2016年3月19日(土)にシアタークリエで開幕した舞台『GEM CLUB』。これまで玉野和紀が送り出してきたエンターテインメントショー『CLUB SEVEN』のDNAを受け継ぎ、ダンス、歌、ミュージカル、コメディ、ロマンスからギャグまでさまざまなファクターが織り込まれた“怒涛のジェットコースター・パフォーマンスショー”だ。『CLUB SEVEN』がどう進化し、どんな玉野ワールドが構築されているのか…初日前日に行われたゲネプロ(公開舞台稽古)の模様をレポートしたい。
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舞台は「GEM CLUB」と呼ばれるショーハウス。オーナー(紫吹淳)、総支配人(玉野和紀)、チーフマネージャー(原田優一)らのもと、若い才能の原石=“GEM”たちが日々稽古をし、クラブの観客たちに熱いショーを見せている。ある日、オーナーが新しいショーを作ると言い出し、そのテーマを発表するのだが、その内容はかなり奇抜なものだった。トライ&エラーを重ねながら新たなショーを創ろうとする総支配人以下のメンバーたち。しかし事態はいつしか思わぬ方向に…。
一幕ではオーナーが発したテーマをもとに、新しいショーを作り上げようとするメンバーや、総支配人らの試行錯誤がダンスや歌、ショー・スケッチと呼ばれるギャグをふんだんに盛り込んだ場面で表現され、二幕では“GEM”たちのダンスと歌とがノンストップでスパークする。
“GEM”のメンバーは中河内雅貴、相葉裕樹、植原卓也、矢田悠祐らの年上チームと、高橋龍輝、荒田至法、大久保祥太郎、渡辺崇人、石川新太らの年下チーム、そしてルビー役の愛加あゆの10人。玉野が「シアトリカルダンスをしっかり見せたい」と語っていた通り、ドラマをはらんだダンスが腕に覚えのあるキャスト陣によってさまざまなバリエーションでスピーディーに展開していく様は爽快だ。ダンスの際に使われる、あっと驚く小道具にもぜひ注目していただきたい。
『CLUB SEVEN』の“売り”の一つである、ギャグが盛り込まれたショー・スケッチは本作でも健在。玉野自ら「え、そんな恰好で?」という姿で登場し、原田がエッジの効いた芝居でしっかり笑いを取りながら魅せる。そこに“GEM”たちが上手く乗っかり、それぞれの個性を出していく構成は流石の一言。年上チームである中河内のストイックでキレっキレのダンス、華のある相葉の佇まい、コミカルな面とクールな顔とが瞬時に変わる植原のキャラクター、歌の実力も際立つ矢田の幅広さ等の見どころに加え、年下チームが若さを武器に輝く様子も見逃せない。
本作に関してあまり詳細に記載すると、ネタバレになる恐れがあるので内容に関してはこの程度にさせていただくが、ダンスや歌、ショースケッチ等、キラキラした世界の根の部分には玉野からの「流した汗の分だけ必ず答えは見えてくる」という強いメッセージが感じ取れた。ぜひ劇場で“GEM”たちが放つパワーを思いっきり受け止めて欲しい。
『GEM CLUB』は4月1日(金)までシアタークリエにて上演。東京公演終了後はサンケイホールブリーゼでの大阪公演も予定されている。
(取材・文 上村由紀子)