劇団鹿殺しの丸尾丸一郎が、2018年10月12日(金)に小説「さよなら鹿ハウス」(ポプラ社刊)で小説家デビューを果たした。描いたのは、劇団メンバー7人で一軒家を借り、共同生活を送っていた上京直後の2年間。劇団鹿殺しにとって“伝説”とも言えるこの2年間を、丸尾自身の手によって舞台化。主演に渡部豪太を迎え、2018年11月8日(木)に東京・座・高円寺1で舞台版『さよなら鹿ハウス』として開幕した。
【あらすじ】
つまずきだらけの「劇団鹿」7人は、旗揚げした関西に逆ギレをかまし、オンボロのハイエース1台で上京。角田角一郎、オレノハーモニー、ジョン・J・ウルフ、渡辺ダガヤ、山本サトル、入交ヨシキ、そして鹿の子チョビン。ドMの男6人とドSの女1人のヒエラルキー集団は、東京北西端の地・東久留米に家賃13万円の城「鹿ハウス」をかまえ、共同生活を始める。
バイトを禁じ、関係者との恋愛を禁じ、ただひたすらに「伝説になる」ための研鑽を誓った約束の2年間。伝説になりたくて、がむしゃらに心と身体を燃やすしかなかった、7人が確かに生きていたんだ―。
出演は、渡部のほか、オーディションで選抜された浅野康之、飛磨、岡田優、勝又啓太、笹海舟、清水佐紀、玉川来夢、今井涼太、尾上武史、澤田美紀、椎名朱音、松本さえ子、椙山さと美と鷺沼恵美子(Wキャスト)。
“バイト禁止”を制約に、メンバー7人が一軒家で暮らし、その生活費は路上パフォーマンスと劇場公演で稼いでいたあの頃を、丸尾独自の目線で、七転八倒の青春ストーリーとして絵描く。
OPテーマ曲は、フラワーカンパニーズの「ハイエース」。名曲に乗せて、力強いステージングと共に一気に時代は2005年へと遡る。原作小説にも書かれていた、路上パフォーマンスでの失敗談、共同生活 特有のルールなど、実体験をもとにしたエピソードはどれも哀しさの中に愛くるしさがあり、小説では文字にしきれなかったところまで、世界観を色濃く伝えてくる。
劇中では、小説には登場しない「鹿ハウスの近所に住む女子高生」(清水・玉川)から見た劇団鹿の”生態”や、劇団鹿の作曲スタッフ・入交(岡田)の生演奏など、舞台版ならではの演出も。
演劇版トキワ荘とも言える環境の中、「劇団鹿」が歩んだ道筋は、夢に向かって挑戦と挫折を繰り返し、それでも前を向き続けたある劇団の記録にとどまらず、“伝説”になろうとしているすべての若者たちに向けた「航海日誌」であり、伝説になりたかった大人たちに向けての「応援歌」になっている。
OFFICE SHIKA PRODUCE『さよなら鹿ハウス』(劇作家協会プログラム 秋の劇場18/平成30年度文化庁芸術祭参加公演)は、11月18日(日)まで東京 座・高円寺1にて、11月22日(木)から11月25日(日)まで大阪・HEP HALLにて上演。Wキャストの出演日程は、公式HPにてご確認を。上演時間は、休憩なしの約2時間を予定。
なお、本作のDVD化が決定。劇場では、先行予約受付も行われている。先行特典として、舞台写真ポストカードが付く。申し込み締切は、11月30日まで。完全受注生産。
【申込URL】http://shika564.com/shop
【特設HP】http://shika564.com/sayonara
(写真/和田咲子)