1986年以来上演され続け、今や国民的ミュージカルともなっている『アニー』。2017年版は、これまで16年間に渡り演出を担当してきたジョエル・ビショッフに代わり、『ラ・カージュ・オ・フォール』や『天使にラブ・ソングを〜シスター・アクト〜』などの演出で知られる山田和也が、新しく演出を手掛けることが明らかとなった。さらに、翻訳台本、振付、舞台美術、衣装なども一新し、新生『アニー』として動き出す。10月2日(日)には都内にて今回のアニーとほかの孤児役のオーディション合格発表が行われ、新アニーには野村里桜と会百花が選ばれた。
主演のアニー役は毎年オーディションで決定され、これまで60人の「アニー」が誕生している。今回のオーディションは、書類審査合格者420人が歌・ダンス・演技の実技審査に挑み、アニー、モリー、ケイト、テシー、ペパー、ジュライ、ダフィ役(各2名のWキャスト)の14人が選出された。
新アニー役に決定した野村は、2014年にモリー役で出演しており、2度目の挑戦で主役の座を掴んだ。合格発表で名前が呼ばれた際には涙を流して喜んでおり、「前向きで、私にしかできないアニーを演じたいです!」と元気いっぱい。
今回のオーディションでは、実の姉(野村愛梨)もダフィ役に合格しており、2014年に続いて姉妹共演が実現する。野村は「姉妹そろって2回目の出演というのは、初めてのことだと思います。家でも練習したり、教え合ったりしたいです」と笑顔を見せた。
一方、今回が『アニー』のオーディション初挑戦にして主役に抜擢された会は「アニーはとても明るくて、かわいくて、愛される人だと思うので、それを出せるようがんばります」と挨拶。「自分らしさとみんなを楽しませること、そして期待に応えたいと思っています」と力強く語った。
本作より演出を手掛ける山田は「アニー“らしい”って何だろうと考えました。二人を見た時『アニーらしいというのはこういうことだ!』と感じたんです」と野村と会を選んだ理由を明かす。そして「今までの『アニー』に負けないよう、楽しく、フレッシュなミュージカルを作りたいと思います」と意気込んだ。
また、今回から振付・ステージングを務める広崎うらんは「今回、ワークショップ形式でオーディションを行い、発想力やイメージ力も見させていただきました。二人は芝居しないで表現するということができていたのが良かった。2グループで上演するので(違いを)私たちも楽しみにしています」と新アニーに期待を込める。
本作では、“タップキッズ”と呼ばれる少年・少女たちのタップダンスが見どころの一つともなっているのだが、それについて広崎は「今回からは“タップキッズ”ではなく“ダンスキッズ”になります。どこにどんな演出で入れられるのかも楽しみにしてください」と新たな見どころも明かした。なお、ダンスキッズのオーディションは11月に開催される予定だ。
さらに、元プロ野球選手で、現在、阪神タイガースの内野守備走塁コーチを務める久慈照嘉の娘・久慈愛がテシー役に決定した。久慈は「(父には)自分の力をオーディションで出してきなさいと言われました。アニー役ではなかったけれどテシーになったよって、まずはパパに報告したいです」と喜んだ。
丸美屋食品ミュージカル『アニー』は、2017年4月下旬から5月上旬にかけて東京・新国立劇場 中劇場にて上演される。
(取材・文・撮影/嶋田真己)