2018年9月7日(金)に開幕したミュージカル『ジャージー・ボーイズ』。開幕に先駆け、東京・シアタークリエで囲み会見が行われ、中川晃教、中河内雅貴、伊礼彼方、海宝直人、矢崎広、福井晶一、Spi、演出担当の藤田俊太郎が登壇。作品にかける想いや意気込みを語った。
『ジャージー・ボーイズ』は、トニー賞最優秀ミュージカル賞やグラミー賞などを受賞した名作ミュージカル。2016年夏に行われた日本初演公演では全日チケットが完売し、第42回菊田一夫演劇賞や第24回読売演劇大賞をはじめとする数々の演劇賞を受賞した。待望の再演となる今回は、東京公演のあとには秋田・岩手・愛知・大阪・福岡を巡演する全国ツアーが予定されており、最後は神奈川で凱旋公演も行われる。
2016年公演における演技で、第24回読売演劇大賞の最優秀男優賞を受賞した中川は「再演するにあたって初演の経験が力になっていることを実感しています」と語る。「関わるすべての人たちが一つになって生まれるものが感動ポイントの一つです」と作品の魅力を語り、新たな熱い物語が誕生することを示唆した。
今回の再演では、初演と同じく中川がシングルキャストでフランキー・ヴァリ役を務め、中河内・海宝・福井によるチームWHITE、伊礼・矢崎・spiによるチームBLUEという2チームに分かれて上演。キャストが入れ替わることでハーモニーや芝居が異なっていくのも見どころだ。
まずチームWHITEについて、中川は「初演よりも安定感があって関係性が築けているところからのスタートです。2年間それぞれのフィールドで確実に前進したメンバーと再会した時、初演よりもっといいものにしようという向上心を感じました。和気あいあいとしているけどキリッとした緊張感があります」と2年ぶりのメンバーについて印象を語る。
トミー・デヴィート役の中河内は「初演では作品の難しさを痛感しました。皆さんの足を引っ張らないように、がむしゃらに作品と向き合っていました」と前回の様子を振り返りながらも、「今回は余裕を持てるようになって、より研ぎ澄まされた白米のようになっております・・・白チームだけに(笑)。久々に会っても見えない絆と深い愛情で繋がっている、とてもやりやすいメンバーなので、また一緒にできることが嬉しいです。さらにブラッシュアップして、いいものをお届けできるようにしたいです」と意気込んだ。
ボブ・ゴーディオ役の海宝も「前回は音やハーモニー、お芝居を含めて必死に作品に食らいついていた感じでしたが、今回は改めてこんな景色だったんだ!と新しい発見がたくさんあります。(再演までの2年間)それぞれがやってきた経験がステージ上に出るんじゃないかな、新しいものを受け取ってもらえるんじゃないかなと思っています」と、2年越しの再演に対する気持ちを吐露。
ニック・マッシ役の福井は「前回、演出の藤田さんが頭で描いていることがよく分からなくて大変な思いをしたんですけど・・・(笑)」と冗談交じりに前置きしつつ、「一度作りあげたものなので、また新たにいろんなものが見えてくるのではないかと思っています。ホームに帰ってきたような気持ちですが、音楽ありきの作品なので、どれだけ寄り添って音楽を味方にできるか。最高のハーモニーを届けられるか。そこを磨きあげてドラマをお届けしたいです」と目標を語った。
次に、中川がチームBLUEについて話そうとすると、伊礼がすかさず「言ってやれ言ってやれ!」と発破をかける。勢いに押され、中川は「一筋縄ではいかない感じはしますが・・・(笑)」と苦笑い。
改めて、中川は「4人がどのようにフォー・シーズンズのことを想っていたのかが語られていく脚本と、それぞれが体当たりで役とぶつかっていくところがリンクして感動に繋がっていくんだなぁと、改めて感じます。ハーモニーとも向き合いながら、楽しくも、まだまだ登る山が目の前にあることを実感しています」とコメント。
初演時にチームREDのメンバーだった矢崎は、今回はチームBLUEのボブ役として参加。「気持ちがあるがゆえに気張りすぎてしまうこともあり、そういうときに助けてくれたのが(新キャストの)伊礼さんとspiさんでした。チームとメンバーが変わると生まれるものも変わりますが、『ジャージー・ボーイズ』はそれがよく出る作品だと思います。WHITEともREDとも違う新しいチームが出来あがったと思っているので、どんな風にお客様に観てもらえるのか楽しみですし、僕自身も再演の難しさや楽しさ、興奮と期待を感じています」と、新たなチームの魅力を語った。
トミー役の伊礼は、今回から新たに参加。「客観的に観ておもしろい作品は、いざ、中に入ると思った以上に責任重大。エネルギーやパワーが必要だし、もっと周りが見えてなきゃいけないんだなということも実感しています。さっき中河内が“初演時はがむしゃらだった”と言ってましたが、今まさに僕らががむしゃら。彼らは今、高みから見下ろしてるんですよ・・・(笑)」とユーモアたっぷりに作品の難しさを伝える。
さらに、「BLUEにはBLUEのカラーがあって、とてもクールでスタイリッシュに出来あがっているんじゃないかと思っています。同じものなのに役者によってここまで解釈や動きが違うのかと。2パターンあって照明さんや音響さんなどのスタッフさんたちは大変だと思いますが、支えていただいている分、自由にやれたらなと。そして、彼(中川)が2年前にとった賞を僕もとりたいなと思います(笑)。(中川が受賞した最優秀男優賞ならぬ)最低男優賞なんていう賞があったら、(憎まれ役のトミーを演じる)僕はとれるんじゃないかな(笑)」と語り、笑いを誘った。
伊礼と同じく初参加であり、ニック役を演じるspiも「(直前にコメントした)そんな伊礼さんのおかげなのか、毎日本当に楽しくやらせていただいてます(笑)。愛情のあふれる作品で、必死に食らいつく気持ちなので、その愛情や楽しさがお客さんにも伝わればいいなぁと思っています」と、開幕への期待をにじませた。
演出を手掛ける藤田は「2016年の初演ではたくさんのお客様に好評をいただきました。様々な賞を受賞するなど評価いただきましたが、甘えからスタートするつもりはまったくありません。新しいカンパニーで新しい次元に辿り着こうと思います。控えめに言って、どこに持っていっても恥ずかしくない作品を作りましたので、皆さん楽しんでください」と自信をのぞかせた。
最後に、中川は「今ミュージカルが熱いですが、音楽、芝居、何よりもライブ感、その劇場でしか味わうことのできない醍醐味がここまで熱くさせているんだと思います。私たちもミュージカルがさらに盛り上がっていくようにがんばりたいと思っていますので、ミュージカルが好きな人も、観たことがない人も、ぜひ劇場へ足をお運びください。お待ちしています」と会見を締めくくった。
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』は、9月7日(金)から10月3日(水)まで東京・日比谷シアタークリエにて上演。その後、秋田、岩手、愛知、大阪、福岡を巡演し、神奈川で凱旋公演を迎える。日程の詳細は以下のとおり。
【東京公演】9月7日(金)~10月3日(水) シアタークリエ
【秋田公演】10月8日(月・祝) 大館市民文化会館
【岩手公演】10月11日(木)・10月12日(金) 岩手県民会館
【愛知公演】10月17日(水)・10月18日(木) 日本特殊陶業市民会館 中ホール
【大阪公演】10月24日(水)~10月28日(日) 新歌舞伎座
【福岡公演】11月3日(土)・11月4日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【凱旋公演】11月10日(土)・11月11日(日) 神奈川県民ホール
(取材・文・撮影/堀江有希)