2017年10月8日(日)に東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、舞台『危険な関係』が開幕した。初日前日にはゲネプロと囲み会見が行われ、主演の玉木宏、千葉雄大、高橋惠子が登壇。作品の魅力や自身の役どころなどを語った。
原作は、1782年にフランスの作家コデルロス・ド・ラクロが発表した恋愛心理小説。18世紀後半のフランス貴族社会で、深い心理戦による恋愛ゲームが繰り広げられる。これまでにも世界各国で映像化および舞台化がされており、1959年には当時の上流社会へ置き換えたフランス映画が、1988年には原作の時代を忠実に描いたアメリカ映画が大ヒット。日本では1997年に宝塚歌劇団が『仮面のロマネスク』としてミュージカル化、2005年には原作小説と同名タイトルでTVドラマ化もされている。
約4年ぶりの舞台出演となる玉木が演じるのは、稀代のプレイボーイ・ヴァルモン子爵。玉木は自身の役どころについて「言葉巧みに回りの人をコントロールする人」と分析するも、すかさず高橋が「無意識かもしれないけれど、その目が、女を惑わせるんです。なかなか芝居ではできないと思います」と玉木の魅力を語る。これには千葉も「男でも目で殺されそうで・・・メロメロになっちゃいます」と納得の様子。さらに、高橋は「色気は天性のもの。ご自分では意識されてないと思いますが、役にぴったりですよね」と絶賛した。
この舞台では、玉木の肉体美も見どころの一つ。「玉木さんの肉体の美しさと言ったらもう!こんなに美しい裸は初めて見ました。無駄なものがなくて、しなやかで力強くて、ちょうどいい筋肉の付き具合で。触ったことはないんですけれども(笑)」と笑う高橋に、玉木は「それは言い過ぎですよ・・・(笑)!」と恐縮していた。
その肉体美の秘訣について、玉木は「この舞台のために、ということは特に何もしてないんですが、普段から毎日運動しています。稽古中は1日2、3時間くらい。トレーニング中は稽古のことを何も考えない時間として、ストレス発散になっています」と教えてくれた。それに対し、高橋は「稽古終わってからトレーニングって、なかなか出来ないですよね。確かに、1ヶ月で出来あがる肉体ではありません」と改めて感心していた。
また、主演という立場でもある玉木について、高橋は「愚痴一つおっしゃらない!本当にハードで大変な稽古でしたが、すごく日本男児らしくて優しいです」と讃え、千葉の印象についても「いつも新しいチャレンジをして楽しませてくれました。真面目に芝居に取り組まれている姿を思い出します」と語る。「皆さんの一生懸命な姿を見ると、自分も心初心に返って・・・という気持ちになれます。いい刺激をいただきました」と、自身にとってもプラスとなっていたことを明かした。
物語の終盤には、玉木演じるヴァルモンと千葉演じるダンスニーの対決シーンもある。これに絡めて“ここは相手に負けない!”という点を問われると、「体力だけは自身があります」と玉木。その言葉を聞いた千葉が「玉木さんは(上演中)ずっと舞台に出ていらっしゃるのに、アクションシーンでも息を切らさないからすごい。僕なんか今ですらこんなに汗をかいてるのに・・・(笑)」と額の汗をぬぐいながら答える姿が笑いを誘った。
一方、千葉は「笑いに関しては負けません!」と対抗。具体的にどういうところが?と問われると「見て分かりません?」と真顔で即答する千葉。絶妙なタイミングでの返答に、会見の場は大きな笑いで包まれた。そのやりとりを見た玉木が「すごく順応性があって、振られたらそれ以上に応えようっていう心があると思うんですよね」と千葉を褒めると、千葉はまたもや「そういうところ、あるんですよね」とおどけて見せた。
会見の最後、高橋は「男性に支配されていた時代の女性の価値観を、鈴木京香さんが演じていらっしゃいます。まるで悪女のようですけども、なぜそうなったのか?ということが女性にとっては納得できる部分もあると思います。そして玉木さん演じる魅力的なヴァルモンと、野々すみ花さん演じるトゥルヴェル、3人の関係性がとても見ごたえがあります。男性も女性も思い当たるところがあるんじゃないかな」と見どころをアピール。
千葉は「一回で理解していただくのが難しいかもしれないのですが、笑えるところもあるので、そこでは心置きなく笑っていただけるようにがんばります」と意気込んだ。そして、玉木は「この作品をご存知の方もいらっしゃると思いますが、今まで見たことのない『危険な関係』になっています。とてもスタイリッシュですし、舞台セットも斬新に感じていただけるかと。僕たちが演じる貴族の恋愛ゲームを楽しんでいただけたらと思います」とメッセージを送り、会見を締めくくった。
物語は、華麗なパリの社交界が舞台。その社交界に君臨する未亡人のメルトゥイユ侯爵夫人(鈴木)は、かつての愛人ジェルクール伯爵への恨みから、その婚約者セシル・ヴォランジュ(青山美郷)の純潔を踏みにじろうと復讐を計画。それを叶えるために、稀代のプレイボーイであるヴァルモン子爵(玉木)に協力を求めるも、ヴァルモンはトゥルヴェル法院長夫人(野々すみ花)を誘惑しようとしているところ。それゆえに一度は依頼を断るのだが・・・。
色気たっぷりの玉木が演じるヴァルモンは、数々の女性を虜にしてきたというプレイボーイぶりに説得力が増す。ミステリアスかつ妖艶な佇まいの鈴木は、策略家のメルトゥイユという悪女を熱演。爽やかで愛嬌のあるダンスニー騎士を演じる千葉、トゥルヴェル役の野々、セシル役の青山、高級娼婦役の土井ケイトらの存在感も大きい。ヴァルモンとメルトゥイユを中心に動き出す物語、ラストでは驚愕の真実が明らかに・・・。
舞台『危険な関係』は10月31日(火)まで東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、11月9日(木)から11月14日(火)までは大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。
(取材・文・撮影/堀江有希)