平幹二朗×浅利陽介が熱き師弟愛を演じる!舞台『CRESSIDA クレシダ』ゲネプロレポート

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2016年9月4日(日)、東京・シアタートラムにて舞台『CRESSIDA クレシダ』が開幕した。イギリスの劇作家ニコラス・ライトの戯曲を、注目の演出家・森新太郎が手掛ける本作。出演者には、主演の平幹二朗を筆頭に、浅利陽介、碓井将大、藤木修、橋本淳、花王おさむ、高橋洋とベテランから若手まで実力派俳優陣が勢揃いした。

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舞台は1630年代頃のロンドン、グローブ座。シェイクスピアが死去した後のイギリス・ルネサンス演劇時代。この時代の劇団は男性によってのみ構成され、女役は若い少年俳優が演じていた。かつての名優シャンク(平)は、晩年ここの演技指導者になっていた。そこへ養成所から少年スティーヴン(浅利)が入所を希望する。彼の話し方は非常に幼く、シャンクは入所を断るのだが・・・。しかし、シャンクのある思惑により、『トロイラスとクレシダ』のヒロイン・クレシダを演じることとなったスティーヴン。そしてシャンクによる猛レッスンが始まる・・・。

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公演ポスターなどのビジュアルイメージや、海外戯曲でイギリス・ルネサンス演劇やシェイクスピアをモチーフとしているということで、重厚で難しい芸術作品かと思われるが、そのイメージと違って、本作は喜劇や剣劇の要素もあり、エンターテインメントな作品となっている。もちろん、イギリス演劇史やシェイクスピアが好きな方も、その時代背景や、シェイクスピア作品の数々がエッセンスとして散りばめられたストーリーにきっと満足できるだろう。

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特に、かつては名優として名を馳せ、晩年は演技指導者となったシャンクというキャラクターが秀逸。イギリス・ルネサンス演劇の伝統的な演技を尊重する頑固な演技指導者という面と、一方で金に汚く、自分のためなら平気で自分の教え子を犠牲にするが、どこか憎めないユーモアを持ち合わせた魅力あるキャラクターだ。そのシャンクを、名優・平が圧倒的な迫力でありながら、時にユーモラスな面を見せる演技で演じ切っており、その姿に魅了されること間違いなしだ。

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また、中盤のクライマックスでもある、シャンクによるスティーヴンへの迫力ある演技指導シーンは圧巻の一言。鬼気迫るシャンクと、それに答えるスティーヴンの姿は、役を超えて、あたかも平から若手俳優である浅利への本当の演技指導を観ているのではないのかと錯覚させるほどだ。

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イギリス・ルネサンス演劇の時代の代表者であるシャンクと、女性を演じる姿から期せずして新たな演劇の時代の幕開けを感じさせるスティーヴン。そのスティーヴンを観て、シャンクはやがて女性も舞台に立つ時代が来るのではないかと感じていく・・・。シャンクという男を通して、うら若き少年俳優たちの生きる姿と人間模様を麗しく、時にユーモラスに描く本作は、シェイクスピアやイギリス演劇に詳しくない人でも十分に楽しめるエンターテインメント作品だ。

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舞台『CRESSIDA クレシダ』は9月4日(日)から9月25日(日)まで東京・シアタートラムにて上演。その後、茨城と大阪で公演が行われる。日程は下記のとおり。

【東京公演】9月4日(日)~9月25日(日) シアタートラム
【茨城公演】10月1日(土)・10月2日(日) 水戸芸術館 ACM劇場
【大阪公演】10月8日(土)・10月9日(日) サンケイホールブリーゼ

※高橋洋の「高」は正しくは「はしごだか」

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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