千葉雄大、藤井隆らが繰り広げる音楽とダンスの狂乱!『ジャズ大名』レポート

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千葉雄大、藤井隆らが繰り広げる音楽とダンスの狂乱!『ジャズ大名』レポート

2023年12月9日(土)に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにてKAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『ジャズ大名』が開幕した。初日前日に公開ゲネプロと取材会が開催され、福原充則(上演台本・演出)、千葉雄大藤井隆富田望生が登壇した。

本作は筒井康隆の傑作小説『ジャズ大名』の舞台化作品。江戸末期、アメリカから漂着した黒人奴隷と出会った音楽好きの藩主が、彼らの奏でる音楽の虜となり、城中でジャム・セッションを繰り広げる姿を描く奇想天外なコメディで、1986年に岡本喜八監督によって映画化もされている。

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今回は、小説から新たに上演台本を書き起こし、物語の舞台を原作の九州の小藩から、実在した神奈川・小田原藩の支藩、荻野山中藩に置き換えたKAAT版オリジナル作品として創りあげている。

上演台本と演出は、舞台のみならず映像界でも多くの作品に関わり話題を提供し続ける福原。音楽は、栗コーダーカルテットをはじめジャズの周辺で多彩な活動を展開する関島岳郎。振付は、ダンスカンパニーBaobab主宰の北尾亘が務める。

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音楽好きの荻野山中藩の藩主・大久保教義役に千葉、家老・石出九郎左衛門役に藤井。狂言回しのやこ役など複数の役を富田が演じる。さらに、大鶴佐助、山根和馬、大堀こういち、板橋駿谷、北尾亘、永島敬三、福原冠、今國雅彦、佐久間麻由といった個性的なキャストに加え、日本に流れ着く黒人役としてダンテ・カーヴァー、イサナ、モーゼス夢が出演。

取材会では、初日を迎える千葉が「お稽古を皆さんで紡いできたので、それをちゃんとやりつつ、でもその時に起きたことにもちゃんと反応しつつ、お客様にどう観ていただいてもブワッ!とやるので、何かしらでもあったらいいなと思います」と意気込みを披露した。

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福原は、筒井の小説を舞台化するとなったときの心境を問われると「筒井先生に関しては本当に僕は大ファンなんです。『大ファンです』という方がものすごい数いるので簡単に大ファンと言うと怒られるぐらい、簡単には言えないですけど。でも、好きな先生の作品をやるというのはとても緊張しますし、とても嫌だなっていう気持ちで、とても嫌だけど絶対断ることはないなっていと決めて今ここにいます」と思いを明かした。

続けて、舞台版としての製作に関して「基本的に全部楽しかったです。本番も楽しくなるんだと思ってます」と振り返り、「舞台上で起こることが、ものすごく誇張はしてますけど、観に来てくださるお客さんの中にあるものを増幅して観せるものだと思っています。そういう意味では、お客さんからパワーを頂いて増幅して舞台上からお返しするという芝居だと思っているので、お客さんが入って完成するものだと思うので、その完成のタイミングが楽しみです」と期待を寄せる。

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以前から藤井のファンだったというコメントをしていた千葉は、「福原さんのお話からではないですけど、僕も別に簡単に言ったわけじゃないです(笑)」と笑いを誘い、劇中での踊るシーンでの藤井との共演について「藤井さんと目が合った時に、何か繋がって、セッションする瞬間があります。それは藤井さんももちろんですけど、舞台上のみんなともあるので、そういうところを共有しつつ、そこを引っ張っていただいていると感じています」と語った。

最後にそれぞれからメッセージが寄せられた。福原は「観に来てくださるお客さんの感情を舞台上に乗せるような芝居だと思ってますので、オープンな気持ちで観に来ていただいて、自分の普段持ってる感情が爆発する様を観ていただければ、そして楽しんでいただければと思っています」とコメント。

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富田は「本当につむじから足の爪までゾワゾワと熱く燃え上がるような作品になっていると思います。何度も出てくる音楽があります。帰りの電車の中、車の中、歩いている時間で、その音楽がぐるぐるとまとわりつくような時間になればいいなと思っております」とアピールした。

