2018年11月7日(水)に東京・シアターKASSAIにて舞台『ともだちインプット』が開幕した。本作は、若手女優や女性アイドルのみで構成された演劇ユニットであるガールズ演劇カンパニー・アリスインプロジェクトの最新作。初日前にはダブルキャスト“月組”のゲネプロと囲み会見が行われ、出演者たちと演出の細川博司が登壇した。
アリスインプロジェクトによるプロデュースユニット「アリスインアリス」の楽曲「ともだちインプット」を舞台化した今作は、オリジナル楽曲を原作とした舞台版の脚本を作成、上演する企画「アリスインアリス楽曲舞台化シリーズ」の第1弾。元の楽曲の軽快なテクノポップとどこか懐かしい雰囲気をはそのままに、アリスインプロジェクトらしいハードSFにオマージュを捧げた世界観が付与され、近未来を舞台としたバーチカロイド(ロボット)と仲良し姉妹の夢と冒険の旅が、シングルキャストと、ダブルキャストの“月組”&”星組”によって描かれる。
演出はアリスインプロジェクト『続・魔銃ドナー』の脚本と演出を手掛けた細川、脚本は同プロジェクト『みちこのみたせかい』で細川とタッグを組んだ麻草郁が務める。出演は、W主演の舞台初出演・初主演となる元Party Rockets GTの新谷姫加と元AKB48森川彩香(Queen God)のほか、『魔銃ドナー』にて舞台デビューを果たした夏目愛海、元SKE48の竹内舞ら総勢29名のフレッシュな女優陣が一堂に会する。
今回のテーマについて、演出の細川は「人間と人形の物語という古今東西、繰り返し語り継がれてきた物語ですが、麻草さんの脚本が非常にユニークで何にも似ていないお話となっています」と解説。
ゲネプロを終えた敷島ナツ役の新谷は「初舞台で、お客さんも入った状態で少し緊張しました。でも、稽古よりも役に入れて、泣くシーンでちゃんと泣けたので良かったです」と振り返ると、ナツの妹・敷島アキ役の森川は「ゲネプロに、ここまでたくさんのお客さんがいらっしゃるとは思わなかったので少し緊張しましたが、すごく楽しくでできました」と笑顔で答えた。
ナツとアキの家にやってくるメイド型バーチカロイド・ハルを演じる夏目は「出演者に年齢差がある座組でしたが、すごく仲が良くて、その仲の良さを千秋楽まで活かして良い作品にしたいです」と意気込んだ。
少女ガートルードを演じる竹内は「嫌な役なので、嫌な女として、みなさんに嫌われるように嫌な顔とか嫌な演じ方を精一杯に意識しました。私のことは嫌いでも、この作品のことは嫌いにならないで下さい!(笑)」と冗談を交えて役をアピールし、会場の笑いを誘った。
アリスインアリス・メンバーから唯一の出演となるバーチカロイドの開発者・倉木カケル役の花梨は「まさかの一人だけの出演です(笑)。アリスインアリスで着ていた衣装を日替わりで着るので、そこを懐かしんで観てもらえたらと思っています」と見どころをアピールした。
物語は平穏な未来。ナツとアキは仲良しの姉妹。ある日、二人の家に実験用の新型バーチカロイド・ハルがやってくる。やがて芽生える友情、そして人格。しかし、とある事件によってハルは故障、工場へと送り返されてしまう。
そして、謎めいた新型バーチカロイド・フユ(須山朱里)が訪れ、「ハルは修理されると記憶を全てリセットされる」とナツとアキに伝える。工場は、町の外、山を越えたむこう。ともだちのハルを助けるために、ナツとアキ、そしてフユは工場へと向かう。
ハルを助けたナツたちだが、砂嵐によってある場所にたどり着く。そこは“愛心学園”という場所で、学園生活を送る少女たちがいた。だが、彼女たちにはそれぞれ秘密があり、さらにガートルードと呼ばれる少女にはある目的が・・・。
個性豊かで若さあふれる少女たちが、人間として、そしてバーチカロイドとして、ステージ上で生き生きと演じきる姿が印象的。未来の荒廃した地上で気丈に生きる永遠の少女たちであるバーチカロイド、そして人間、両者が織りなす笑って泣けるSF群像劇となっている。
アリスインアリス楽曲舞台化シリーズ第1弾『ともだちインプット』は11月7日(水)から11月18日(日)まで、東京・シアターKASSAIにて上演される。
【公式HP】http://aliceintheater.info
(取材・文・撮影/櫻井宏充)