第23回読売大賞で、杉村春子賞・優秀女優賞を受賞した高畑充希。杉村春子賞では、パルコ『いやおうなしに』の真壁芳奈役、Bunkamura『靑い種子は太陽のなかにある』の弓子役の演技が高く評価された。みずみずしい存在感と確かな演技力で注目を集め、今後さらなる飛躍が期待される高畑に、2016年2月29日(月)に行われた贈賞式での表彰直後の心境を聞いた。
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高畑は、2005年デビュー。2007年からミュージカル『ピーターパン』で主役を6年間務め、現在、数々の舞台やテレビドラマへの出演を果たしている。『いやおうなしに』では、清純そうに見えてみだらな、二面性のある女子高生役を熱演。『靑い種子は太陽のなかにある』では蜷川幸雄演出のもと、猥雑なスラムの中でさわやかな空気を放つヒロインを好演し、澄んだ歌声で観客を魅了した。
大きな賞を受けるのは、これが初となる高畑。受賞の一報を受けた時の心境について、「自分は“女優”をやっているんだなと思いました。これまで、受賞式や賞というのは、どこか他人事のように思っていたんですけど、まさか最初からこんな大きな賞を頂いてしまって・・・。女優をやっていてもいいんだなって思えました」と振り返った。
受賞式の挨拶では、ブロンズ像の重さに驚いていたが、「皆さんが、たくさんおめでとうと声をかけてくださって、私も素直にありがとうって思えました。こんなにおめでとうって言ってもらえることもなかなかないので、ご褒美だなと」と、改めて受賞を実感したようだ。
『いやおうなし』については、脚本を手がけた福原充則から「当て書きだからね」と言われ、「私こんなにややこしい人間じゃないのにな・・・」と思ったと明かす。確かに、ピーターパンを演じていた高畑をイメージして観たら、ひっくり返ってしまいそうな役どころだったが、「あんなに(上演中に)お客さんが帰ってしまう舞台は初めてで(笑)。その一方で、すごく興奮してお客さんが帰っていく作品も初めて。観た方の感じ方がここまで極端な作品は初めてでしたし、なかなか出会える機会もないと思うので。とても幸せでした」と語る。
『靑い種子は太陽の中にある』については、「役柄的にも耐え続ける役だったんですけど、すごく苦しくて・・・蜷川さんも怖いし(笑)。頭がいっぱいいっぱいになったんですけど、周りの方に助けて頂いたり、蜷川さんからポイントごとにものすごく愛のある言葉を頂いて、幕が開いてからは羽が生えたみたいに楽しくて仕方がない舞台でした」と感謝の気持ちを述べていた。
今年4月からは、連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)への主演も控える。今後、どんな役をやってみたいかと聞くと「どんな役でもやってみたいです。想像もつかないような役を頂いて、それに取り組んで、自分の中に残るものにしていけたらいいなと思います」。
最後に、「さきほど、秋山菜津子さんにもお会いして、秋山さんが杉村春子賞(第9回)を受賞されて、昨年ついに最優秀女優賞(第22回)を受賞されたというお話を聞きました。こういう先輩の背中を追いかけたいなと思いました」と、意欲的な言葉を聞かせてくれた。
受賞式の挨拶で“ずっと舞台に片思いをしていた”という印象的な表現をした高畑。幼い頃から舞台女優を夢見て、着実に力をつけてきた。今回の受賞において、審査員の萩尾瞳(映画・演劇評論家)から“若さに似合うみずみずしさと、若さに似合わぬ繊細な演技力”と評された高畑のさらなる飛躍に、注目していきたい。