誰もが知るゴシックロマンの名著を大胆なストーリー解釈でミュージカル化した『フランケンシュタイン』の待望の再演が2020年1月に決定した。7月29日(月)にはファン感謝祭イベントが東京都内で行われ、中川晃教と柿澤勇人、加藤和樹、小西遼生、露崎春女、演出の板垣恭一が登壇した。
人類の生命創造への飽くなき探求と“愛と友情”をテーマにした壮大でスピード感あふれる物語で熱狂的な支持を得た本作。メインキャスト全員が、一人二役を演じることでも話題を呼んだ。
トークセッションには、ビクター・フランケンシュタインとジャックをWキャストで演じる中川と柿澤、アンリ・デュプレと怪物役をWキャストで務める加藤と小西、そして板垣、篠﨑勇己プロデューサーが参加。(以下、ストーリーの一部に触れています)
まず、中川は2016年8月の記者会見で初めて「偉大なる生命創造の歴史が始まる」を柿澤とともに初めて歌唱披露した時のことを振り返り「超緊張していました」とコメント。それを聞いた柿澤は、すかさず「緊張していたんですか?そのわりにはロングトーンがすごかったですよ(笑)」と冗談めかしてツッコミを入れた。
一方で加藤が「舞台上では大変でした。鎖は冷たいし・・・」と本番期間の苦労を明かし、小西は「素肌にアッキー(中川)の汗のシャワーを浴びましたね(笑)」と会場の笑いを誘った。
二役演じたことに対して中川は「お客様が俳優の二つの顔を見られるという点は、ほかの作品とは大きく違うところですね」と語り、柿澤は「カロリー的には相当しんどいですが、違う役をやれるのは楽しいです」と笑顔を見せた。
柿澤は、初演を観劇した女優・大竹しのぶが、柿澤が二幕には出ていないと思い込んでいたうっかりエピソードも披露。「(ジャック役も)俺だよって言ったら、『うそでしょう? あの役者さんは誰なんだろうと思ってたのに』って(笑)」と大竹らしい逸話に会場からも笑いが起こっていた。
中川、柿澤それぞれの演技の違いを聞かれると、加藤は「アッキーさんの場合はともに進んでいくという意志が強くて、カッキー(柿澤)は支えてあげなくちゃという気持ちになります」と話す。
続いて小西は「処刑の前の歌唱シーンでは、カッキーからは『我のために死んでくれ』感があった(笑)。俺のために死んでくれてありがとうという、思いの強さを感じられるからある意味、潔く死ねる」と説明。さらに二人の違いについて「(ビクターの気持ちを)カッキーはお芝居や目で表現してくるけど、アッキーは歌で表現する。アプローチは違うけど、同じものを伝えてくるので、おもしろかったですね」と思いを述べた。
そんな4人に対し、板垣は「みんな勝手なのですが(笑)、僕は意志のある役者さんが大好きなので楽しかったです」とにっこり。
初演で演出をするにあたっては、韓国版の初演版と再演版の「いいところどりをした」そうで「アンリがなぜビクターに自分の体を支えと言ったのか、なんでなんだろうと思っていたので、そこは脚本を足しています」と日本版ならではの要素も盛り込んだことを明かした。
その後、劇中の「クマ、おいしい」というセリフにちなんで、初演時に物販でも販売されていたという「熊カレー」を登壇者が試食する場面も。来場した一般観客に抽選でプレゼントもされた。
なお、この日のイベントでは露崎による「その日に私が」の歌唱も披露された。エレンとエヴァ役で本作に初出演する露崎は「初めてミュージカルに出演させていただきますが、素晴らしい作品で、素晴らしいキャストの皆さんとご一緒できるということで、楽しみにしています。精一杯がんばらせていただきます」と挨拶し、笑顔を見せた。
最後に、それぞれから「身を削って、心を削って作る作品です。覚悟して、前回以上に熱い舞台をお届けできるようにしたいと思います」(小西)、「肉体的にも精神的にも身を削るような作品ですので、1シーン1シーンに命を賭けて、パワーアップした作品をお届けします」(加藤)
「初演時の大千秋楽で、みんながカーテンコールで立って盛り上がってくれたのを覚えています。今回はさらなる熱狂を巻き起こしたいと思います。個人的には1年ぶりのミュージカルなので、ちゃんと準備して、大千秋楽以上の熱狂を東京から始めたいです」(柿澤)、「ミュージカルの魅力、エンターテインメントの魅力、そして私たちの魅力がしっかりと伝わっていくように、チームワークでがんばっていこうと思います」(中川)と熱い思いを語り、イベントの幕を閉じた。
ミュージカル『フランケンシュタイン』は、以下の日程で上演される。
【東京公演】2020年1月8日(水)〜1月30日(木) 日生劇場
【愛知公演】2020年2月14日(金)〜2月16日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
【大阪公演】2020年2月20日(木)〜2月24日(月) 梅田芸術劇場 メインホール
【公式サイト】https://www.tohostage.com/frankenstein/
※舞台写真は2017年初演時のもの
(取材・文・撮影/嶋田真己 写真提供/東宝演劇部)