ジョンソン&ジャクソン新作公演『夜にて』が、2016年10月20日(木)より東京・CBGKシブゲキ!!にて上演される。劇団ナイロン100℃の大倉孝二とブルー&スカイによるユニットが贈る約2年ぶりの新作舞台、その開幕に先がけて公開稽古が行われた。
今作の出演には、大倉とブルー&スカイはもちろん、映画『ヒメアノ~ル』など話題作への出演が続く佐津川愛美や、劇団猫のホテルの佐藤真弓、劇団ナカゴー主宰の鎌田順也、ナイロン100℃の菊池明明、そして大堀こういちと個性派俳優が集結。「役に立たない演劇」を標榜し、あくなき挑戦を続けるジョンソン&ジャクソンの新作公演とは如何に!?今回は、そんな期待高まる舞台『夜にて』の稽古場の様子をレポートする。
この日公開されたのは、寂れた温泉街の小さなスナックを舞台とした場面。小さなスナックを営む道子(佐藤)と、その従業員・加奈(菊池)、街の刑事・東屋(大堀)、温泉宿の女将・月子(佐津川)、医者・犬塚(ブルー&スカイ)、街の権力者・竜一(鎌田)を巻き込み、雑誌ライターの調(大倉)がこの街で5年前に起きたある殺人事件の核心に近づいていく・・・。
場面の内容だけを説明すると、いたって普通の物語が予想されるかもしれない。しかし、そこはジョンソン&ジャクソンである。ストーリーは脱線に次ぐ脱線で、誰もが予想できない奇天烈な方向へと進んで行く。1分ほどの間に何度も訪れるくだらない展開に、笑いを抑える暇さえなかった。
以前のインタビューの際、大倉は稽古場の様子について「基本的に静かですね。僕が一人で笑ってるパターンが多いかな。僕があまりテンションの高い人が好きじゃないので、騒がしい人を選んでいないだけかもしれませんが・・・」と答えていたが、その言葉どおり、稽古場には出演者たちのリラックスした雰囲気が漂っていた。
今作では演出をメインで担うブルー&スカイが、場面の区切りごとに出演者に近寄り小声で演出をする。その間、他の出演者は自分の立ち回りを静かに確認したり、何人かで集まって雑談のような軽快さでアイデアを出し合う。そして時折、稽古場に大倉の笑い声が響く。演出家が激しく檄を飛ばす稽古場とは真逆の、落ち着いた様子が続いた。
しかし、再び場面を戻して演じられると、確実に「くだらなさ」に磨きがかかり、初めて見るような新鮮な場面として立ち上がる。特に、ブルー&スカイが力を入れて演出をしていた佐津川演じる月子のとある場面では、佐津川自身が演じながら涙を溜めて笑いを堪えるほど、面白いシーンに生まれ変わっていた。
小劇場、テレビドラマ、映画と、長年キャリアを積んで来た俳優陣だからこそ、阿吽の呼吸で演技と笑いに磨きをかけられる。そうした稀有な稽古場なのだろう。
「役に立たない演劇」を標榜しているが、意表をつく展開の数々と果てしない笑いの旋風に、「役に立ってしまうではないか?」と思わず心配(?)してしまうほど、驚きと笑いが絶えない公開稽古だった。ぜひ、完成した本作の姿を劇場で目撃していただきたい。
ジョンソン&ジャクソン新作公演『夜にて』は、10月20日(木)から10月30日(日)まで、東京・CBGKシブゲキ!!にて上演される。そのほかの公演スケジュールは以下のとおり。
【盛岡公演】11月3日(木・祝) 岩手・盛岡劇場 メインホール
【いわき公演】11月5日(土) 福島・チームスマイル・いわきPIT