2017年8月9日(水)に東京・銀河劇場にて少年社中・東映プロデュース『モマの火星探検記』が開幕した。本作は、日本人初の宇宙飛行士となった毛利衛が書いた児童文学「モマの火星探検記」に、少年社中主宰の毛利亘宏が劇団で上演した『ハイレゾ』をかけ合わせ、新たな作品として生み出した物語。2012年に初演され、今回が再演となる。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、毛利衛、毛利亘宏と共に、W主演を務める矢崎広と生駒里奈(乃木坂46)が登壇した。
まず、毛利衛は「もともと、私は科学者として宇宙に行ったのですが、当時、科学者としては言えなかったことを、この本を書いたことで多くの方に知っていただけました。また、舞台の初演から5年経って、再び(この物語を)表現できることが嬉しいです」と挨拶。
主人公の一人、モマ役を演じる矢崎は「初演を客席で観て、大号泣しました。そんな大好きな作品です」と、本作への想いを語り、好きな作品だからこその緊張感と共に「皆と稽古を重ね、物語に触れる度にどんどん自信がついてきました。劇場に来てからもパワーアップして、お客さんが入ることで、もっともっと世界が広がると思います」と手応えを見せる。
続いて、もう一人の主人公、ユーリ役の生駒は「私の大好きな世界観の物語です。お芝居がうまい方ばかりなので、最初の頃は不安で仕方がなかったんですけど、稽古を続けていく中で、どんどん不思議なことが起こって。その時に、ただ舞台を作っているのではなく、幸せをあげることができる作品を作っているんだと実感できて、(出演できる)この運命を喜びだと感じました。本番では、もっともっと楽しくなると思います。観てくれた方が、私と同じ気持ちになってくれるといいな」と目を輝かせていた。
そして「ジュール・ヴェルヌという作家が宇宙を描いた作品を生み出しまして、それを追いかけるように宇宙開発が成し遂げられていったという歴史があります。僕は、そういったものに強い憧れを抱いていました」という少年社中主宰の毛利亘宏は「宇宙に強い思いを持っていた僕と、同じ名字のヒーローがいまして・・・」と、毛利衛への憧れを口にしつつ「そんな憧れの方の原作をお借りして、夢を追って生きていくことを伝えることで、世界が少しでも変えられたらと思います。今、非常に気持が高揚しております!ご期待ください」と満面の笑み。
見どころについて、矢崎は「宇宙チームとしては、やはり地球を飛び立つ瞬間、そして、火星に降り立つ瞬間に注目してもらいたいですね。演劇ですが、童心に戻ったような気持ちになります。お客様にも、そんな気持ちを共有してもらえたら」、生駒は「子どもチームは、ロケットを飛ばすために奮闘しているんですが、何かに純粋に打ち込むことは、こんなにも素敵で価値のあるものなんだと思います。観に来てくださる方にも、同じ気持ちを持ち帰っていただけたら嬉しいです」とそれぞれ語った。
最後に矢崎は「宇宙という壮大なテーマですが、その中に身近なこと、自分とも繋がっていることがたくさん感じられる作品です。人によって、感じることが違うでしょうし、それがまた宇宙のようでもあります。ぜひ、観に来ていただきたいです」と締めくくった。
本作では、モマとユーリ、二人の主人公の物語が交錯する。宇宙飛行士のモマは、人類初の火星探検に挑む。火星に向かうのは、7人の宇宙飛行士と、二体のアンドロイド。地上では、バックアップスタッフが彼らの進路を見守っている。旅の中で、モマは“生きる意味”について考え続ける。人間はどこからきたのか、何のために生きているのか・・・。
一方、仲間と共にロケットを飛ばす研究を続けているユーリ。失敗を繰り返したり、母親に咎められたりしながらも、ロケットを飛ばすことを絶対に諦めないユーリ。そんな彼女の前に、謎の“おじさん”が現れる―。
モマとユーリ、そして二人を取り巻く人々の運命は、前に前に進んでいく。劇中に登場した、「答えは未来にしかない」という、台詞がとても印象に残った。自分自身がこの物語から何を感じるのか、何が人の心を震わせるのか。劇場という宇宙空間に広がるその答えに、ぜひ出会いに行ってほしい。
少年社中・東映プロデュース『モマの火星探検記』は、8月9日(水)から8月13日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて、8月19日(土)・8月20日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。
なお、本作のBlu-ray&DVDが、2018年3月7日(水)に発売されることが決定している。詳細は、公式HPにてご確認を。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)