日本初上演となる『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』が、2016年9月10日(土)に東京・世田谷パブリックシアターにて開幕する。本作は、2013年にピュリッツァー賞(戯曲部門)を受賞し、2015年にはトニー賞(ベストプレイ部門)にもノミネートされた話題作。9月8日(木)に公開ゲネプロと囲み会見が行われ、小日向文世、秋山菜津子、安田顕、小島聖、平埜生成が揃って登壇した。
2014年から2015年にかけて上演された『海をゆく者』以来の舞台出演となる小日向は、「久しぶりなので、正直、緊張していますね。演じるという意味では、映像も変わらないはずなんですが、改めて舞台の恐ろしさや緊張感を感じて、とても高揚しています。いい緊張感を持ってお客さんの前に立ちたいというのが、今の切なる思いです」と、心境を明かした。
秋山も「どんな舞台もそうなんですが、(幕が開ける前は)期待と不安、両方があります」と続けた。小日向との共演は3度目。「今回ほどがっつり台詞のやり取りをさせていただいたことはなかったです。今回は夫婦の役なので、濃密にやっていきたいです」と意気込む。
本作が日本初上演であることに触れた安田は、「初めての体験というのは、忘れ難いものですから。ぜひ、ご覧になっていただければ」とアピールし、「皆さん、思っていた以上に素敵な方でしたね。芝居ではてんでバラバラなんですけど、穏やかな方が多いので、いいチームワークができています」と安田らしい言葉で共演者を讃えた。
演出家の栗山民也から「細胞が震えるような音(声)を」といった演出を受けたという小島は「言葉をどう発したらいいのかなど、模索しています。気を緩めることなく、皆さんの言葉を一つずつキャッチして、食らいついていきたいなと思います」と会話劇の難しさを明かした。
ベテラン勢に混ざり、奮闘する平埜は「・・・緊張しています!がんばります!!」と張り詰めた様子。安田から「純朴に物事を伝えようとするんだけど、うまくいかない若い熱さ・・・、私もこういう風になってみたい」と声をかけられると、「すごい座組みに入れていただいたので、きっちりバトンを受け取って、渡していかないと『消される!』と思って・・・」と額に汗をにじませながら呟き、笑いを誘った。
最後に、小日向が「人種問題、宗教問題はもちろん深いテーマとしてあるんですがそれを前面に出して説教くさくなってしまうのではなく、もっと人間同士のぶつかり合いや、プライドのぶつかり合い、怒り、憎しみ、愛情・・・すべて含めて“人間の喜怒哀楽”をぶつけ合うおもしろさが、お客さんに一番観てもらいたいところだと、演出の栗山さんも言っていました。僕らもそれを意識して、たくさんの素晴らしい台詞をしっかりと客席に届けられるよう、立ち向かっていくつもりです」と締めくくった。
パキスタン系アメリカ人の弁護士アミール(小日向)、その妻で白人の画家エミリー(秋山)の元に、ある日アミールの甥エイブ(平埜)が“相談”を持ちかけてきたことから、少しずつ歯車が狂い出す。
ある夜、ユダヤ人でホイットニー美術館のキュレーターであるアイザック(安田)と、その妻でアミールと同じ事務所で働く黒人弁護士ジョリー(小島)が、二人を訪ねてくる。エミリーの作品がホイットニー美術館に展示されることになり、それを祝うホームパーティーが開かれたのだが・・・。
良くも悪くも「本音」と「建前」の文化が色濃い日本では、なかなか生まれることのない言葉と言葉のぶつかり合い。自らの意見や信条は、口からこぼれる度に熱を帯び、相手を通して燃え上がる。私たちが様々なレンズを通して見ている世界に、膨大な台詞の一つ一つが自らの問題として「人間の本質」を問いかけてくる衝撃作だ。
『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』は、9月10日(土)から9月25日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。その後、愛知、兵庫でも公演を行う。日程は下記のとおり。
【東京公演】9月10日(土)~9月25日(日) 世田谷パブリックシアター
【愛知公演】9月27日(火) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【兵庫公演】9月30日(金)~10月2日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール