2019年8月28日(水)に舞台『幽☆遊☆白書』が東京・シアター1010にて開幕した。その初日当日に公開ゲネプロと囲み取材が行われ、崎山つばさ、郷本直也、鈴木拡樹、橋本祥平、荒木宏文が登壇。公演に向けて、意気込みを語った。
原作は「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1990年から1994年に渡り連載されていた冨樫義博の人気作品。コミック累計発行部数は5,000万部を越え、1992年からのテレビアニメも高視聴率を記録し、日本国内のみならず世界各国でも人気を博した。2017年にアニメ化25周年を迎えたことで、現在も様々な形でメディアミックス展開されている。
主人公・浦飯幽助役は崎山、桑原和真役は郷本、蔵馬役は鈴木、飛影は橋本、コエンマ役は荒木が演じる。このほか、雪村螢子役として未来、浦飯温子役として角島美緒、ぼたん役として平田裕香、剛鬼役として新田健太、幻海役としてエリザベス・マリーが出演。脚本・演出は御笠ノ忠次が務める。
まず挨拶に立った崎山は「今、2.5次元という言葉が広まってきましたが、演劇として観てもらいたい部分と合わせて楽しんでください」と呼びかけ、「原作を知っている方は懐かしいなと思ってもらえたり、初めて観る方にはこんな舞台は観たことないと思ってもらえるような舞台です」とアピール。
郷本も「原作を大好きな方にとっては“このシーンがこうなっているんだ”と思ってもらえるでしょうし、原作を知らない方にもとても観やすい内容になっています」と続け、「本当にいいチームワークで毎日稽古をしていました。その“チームワーク感”もかなり本番に影響してくると思うので、ぜひ楽しんでください」と呼びかけた。
鈴木は「小さい頃、僕も読者であり、アニメ版の視聴者でもありました。稽古初日に幽助が登場してしゃべった瞬間、『幽☆遊☆白書』が帰ってきたと肌で感じました」と感慨深げ。「新しいものになっているけれど、どこか懐かしさを感じる『幽☆遊☆白書』を皆様に届けたいなと思っています」と意気込んだ。
橋本は「原作の連載が始まった当初、まだ僕は生まれていなかったんですが、僕の世代も『幽☆遊☆白書』という作品を知っていて、学生の頃には漫画を読んでいました。それだけ幅広い世代の方に愛されている作品ですので、生半可な気持ちでは今ここに立っていません」と気を引き締めた。
役柄のトレードマークでもある“おしゃぶり”をくわえたまま、挨拶に臨んだ荒木は「おしゃぶりが邪魔でマイクの持ち方がいつもと違うんですが・・・」と苦笑いしながらも、「関係者の方々や共演者の友人らからも注目してもらっている作品の本番を迎えられるということは、大きなプレッシャーでしたが、その期待を超えられるような内容のものを稽古期間に作れたので、自信を持って初日を迎えたいです」と気合い十分。
そのおしゃぶりについて、郷本が「本番中も常にくわえたままですか?」と質問すると、荒木は「このまま話していこうと思う。聞き取れなかったら字幕を出すかもな」と役さながらに回答し、笑いを誘った。さらに郷本は「コエンマが劇中でおしゃぶりを落としたら、物語がすべてダメになるんじゃないかと思う(笑)」と冗談を飛ばすと、荒木は「落としちゃいけないとは思う。でも、落ちるかもしれない。舞台は生もの、コワイ」との答え、笑いをさらっていた。
(以下、作品の内容に触れています)
物語は、原作の「霊界死闘編」や「霊界探偵編」の序盤をベースに、蔵馬と飛影の出会いを描く前日譚となる「TWO SHOTS」も盛り込まれており
、霊界探偵として幽助が桑原、蔵馬、飛影と一緒に戦う状況からコエンマが過去を振り返るという構成になっている。
事故に遭って死んでしまった不良学生・浦飯幽助が、霊界案内人のぼたんに導かれ、エンマ大王の息子コエンマから生き返るための試練を乗り越えるストーリーと、幽助が霊界探偵として妖怪盗賊の蔵馬、飛影、剛鬼と戦うストーリーが、原作ファンにとって懐かしの名台詞や名シーンとともにテンポ良くまとめられている。
崎山は、不良ではあるものの正義感が強く弱い者に世話を焼き、幼なじみの螢子に見せる思いと、そしてギャグシーンというギャップのある幽助らしさを存分に舞台上で発揮。郷本は、コメディリリーフ的な役回りで、幽助と反目しながらも男の友情を見せる桑原をユーモラスに表現。
妖怪盗賊でありながら人間との関わりに悲哀を抱く蔵馬を鈴木が涼やかに演じ、冷酷非道で寡黙でありながらバトルでは激しさを吹き出す飛影を橋本が演じきっていた。
そして、コエンマを演じる荒木は、赤ん坊の姿と青年の姿を演じ分けながら笑いを取りつつ物語を引っ張る。また、原作の女性キャラの中でも人気の高いぼたんを平田が好演。無邪気な明るさと可愛らしさでぼたんの魅力を舞台中に振りまいていた。
各役柄の見どころとして、崎山は「霊丸を撃つシーンですね。特に最後に撃つシーンに注目してください」、郷本は「幽霊になった幽助が桑原に乗り移るシーンがあるんですけど、その見事な(郷本と崎山の)コラボレーションをお楽しみに」、鈴木は「妖怪盗賊の蔵馬・飛影・剛鬼の3人が揃っているところは、今作ならではだと思います」、橋本は「額の包帯を取って第三の目“邪眼”を見せるシーンです。この日のために痛みに耐え、目を開かせました(笑)」とそれぞれ挙げていた。
そして、荒木は「演劇としての技術が上がって、いろんな手法でファンタジーの世界を表現出来るようになってきました。今作でも、みんなが出す必殺技など、プロジェクションマッピングなどを用いて『幽☆遊☆白書』の世界をちゃんと表現しています」と真面目に語りつつ、改めて「コエンマがみんなの必殺技を出すシーンが本編中のどこかにあるので注目してください(笑)」とさり気なく加えていた。
『幽☆遊☆白書』の魅力の一つでもある激しいバトル表現は、荒木の言葉どおりに映像表現や小道具などによって演者たちの迫力あるアクションにさらなる盛り上がりをプラス。さらにBGMとして劇中に流れるアニメOP「微笑みの爆弾」が原作・アニメファンの心を躍らせ、華を添える。今なお人気が色あせない少年漫画の傑作が“2.5次元作品”として満を持しての舞台化となった。
舞台『幽☆遊☆白書』は以下の日程で上演。
【東京公演】8月28日(水)~9月2日(月) シアター1010
【大阪公演】9月4日(水)~9月8日(日) 森ノ宮ピロティホール
【福岡公演】9月10日(火)~9月13日(金) ももちパレス
【愛知公演】9月20日(金)~9月22日(日) 一宮市民会館
なお、本作のBlu-ray&DVDが2020年2月27日(木)に発売されるほか、大千秋楽となる9月22日(日)16:00公演では全国の映画館のライブビューイング、WOWOW&ニコニコ生放送にて生中継されることが決定している。詳細は、公式サイトにてご確認を。
【公式サイト】http://officeendless.com/sp/yuhaku/
【公式Twitter】@yuhaku_stage
(C)舞台「幽☆遊☆白書」製作委員会
(C)Yoshihiro Togashi 1990年-1994年
(取材・文・撮影/櫻井宏充)