藤井は「1年の中でも、華やかで賑やかな12月と1月に『ジャズ大名』に参加できることを本当に嬉しく思っています」と喜びを口にし、「スタッフ、出演者一同、万全の気をつけてお客様をお迎えできるようにしております。楽しい気持ちで観ていただけるような舞台になってると思いますので、ぜひお越しいただきたいです」と呼びかけた。

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そして、千葉は「幕が開いてから降りるまで、こんなに汗をかいてる舞台って初めてです。でも、それぐらい音が鳴ったらもう自然と体が揺れるというか、そういう体に僕は今なっているので、劇場を揺らすことがやみつきになったお客様がまた来たいなって思えてもらえたらすごく嬉しいです」と思いを募らせ、「寒い冬がこれから待ってますけど、熱くお届けしたいと思うので、ぜひ劇場にお越しいただければと思います」と締めた。

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舞台は、維新の嵐が吹き荒れる江戸末期、アメリカの南北戦争が終結し、解放された黒人奴隷が故郷のアフリカを目指して船に乗り込むが、日本の小藩に流れ着いてしまうところから始まる。

鎖国の世、外国人の取扱いに困る藩の役人らは彼らを座敷牢に閉じこめておくが、好奇心旺盛な藩主・大久保教義は彼らの奏でる楽器の音に夢中になり、家老・石出九郎左衛門の制止も聞かず、次第に城中を巻き込んでジャム・セッションを繰り広げていくのだが・・・。

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立体的でダイナミックなセット上に生演奏を披露するバンドメンバーたちを配したステージ上で、福原がその高い空間演出力と様々な演出技法を駆使して、ユーモラスでカオスなグルーヴを生み出し、筒井ワールドを存分に表現している本作。

幕末を舞台としながらも、混沌とした時代に、禁忌と捉えられていた新たなカルチャーに飛び込み、既存の価値観をぶち壊していくという点で小説が執筆された80年代、そして舞台化された現代と、どの時代においても共通的で普遍的と思える人間の様を描いたコメディ作品だ。

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その舞台上で、映画・ドラマだけでなく、近年は舞台での好演も記憶に新しい千葉と、芸人・歌手・俳優としてマルチに活躍し、舞台ではストレートプレイからミュージカルまで欠かせない存在となっている藤井を筆頭とした人気・実力を兼ね備えた俳優陣が、ユーモラスに、そして情熱的に躍動する。

その演者たちが、「何か繋がって、セッションする瞬間がある」という千葉のコメントどおりに、熱狂的ジャム・セッションを繰り広げ、笑いと混沌を創造する舞台となっている。

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KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『ジャズ大名』は、2023年12月9日(土)から12月24日(日)まで神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて上演後、兵庫・神戸、愛知・刈谷、大阪・高槻を巡演する。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『ジャズ大名』公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2023年12月9日(土)~12月24日(日) KAAT神奈川芸術劇場 ホール

【兵庫(神戸)公演】2024年1月7日(日)~1月8日(月・祝) 神戸文化ホール

【愛知(刈谷)公演】2024年1月13日(土)~1月14日(日) 刈谷市総合文化センター

【大阪(高槻)公演】2024年1月20日(土)~1月21日(日) 高槻城公園芸術文化劇場

スタッフ・キャスト

スタッフ

【原作】筒井康隆 <「エロチック街道」(新潮文庫)所収>
【上演台本】福原充則 山西竜矢
【演出】福原充則
【音楽】関島岳郎
【振付】北尾亘

【出演】
千葉雄大 藤井隆

大鶴佐助 山根和馬 富田望生 大堀こういち
板橋駿谷 北尾亘 永島敬三 福原冠 今國雅彦 佐久間麻由
ダンテ・カーヴァー イサナ モーゼス夢
高田静流 入手杏奈 米田沙織 山根海音 神野幹暁

<演奏>
大熊ワタル 川口義之 辰巳光英 和田充弘 桜井芳樹 こぐれみわぞう 関根真理 関島岳郎

公式サイト

【公式サイト】https://www.kaat.jp/d/jazz_daimyo
【公式Twitter】@kaatjp

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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