『黒薔薇アリス』稽古場レポート!石黒英雄の初座長の心がけは「皆の心を裸にすること」

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2017年5月12日(金)より舞台『黒薔薇アリス』が上演される。本作は、ドラマ化された「失恋ショコラティエ」や映画化された「脳内ポイズンベリー」などで知られる水城せとなの人気漫画(秋田書店)を原作としたもの。開幕を10日後に控えた5月2日(火)には公開舞台稽古と囲み会見が行われ、主演の石黒英雄、ヒロイン役の入来茉里、秋元龍太朗、杉江大志、柏木佑介、野嵜豊(劇団番町ボーイズ☆)が稽古の様子について語った。

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公開舞台稽古では、2シーンが披露された。高校の国語教師である菊川梓(蜂谷晏海)と、彼女の想いを寄せる生徒・生島光哉(野嵜)は共に交通事故に遭ってしまう。死の淵をさまよう梓の意識の中に、ヴァンパイアのディミトリ(石黒)が現れ、ある“取引”を持ちかけた。自分の願いを叶えるため、ディミトリに自らの魂を捧げる梓。再び覚醒した彼女の魂は、アリス(入来)という新たな肉体の中にいた・・・という、数奇な運命の幕開けと、ディミトリたちが経営するカフェ「静寂館」で鳴沢瞳子(名塚佳織)がヴァンパイアたちと関わりを持つ場面。

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石黒は、ミステリアスな雰囲気を漂わせながら、ディミトリという役に底の見えない不思議な引力を感じさせる。そして、ディミトリと同じくヴァンパイアとしてアリスの前に現れるレオ(秋元)、双子の櫂(杉江)と玲二(柏木)も、一つのシーンの中にそれぞれのキャラクターを示唆する言葉や仕草を織り込んでいく。また、そんなメインキャラクターたちの存在を、アンサンブルが吸血樹や遣い魔として、肉体を駆使し引き立てていくのが印象的だった。

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また、ディミトリが欲したアニエスカ役と、梓の魂を入れられたアリス役の二役を演じる入来が見せる、人形のような虚ろな姿から変化していく瞬間の表現が巧みでおもしろい。梓役の蜂谷との呼吸もぴったり。本番では、アリスの肉体と梓の魂が融合していく様を、じっくりと見せてくれるに違いない。

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演出のキムラ真からは「世界観を伝えるために、急がず、何をしているのかをしっかり伝えましょう」と意識付ける言葉も。その言葉を具現化するように、稽古の合間には柏木が「あのシーン、レオが○○を動かすの難しいでしょ?俺がやるよ」と秋元に提案したり、蜂谷と野嵜が事故シーンをしっかり見せるために、アンサンブルと共にタイミングを合わせる練習を重ねたりする姿があった。

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囲み会見では、主演の石黒が「本当に雰囲気がよくて、毎日稽古をしていても時間があっという間です」とカンパニーを讃えた。また、自身の見どころについては「今日はお見せできませんでしたが、100年前のウィーンで成り上がるディミトリの芝居が印象的です。また、ディミトリの奥に潜んでいる野心が舞台に非常にマッチしていて、力強く舞台で表現できるので、その辺りも楽しみにしていただきたいです」とアピール。

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そして、秋元は「水城せとな先生の作品の初舞台化ということで、そのことに大きな意味を感じています。ヴァンパイアという非日常の題材ですが、そこにある生々しい人間模様を大切に、必死に演じます」と意気込んだ。先日、原作者である水城が稽古場を訪れたそうで、キャストたちは「まだ漫画で描ききれていないキャラクターのことや、今後の展開のことも教えてもらった」という。

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双子を演じる杉江と柏木は「二人のシーンはもちろん、綺麗な世界観の中に綺麗じゃない人間模様がマッチした、美しい作品をアンサンブルの方々が彩ってくださっているので、その空気感を十分に活かしてお届けしたいです」(杉江)、「僕らが抱えている、内側の葛藤を皆さんに受け取っていただけたら。ただ明るいだけではない玲二を観てほしいです」(柏木)とそれぞれ語った。

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また、終始緊張気味だった野嵜が「石黒さんをはじめ、皆さんがお芝居についてご指導くださるので、いい経験になっています」と一生懸命コメントするのを、周囲が微笑ましく見守り、雰囲気の良さを醸し出す場面も。

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そんな男性陣に、入来は「観にきてくださった女性のお客様が、アリスを通してドキドキ感を一緒に味わってもらえたら嬉しいです。先週、演出のキムラさんが『アリスを芝居の中で、それぞれキャラクターとして本気で落としに行こう』とおっしゃっていたので、皆さんそれぞれのセンスが楽しみです(笑)」とプレッシャーをかけ、笑いを誘った。

最後に、石黒は「“皆の心を裸に”していこうと取り組んでいます。お互いが気を使って芝居をするのではなく、本音や本心を出しつつ、一丸となっていきたいので」という初座長の心がけと共に「『黒薔薇アリス』でしか表現できない愛が、この舞台にはたくさん詰まっています。ぜひ劇場にお越しください」と呼びかけた。

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舞台『黒薔薇アリス』は、5月12日(金)から5月21日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて上演される。

また、「静寂館」のシーンには日替わりゲストの出演も決定している。ゲストとして登場するのは、仲村優一、二葉勇・安井一真(劇団番町ボーイズ☆)、上田堪大、小西成弥、村田充の6名。5月13日(土)の2公演のゲストを務める中村と石黒が作品の中で顔を合わせるのは『仮面ライダー電王』以来、約10年ぶり。そのほか、各日の出演者の日程は以下のとおり。

5月13日(土)12:00公演/17:00公演 中村優一
5月14日(日)12:00公演/17:00公演 二葉勇・安井一真(劇団番町ボーイズ☆)
5月16日(火)13:00公演/18:00公演 上田堪大、小西成弥
5月20日(土)12:00公演/17:00公演 村田充

(C)水城せとな/「黒薔薇アリス」小学館フラワーコミックスα/舞台「黒薔薇アリス」製作委員会

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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