2019年5月9日(木)に東京・品川プリンスホテル クラブeXにてミュージカル『青春−AOHARU−鉄道』~すべての路は所沢へ通ず~が開幕した。現在までに第3弾まで上演され、今回ついに、西武鉄道を中心としたシリーズ初のスピンオフ作品が誕生。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、登壇したKIMERU、渡辺コウジ、橋本汰斗、滝口幸広、馬場良馬、木村敦、岩城直弥、土方柚希、森山栄治が公演への思いを語った。
初演から西武池袋線を演じているKIMERUは「4作品目で初のスピンオフに、我が西武グループが選ばれ嬉しく思っています。今回(登場する西武グループのキャストが)全員金髪で同じ制服なので、よりキャラクター性を出して、誰が誰だか分かるようにがんばりたいですし、より素晴らしい西武グループが見せられればと思っています」と意気込む。
また「ライブだと思って来ていただけたら。万歳だけでなくコール&レスポンスもたくさん出てきます。そして、今回のテーマは“愛”。今は亡き会長に対する各々の愛が違った形で表現されていて、いろいろな愛を見てもらえると思うので、そちらも楽しんでいただけたらと思います」と“西武の民“に参加を呼びかけた。
西武安比奈線役の渡辺は「(安比奈線は)すでに廃線になっていますが、この舞台で生き生きとした姿を演じていけたらと思います。西武という歴史を見られるいい機会ですし、擬人化することでドラマチックに仕上がっていると思うので」と公演への思いを語り、西武新宿線役の橋本は「皆さんにやっていただくことも多いですが、それをやり逃してしまうともったいない舞台でもあると思うので、ぜひこぞって盛り上げてください!」とにっこり。
KIMERU、渡辺、橋本以外の西武路線は、いずれも鉄ミュ初登場。西武秩父線の滝口は「場当たりをしていて、これは何を見せられているんだろうと、新しい感情が生まれました」とその衝撃を口にし、「そういう舞台があることに気づくことができたことに感謝です。新しい感覚を、皆さんにお届けできたらなと思います」と続け場を笑わせた。
“ヒーローに憧れている”という設定を持つ西武西武園線役の馬場は「僕自身、はるか昔に地球を守っていた時代もありまして・・・その時の経験を存分に活かしていこうと思います」と、戦隊作品経験者である自身のバックボーンが役を演じる上で効いていることを匂わせる。一方で作品については、稽古の中で「これはお客様を洗脳していく作業だ」と感じたそうで「開演して5分ぐらいは、なんて舞台に来てしまったんだと戦々恐々とするかもしれませんが、終わる頃には、涙を流し、口からは血を流し、万歳!と言っていることでしょう!!そこまで持っていけたら、やった甲斐があると思っています」とウィットに富んだコメントを残した。
そして、西武国分寺線の木村は「参加型舞台なので恥ずかしいと思うこともあると思いますが、逆に参加しない方が恥ずかしいと思ってもらえるような空間を作っていけたらなと思います」、西武狭山線の岩城は「狭山線は日替わりキャストが演じるレオライナーのことをめちゃくちゃ愛していて、その愛を叫びまくるので、その異常な愛を皆様に感じ取っていただければと思います」、Wキャストで西武有楽町線を務める土方(Wキャストとなるのは橋本星)は「僕は、舞台(出演)自体が初めてで緊張しているんですが、西武グループのみんなと楽しく盛り上げていくので応援してください」とそれぞれアピール。
唯一、西武グループの路線ではない秩父鉄道役の森山は「初のスピンオフ公演ということで、この作品を成功させて5作品目、6作品目と次の作品や、(公演とはまた違った)ライブのような新しい試みにチャレンジできるように、がんばっていきたいと思います」とそれぞれ熱く語った。
このほか、アンサンブルとして福井大輔、齋藤健心、伊藤智則、大野紘幸が出演。西武山口線(レオライナー)役の回替わりゲストとして、永山たかし、高橋優太、瀬戸祐介、稲垣成弥、岩義人、田中涼星が登場する。試験走行(ゲネプロ)と始発(初日公演)には高橋が参加。
これまでの本公演3作でも、KIMERUは西武池袋線として“会長”愛を炸裂させてきた。今回も惜しみなくその愛を叫んでいるのだが、今回のスピンオフ公演では、これまでとはその愛の度合いが違って感じられた。いい意味で、愛の重さが異質ではないのだ。
登場するのはすべて「西武グループ」の路線。会長を崇めてやまないのは皆同じ。そして、その表現の仕方や気持ちの持ち方は人(路線)それぞれ。全員金髪に青いコートと統一されているからこそ、各路線の個性が見えてくるし、西武池袋線の純粋な面やかわいらしい面がより際立って見えてきた。
渡辺は、シリーズ第2弾「~信越地方よりアイをこめて~」(2016年11月)では北陸新幹線役と兼ねて西武安比奈線を演じていた。そして、西武安比奈線を何かと面倒見ていたのが、橋本演じる西武新宿線。踊ってよし、歌ってよし、稼ぎもよしというハイスペックな西武新宿線と、廃線という切ない運命を背負った西武安比奈線のやりとりは第2弾でも少し描かれていたが、本作ではもう一歩進んだ二人の関係が描かれる。
クレジットされている路線以外にも、様々な西武グループの路線が登場する。乗り入れから生じる関係性や、収益を出すための取り組みや会社としての歴史なども物語に取り入れられているため、劇場を出る頃にはなんとなく知識が増えているのもおもしろい。シリーズを通して脚本・演出・作詞を手掛ける川尻恵太(SUGARBOY)のテンポ感は健在だ。ちなみに、劇場が入っている「品川プリンスホテル」も西武グループの営業施設である。
西武の、西武による、西武グループのための「鉄ミュ」スピンオフ。舞台上からこんなに圧を感じる作品は、ほかにあるだろうか。そして、その圧に飲み込まれることはこんなにも心地良いものなのか。いつでも「会長、万歳!」と、出来るだけ大きな声で、手は耳まで挙げられるよう、心の準備をして着席することをおすすめしたい。また、日替わりゲストが演じるレオライナーに注目されている方は、特にお早めに劇場へ。終演後お時間が許す方は影アナウンスが終わるまで劇場に。会長!万歳!!
ミュージカル『青春−AOHARU−鉄道』~すべての路は所沢へ通ず~は、5月19日(日)まで品川プリンスホテル クラブ eXにて上演。上演時間は、約2時間(休憩なし)を予定。
なお、本作のBlu-ray&DVDが、9月4日(水)に発売されることが決定している。詳細は、以下のとおり。
◆ミュージカル『青春−AOHARU−鉄道』~すべての路は所沢へ通ず~ Blu-ray&DVD
【発売日】2019年9月4日(水)
【価格】Blu-ray:9,800円+税、DVD:8,800円+税
【仕様】2枚組(本編+特典映像 ※予定)
【特典内容】稽古場、公演舞台裏などのバックステージ映像
【封入特典】ブックレット
【会場予約特典】発売記念イベント参加申込参加券
【アニメイト予約特典】オリジナルステッカー
※公演会場以外のアニメイト店舗で予約された方も対象
【公式HP】http://www.marv.jp/special/aoharutetsudou/
【公式ブログ】http://aoharumusical.jugem.jp/
【公式Twitter】@aoharu_musical
(C)青春 (C)ミュージカル『青春鉄道』製作委員会
(取材・文・撮影/嶋田真己、エンタステージ編集部)