ソニンが、2019年3月10日(日)に東京・eplus LIVING ROOM CAFE&DININGにて「Sonim’s birthday LIVE ~SONIBOU MUSIC 2019~」を開催した。一夜限りのスペシャルな時間に、36歳になったソニンを祝おうと多くのファンが集まったこのライブの模様を、レポートにてお届けする。
白いワンピース姿で登場したソニンを、大きな拍手が期待に満ちた拍手で迎え入れる。笑顔で応えながら、まずは映画『Dream Girls』の楽曲を披露した。19年前の自身の持ち歌ではギター演奏も。3曲目は、ソニンが作詞を手掛け、今回のライブでベース担当の立川智也が作曲した『IMA』。しっとりと歌い上げれば、会場はすっかりソニンワールド。
3曲歌い終わったところで、ソニンは今回のライブタイトル「SONIBOU」について「皆さん、何でSONIBOUだと思います?」と質問。ファンから「イノシシ年だから」という答えが返ってくると「正解!良かった~、分かってもらえて」とにっこり。「36歳、年女になりました!昔からイノシシのような性格と自他ともに認めているのですが、いつまでも周りが見えないのは迷惑がかかるので、周りの見えるイノシシでいきたいと思っています(笑)」と抱負を語った。
続いて「今の自分をすごく表していると感銘を受けた」という米津玄師の曲を披露。実は、米津とソニンは誕生日が同じなのだという。さらに、映画『ボヘミアン・ラプソディ』から「一番歌ってみたいと思った」というクイーンの曲を英語で歌い上げた。表現力豊かな歌声は、個性溢れる楽曲の数々をソニン色に染めていく。
第26回読売演劇大賞では、優秀女優賞に選ばれたソニン。「昨年は、ほぼ笑うことがない役を休むことなく続け・・・(笑)」とユーモアを交えながら、「賞をいただくことができて本当に光栄です。これまでいろいろなジャンルの表現者として歩んできたけれど、今言えることはライブが大好きで、舞台が自分の礎になっているということ。今年は次の段階を踏めるような年にしていきたいです」と、来年迎える20周年を見据えた。
ここから、ソニンの本領発揮とも言える、ミュージカル『1789バスティーユの恋人たち』と『マリー・アントワネット』の楽曲を披露。『マリー・アントワネット』からは、自身が演じた役ではなく、マリー・アントワネットが歌う曲をチョイス。「歌ってみたかったんですよ~」と満足気なソニンが、とてもかわいらしかった。
そしてライブだからこその“スペシャルバージョン”として、韓国語でミュージカル『レベッカ』の曲を歌ってくれた。これは、ソニンが尊敬する韓国のミュージカル女優オク・チュヒョンさんが歌っていたことに感銘を受けたことから選曲したそうだ。これがものすごい迫力!客席からもこの日一番の大歓声が沸き起こっており、実際に「ソニンが演じるダンヴァース夫人を観てみたい」と多くの方が思ったのではないだろうか。
楽しい時間はあっという間。「もう最後?早い!私、曲を飛ばしてないよね?」と名残惜しそうな様子を見せながら、最後は『ピアフ』の楽曲を熱唱。ソニンが尊敬してやまない大竹しのぶが、長年演じている『ピアフ』について「とても魅力的な作品なので、いつかやってみたい・・・」と小声で遠慮がちに野望を口にするソニンに、あたたかな笑いが起こっていた。ぜひ、夢を実現したソニンの姿を見てみたい。
最後の曲を歌い終えても、アンコールの拍手は鳴り止まない。再び登場したソニンが歌ってくれたのは、4月16日(火)に再演の初日を迎えるミュージカル『Kinky Boots』の楽曲。ギター片手に歌い上げ、「チケットは完売しているけれど、観に来てください!」とアピールした。
「正直この世界に入った時は、こんなに長く続けているなんて想像もしていませんでした」というソニン。もともと歌手になりたくてオーディションを受けたものの、有名になりたいとか、歌がないと生きていけないという気持ちでこの世界に踏み込んだわけではなかった。今まで自分のために舞台に立つという意識はなく、常に人に影響を与えたいとこの仕事を続けてきたと振り返り、「これまで紆余曲折、いろいろなことがありました。・・・ここ笑うところだよ(笑)!」と冗談めかしつつ、「たぶん人のためにこの仕事をやっていると思わなかったら、続かなかったと思います」と真剣な表情で語った。
デビューをしてしばらくは、自分が“有名人”だということにとても不思議な感覚を持ち続けていたが、その気持ちを消すことができたきっかけが舞台だったという。今でも舞台に立つ日は、毎日舞台に「おはようございます」と挨拶し、客席を見てどんなお客さんが来るのかと想像を巡らせ、最後は全席を見渡して投げキッスをしているのだとか。「これからも常に自分の口から愛をまとった言葉が出るように意識して、あたたくて明るい言葉を皆さんに提供していきたいと思っています」と述べ、KOKIAの曲で締めた。
すべての曲を歌い終えたあと、会場全員でハッピーバースデーを歌うサプライズがソニンにもたらされた。自分の誕生日だということを「歌っているうちに忘れていた!」というソニンは、満面の笑みを浮かべ、感動の涙が溢れさせた。
「誕生日は、皆さんがいてくれることに感謝する日だと思っています。これからも皆さんに素晴らしいエンターテインメントをお届けできるように精進してまいりますので、どうぞソニンをこれからも愛してください。ありがとうございます。みんな大好きよ!また会おうね」と挨拶した。
ソニンの魅力を存分に感じられる、素晴らしいライブだった。歌はもちろんのこと、20周年に向けての抱負や舞台にかける思いを熱く語る姿を見ていると、今後の彼女がどう変化していくのか、ますます楽しみになってくる。これからも、目が離せない存在だ。
(取材・文/咲田真菜、写真/オフィシャル提供)