2018年1月6日(土)から東京・東急シアターオーブにて『ニューイヤー・ミュージカル・コンサート2018』が開催される。本コンサートは、世界のミュージカルスターたちが繰り広げる3日間だけの夢の祭典。スターたちが様々な有名ミュージカルナンバーを、圧倒的な歌声と抜きんでた表現力で次々と歌い上げる必見必聴のステージだ。
3回目の開催となる今回は、ローラ・ミシェル・ケリー(『メリー・ポピンズ』メリー役、『王様と私』アンナ役など)、ジュヌヴィエーヴ・レクラーク(『レ・ミゼラブル』ファンテーヌ役など)、ロベール・マリアン(『レ・ミゼラブル』ジャン・バルジャン役など)、マイケル・アーデン(『ノートルダムの鐘』カジモド役など)、アンディ・ミエンタス(『レ・ミゼラブル』マリウス役、TVドラマ『スマッシュ』第2シーズンのカイル・ビショップ役ほか)の5名が来日。まもなく本番を迎えるキャストたちの、リハーサルの様子をレポートする。
まず披露されたのは『屋根の上のヴァイオリン弾き』の名曲「サンライズ・サンセット」。主人公テヴィエを彷彿とさせるロベールの深く哀愁ただよう低音に、テヴィエの家族のように寄り添うローラ、ジュヌヴィエーヴ、マイケル、そしてアンディの歌声。まるで美しい織物のような声の重なり合いを聞かせた。
2曲目は『クレイジー・フォー・ユー』から「アイ・ガット・リズム」。ローラとジュヌヴィエーヴがスウィング・ジャズのリズムで、弾けんばかりに陽気に歌い出す。男性陣も、女性陣の勢いに乗るように途中から加わり、最後は5人全員でステップを踏みながら熱唱。2曲の歌唱が終わると、リハーサルであることを忘れたかのように、その場にいた人すべてから5人に拍手が贈られた。
リハーサルの後、5人に今回のコンサートに関して話を聞いた。このコンサートの中で一番好きな楽曲を問われると、マイケルは『ノートルダムの鐘』の「僕の願い(Out There)」をチョイス。「このミュージカルのオリジナルキャストだったこともあり、強い思い入れがあるんです。また、人生の中で誰もが一度は『よそ者』になった経験があると思いますが、この曲はそういう時の気持ちを共感できる歌なんです」と真面目に語った。また、演じていたのが“せむし男”役だったことに触れ「(公演時は)背中を丸め悪い姿勢の状態で歌っていました。でも、このコンサートでは背筋を伸ばして思いっきり歌うことができます!それが嬉しいですね」とおどけると、ほかのメンバーからも笑い声が起こった。
ジュヌヴィエーヴは「『レ・ミゼラブル』の曲、すべてです」と答える。『レ・ミゼラブル』はフランス系カナダ人である彼女が、アメリカデビューを果たした記念すべき作品。今回、ジュヌヴィエーヴは「夢やぶれて」ほか『レ・ミゼラブル』の中から数曲歌う予定とのこと。
ローラは『アナと雪の女王』から「レット・イット・ゴー」を歌う。「ご存知かもしれませんが、『アナと雪の女王』はブロードウェイでまもなく上演されます。それより一足早く、日本で『アナ雪』のナンバーを披露できることを嬉しく思っています」と微笑むローラ。続けて「私自身が歌う曲ではないのですが、マイケルとアンディが歌う『春のめざめ』のナンバー『消えゆく面影(Left Behind)』は素敵ですよ!『春のめざめ』はマイケルが演出し、アンディが出演していた作品なんです。この二人だからこそ出せる雰囲気がたまらない!」とローラが紹介すると、二人は顔を見合わせて笑っていた。
「仕事で日本に来るというより、親しい友人に会いに来る感覚で来日していますよ」と笑顔で話すロベールは、なんと7度目の来日。「どれか一つの曲を選ぶって本当に難しいですね。どの曲であっても何かしら共感するところがあると思うので」と悩みつつ、「どうしても一つ選んでと言われたら、やはり『レ・ミゼラブル』を挙げると思います。私の歌の生徒でもあるジュヌヴィエーヴも先ほど言っていましたが、彼女が『レ・ミゼラブル』のファンテーヌ役でデビューし、私自身もジャン・バルジャン役を務めたことで、世界中でいろいろな方に会うことができました。本当に、様々なものを私に与えてくれた楽曲なんです」と思いを吐露した。
海外ドラマ『スマッシュ』に出演し、日本のファンも多いアンディは「僕は『RENT』の『シーズン・オブ・ラブ』ですね。初めてブロードウェイで観た舞台であり、『RENT』を観たことで、俳優という仕事をしたいと思ったんです。だから、僕にとって特別な意味を持つナンバー。最初の数フレーズが聞こえてくると、もう自分の身体の中がどうにかなっちゃうくらい興奮してきて・・・例えるなら、花が開くような感覚。自分の中身を覚醒させてくれるような力を感じる曲。その曲を今回歌えるのがとても嬉しいです」。アンディはこの説明をしている段階ですでに上気し始めているようでもあった。
この5人が揃ってステージに立つのは初めてとのことだが、ジュヌヴィエーヴは「5人で『シーズン・オブ・ラブ』を歌った時、声が溶け合っている!と感じました。5人とも、生まれた場所も育った場所も、出演した舞台も劇場もまったく違うんですが、仕事に対するメソッド、舞台を作り上げていくメソッドは同じ・・・だからこそ、声が溶け合うような感覚を抱いたのかもしれませんね」とコメント。教え子の話を聞きながら、ロベールも「音楽に感謝しています。音楽がいい媒介となって皆を繋げていくんですね」と音楽の持つ力をかみしめているようだった。
コンサートでは彼らが取材時に挙げた楽曲を含め20数曲が披露される。年始のおめでたいこの時期に、さらに一年の幸せを感じるようなスペシャルなコンサートを東急シアターオーブにて体感してほしい。
『ニューイヤー・ミュージカル・コンサート2018』は、1月6日(土)から1月8日(月・祝)まで、東京・東急シアターオーブにて開催される。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)