英国ヴィクトリア朝時代の闇へと誘うダークファンタジー!ミュージカル「黒執事」~NOAH’S ARK CIRCUS~ゲネプロレポート

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2016年11月18日(金)に東京・TOKYO DOME CITY HALLにて、『ミュージカル「黒執事」~NOAH’S ARK CIRCUS~』が開幕した。本作は、2006年より連載中の枢やなによる漫画を原作とした舞台シリーズの最新作。2009年の初舞台化、2015年の『-地に燃えるリコリス2015-』では海外公演も行われ、国内外で人気を博している。今回は、華やかなサーカス団の裏に秘められた闇に迫るサスペンスとして、原作ファンからも非常に人気の高い「ノアの方舟サーカス編」をミュージカル化。

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演出は前作に続き、劇団少年社中の主宰で、2.5次元作品の演出や特撮作品の脚本なども手掛ける毛利亘宏。セバス役は圧倒的な存在感と歌唱力で観客を魅了する古川雄大が続投、シエル役はオーディションで抜擢され、本作が初舞台となる内川蓮生が務める。

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サーカス団のメンバーとして、ジョーカー役を数多くの映画やドラマで活躍する三浦涼介、スネーク役を玉城裕規、ビースト役を田野アサミ、ダガー役を三津谷亮が演じる。そして、ファントムハイヴ伯爵家の使用人トリオであるバルドロイ(鷲尾昇)、フィニアン(河原田巧也)、メイリン(坂田しおり)、そして原作ファンからも人気の高いインドの王子ソーマ(陳内将)&その執事アグニ(TAKUYA)、葬儀屋(和泉宗兵)、死神のウィル(輝馬)も登場。

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巨大で迫力ある舞台美術ときらびやかな衣装が、19世紀後半ヴィクトリア朝時代の英国を舞台とした貴族たちのゴシックで華麗なヴィジュアルを表現。そのクオリティは、原作の再現性の高さと世界観で人気を博しているシリーズならでは。

その絢爛な貴族と執事として、新タッグを組む内川と古川。今回が初舞台となる内川だが、古川が「小学生とは思えない度胸と演技力」と語るように、凜々しく、冷酷で傲慢さを持ちながら、時に可愛らしさをのぞかせるシエルを堂々と演じていた。その内川に「あくまで、執事ですから」と華麗に付き従う古川。この新しい主従関係には、原作ファンも納得だろう。

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2.5次元作品としてのヴィジュアル面もクオリティが高い。シエルやセバスチャンたちの再現度だけでなく、本作の要であり、エセ関西弁を操るド派手な見た目の持ち主のジョーカーや、サーカス団員の中でもミステリアスなキャラクターとして人気のスネークなど、それぞれの造形を観ているだけでも楽しい。

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ミュージカルとして、本シリーズは歌とダンスにも定評のある。今回も、セバスチャンや使用人トリオ、ジョーカーらサーカス団、ソーマ&アグニ、死神ウィルらによるバリエーション豊かなミュージカルナンバーとダンスは魅力的だ。

その中でも、ソロアーティストとしても活躍する三浦がジョーカーとして歌うシーンは圧巻。ジョーカーたちが運命に翻弄され悲しく散っていく様を、儚くも美しく歌い上げている。また、ジョーカーのナンバーには原作・アニメでも歌われていた、笛吹きの息子トムの歌である「丘を越えて彼方へ」もあるため、ぜひ原作・アニメファンも注目して欲しい。

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さらに「ノアの方舟サーカス編」ということで、綱渡り、空中ブランコ、アクロバットなどサーカスパフォーマンスをふんだんに取り入れたエンターテインメント作品にもなっている。特に、ダガー演じる三津谷の一輪車演技は、一輪車の世界大会で優勝した経験から“一輪車の王子様”と呼ばれるほどの腕前。そのダイナミックなパフォーマンスは必見だ。

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そして、ストーリーは、不気味なケルヴィン男爵(小手伸也)の登場と、飄々とした先生(姜暢雄)の語りにより一気に佳境へ。真実を知ったシエルの決断と、ジョーカーたちサーカス団員を待ち受ける運命は・・・。その結末はダークファンタジー作品らしく、実に切なく悲しい。

ゴシックで絢爛豪華なヴィクトリア朝時代の貴族社会を華麗なサーカスショーが彩り、ステージは魅惑的にきらめく。国内屈指のスケール感を持つエンターテインメント・ミュージカル作品だ。

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ミュージカル『黒執事』~NOAH’S ARK CIRCUS~は、11月18日(金)から11月27日(日)まで東京・TOKYO DOME CITY HALLにて上演。その後、福岡、兵庫、愛知公演が行われる。日程の詳細は下記のとおり。

【東京公演】11月18日(金)~11月27日(日) TOKYO DOME CITY HALL
【福岡公演】12月3日(土)・12月4日(日) キャナルシティ劇場
【兵庫公演】12月9日(金)~12月11日(日) あましんアルカイックホール
【愛知公演】12月17日(土)・12月18日(日) 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール

(C)2016 枢やな/ミュージカル黒執事プロジェクト

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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