松本潤や石原さとみなどの豪華キャストで話題となったTVドラマ『失恋ショコラティエ』、真木よう子・西島秀俊出演の映画『脳内ポイズンベリー』など、数々の話題作を生み出してきた漫画家・水城せとなによる人気コミック『黒薔薇アリス』が、ついに舞台化される。2017年2月2日(木)には、作品の世界観を現したかのような教会で制作発表が行われ、出演する石黒英雄、入来茉里、秋元龍太朗、杉江大志、柏木佑介、野嵜豊(劇団番町ボーイズ☆)、名塚佳織、演出を務めるキムラ真、そして、原作者の水城が登壇した。
本作は、美しいヴァンパイアと人形のような金髪美少女が織りなす切ないラブストーリー。1908年、ウィーン。友人の婚約者アニエスカに恋心を抱くテノール歌手のディミトリは、事故に遭い奇跡的に命をとりとめるも、ヴァンパイア(吸血樹)となってしまう。そして、100年後の東京。事故に遭った菊川梓の前に100年前と変わらない姿のディミトリが現れて・・・。
主人公のヴァンパイア・ディミトリ役の石黒は、約3年ぶりの舞台出演となり、初座長を務める。この3年間、『ウルトラマンオーブ』で主演を務めるなど、映像を中心に活躍してきたが、石黒は「映像と舞台はまた異なった表現方法ですが、映像で培った瞬発力や主役を演じることで得たものを爆発して出せたら」と意気込み、「観客に強烈な印象を与え、後悔させない作品にしたいと思います」と力強く宣言した。
一方入来は、ウィーン時代のアニエスカ役とヒロインのアリス役の二役を演じる。特にアリスは、アニエスカの肉体に菊川梓の魂が宿った女性という難しい役どころとなる。入来は、アリスについて「割り切っているところがあり、天真爛漫でもあり、急な展開でもその状況を楽しめる度胸がある、芯を持った女性」と分析。そして「原作の世界観を壊さないようなアリスにしたいです。見た目は日本人ではないので、公演までに体型など、見える部分は原作に近づけたいと思っています」と役作りについての構想を明かした。
また、ディミトリと共に暮らすヴァンパイアのレオ役の秋元は「ヴァンパイアという設定ですが、人間模様や人と人が関わることでの切なさなどがキレイに描かれていて、素敵な作品になると思います。ディミトリとの主従関係も重要な部分になると思うので、その関係性も作っていきたいです」と原作の魅力を交えコメント。
同じくディミトリと暮らす双子の兄・櫂役の杉江は「ヴァンパイアだけど、人間味溢れているという役。人間がヴァンパイアになったことによって、人間と何が変わるのかをリアルに感じながら演じていきたいです」、双子の弟・玲二役の柏木は「愛について描いている作品なので、その愛をうまく体現したいと思います」とそれぞれ語った。
演出のキムラは「原作を読み、愛についてすごく考えました。生涯をかけて達成する愛はどんな気持ちなのか。どう伝えればいいのか。今の若い人にも共感できる作品になると思います」とアピールし、原作者の水城は「私の作品が舞台化されるのは初めてです。私はキャラクターたちのすべてを漫画では描いていないので、(キャストたち)お一人一人がそれ(描いていない部分)をどう感じ取ってくれて、それがどう舞台になるのか、観客の一人として完成を楽しみにしています」と期待を寄せた。
なお、この日の会見では、ディミトリ・レヴァンドフスキ&アリスのキービジュアルと、ディミトリ&アニエスカのキービジュアルも初公開された。ディミトリとアリスによるビジュアルは、体を寄せ合ってソファに寝そべる二人の姿を映したもので、入来は「石黒さんが、右手をどこに置いたらいいか分からなそうだったので『そのままお尻にどうぞ』って伝えました(笑)」と撮影秘話も披露。一方、ディミトリとアニエスカのビジュアルは1900年代のウィーンを彷彿とさせる世界観が広がっている。
舞台『黒薔薇アリス』は、5月12日(金)から5月21日(日)まで東京・Zeppブルーシアター六本木にて上演される。
(C)水城せとな/「黒薔薇アリス」小学館フラワーコミックα/舞台「黒薔薇アリス」製作委員会
(取材・文・撮影/嶋田真己)