目する演劇界で活躍する面々というだけに、彼らが舞台上で縦横無尽に小学生として暴れ回る姿も大きな見どころだ。

さらに木場勝己、奥貫薫という実力派俳優が大人たちを演じる。予期せぬ出来事で子どもたちと関わることになる一人暮らしの老人を演じる木場、一人2役で圭一郎と鉄志のそれぞれの母を演じる奥貫。二人の存在が物語をしっかりと抑え、“団地大河ドラマ”の展開に幅をもたらしている。

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子供の視点で描かれた団地という世界。そこにあふれるエンターテインメントを内包した蓬莱ワールドにどっぷりと浸り、生き生きと小学生を演じる藤原と鈴木らが魅せるドラマ。これぞまさしく”団地大河ドラマ”という舞台だ。

舞台 Sky presents『渦が森団地の眠れない子たち』は、以下の日程で上演。

【東京公演】10月4日(金)~10月20日(日) 新国立劇場 中劇場
【鳥栖公演】10月26日(土)・10月27日(日) 鳥栖市民文化会館
【大阪公演】10月29日(火)・10月30日(水) 森ノ宮ピロティホール
【名古屋公演】11月1日(金)~11月4日(月) 御園座
【広島公演】11月7日(木)・11月8日(金) JMSアステールプラザ
【仙台公演】11月16日(土)・11月17日(日) 多賀城市民会館

【公式サイト】https://horipro-stage.jp/stage/uzugamori2019/

(取材・文・撮影/櫻井宏充 )

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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