夏の終わり、8月30日(水)に開催される『なつのおわりのゾンビフェス!』。“ゾンビ”をテーマに、様々な表現者が、東京・渋谷の劇場CBGKシブゲキ!!に一堂に会する。SFなど壮大なテーマも一人で演じ切る一人芝居の名手・入江雅人が手がける一人芝居をはじめ、落語、コント、歌、無声映画の活弁など、多種多様な演目が一気に楽しむことのできる一夜限りのイベントだ。このフェスのホストを務める入江雅人に『なつのおわりのゾンビフェス!』の魅力と共に、そもそもなぜ、今、“ゾンビ”なのか?その核心を聞いた。
入江雅人グレート一人芝居『MY GREATEST HITS』(2011年10月)より
――入江さんは以前からゾンビをテーマにした一人芝居をされています。そもそもゾンビをテーマに作品を作ったきっかけは何ですか?
「映画『ゾンビ』(1978/ジョージ・A・ロメロ監督)が公開された当時は、ゾンビを普通に気持ち悪いと思っていました。そのロメロの世界観の”ゆっくり歩くゾンビ”が映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004/エドガー・ライト監督)では、イギリスを襲うという、いわば日常の中にゾンビが出てくることを笑いにしていたんです。その映画を観た時に、 この感じを舞台でやったら面白いんじゃないかと思ったのが始まりです。そこから一通りのゾンビ映画を観て、出来ると確信しました。作品として生まれたのは、2010年。劇団SHA.LA.LA(※)復活公演の時の『DONNA SUMMER NIGHT』ですね。その中で余ったエピソードを一人芝居の作品にしたのが、『帰郷』という作品です」
――ご覧になったゾンビ映画の中で、おススメの映画はありますか?
「『バタリアン』、それとロメロの『ゾンビ』、そのリメイクの『ドーン・オブ・ザ・デッド』はゾンビが走るんですが、面白いですね。『ウォーキング・デッド』でゾンビ自体が割とメジャーになって、状況的には受け入れられやすくなったんだなと感じます。昔は、一部の好きな人だけが観るジャンルだったので」
――入江さんにとって、ゾンビとはなんですか?
「題材としては一番手掛けてますね。誰よりも・・・だと思います。笑いになる要素があるということ、もちろん生きることと死ぬことも含めて、本当にいい題材になる存在だと思います」
入江雅人グレート一人芝居『マイ クレイジー サンダーロード』(2012年5月)より
――今回の『なつのおわりのゾンビフェス!』で、入江さんはどんな作品を上演されますか?
「2本やりたいと思っていますが、そのうちの1本は『帰郷』をやります。この作品は、福岡弁でやったら面白いんじゃないかと思って作ったんですが、方言を使うことで、より切なさが伝わる作品になりました。自分の作品の中でも特に評判が良いので、年の瀬に落語で芝浜をやるような感じで、夏の終わりに『帰郷』をやっていきたいですね。もう一本はどうするのか、新作にするのか・・・考え中です」
――『なつのおわりのゾンビフェス!』はどんなイベントになりそうですか?
「バラエティ豊かですよね。ゾンビの捉え方がそれぞれだし、どういう風に組み込むのかもそれぞれ。落語やコントといったスタイルもそれぞれなので、面白いと思いますよ。志ら乃さんは一人芝居を観に来てくれたんですよ。『悪魔のいけにえ』を高座にかけているのも聞いていたし、ゾンビと落語の組合せは面白いですよね。阿佐ヶ谷姉妹さんはどんな風になるのか想像つかないし、チョコレートプラネットさんはどのネタも面白いし、坂本頼光さんの無声映画の活弁も無声映画の時代にゾンビという概念がほとんど無かったはずなので、そこをどうするのかが楽しみだし、オープニングアクトの小松利昌くんは俳優さんですが、ピンのコントネタも多く持っていて独創性がある。その気になれば段ボールとかからでも、ゾンビ作れますし・・・どの演目も僕自身が楽しみです。年に1回、こういう企画ができたらいいなと思っています。その1年目なので、来年以降も続けて行けるように、それだけのクオリティになるようにがんばります」
※劇団SHA.LA.LA:出川哲朗が座長を務め、ウッチャンナンチャンらと共に結成。入江は脚本・演出も務める。
『なつのおわりのゾンビフェス!』
【出演】
入江雅人
立川志ら乃
チョコレートプラネット
坂本頼光
阿佐ヶ谷姉妹
小松利昌(オープニングアクト)
【日程】2017年8月30日(水)19:00開演
【料金】4,800円(前売・当日/指定席・税込)
【チケット発売日】
[一般発売]2017年6月24日(土)10:00~