第60回岸田國士戯曲賞(白水社主催)の選考会が、2月29日(月)に行われ、選考の結果、タニノクロウ『地獄谷温泉 無明ノ宿』の受賞が決定した。選考委員は、岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、平田オリザ、宮沢章夫(50音順)の6名。
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岸田國士戯曲賞は、劇作家・岸田國士の遺志を顕彰すべく、株式会社白水社が主催する戯曲賞で、演劇界に新たなる新風を吹き込む新人劇作家の奨励と育成を目的に、1955年に新劇戯曲賞として設置。1961年には「新劇」岸田戯曲賞、1979年に岸田國士戯曲賞と改称され今日に至る。新人劇作家の登竜門とされることから、「演劇界の芥川賞」とも称されている。
選考対象は、原則として1年間に雑誌発表または単行本にて活字化された作品(ただし、画期的な上演成果を示したものに限って、選考委員等の推薦を受ければ、生原稿・台本の形であっても、例外的に選考の対象とすることがある)。第60回の選考結果は、以下のとおり。
【第60回岸田國士戯曲賞受賞】
タニノクロウ『地獄谷温泉 無明ノ宿』
【第60回岸田國士戯曲賞最終候補作品一覧】(作者五十音順、敬称略)
神里雄大『+51 アビアシオン, サンボルハ』(「新潮」2015年6月号)
根本宗子『夏果て幸せの果て』(上演台本)
古川健『ライン(国境)の向こう』(上演台本)
ペヤンヌマキ『お母さんが一緒』(上演台本)
三浦直之『ハンサムな大悟』(上演台本)
柳沼昭徳『新・内山』(上演台本)
山本健介『30光年先のガールズエンド』(上演台本)
選考員の岡田は「タニノクロウ氏の『地獄谷温泉 無明ノ宿』は、反時代的であることが時代に対して最高にヴィヴィッドな力を持つのだ、というその最良の例のひとつです。人物たちの秘められた思い、欲望が秘められたまましっとり、かつ、くっきりと描かれ、それは技術的に見事だというだけでなく、実にセクシーでした」とコメントしている。
タニノは、庭劇団ぺニノ主宰。岸田國士戯曲賞最終候補回数は、三回目。『地獄谷温泉 無明ノ宿』は、2015年8月27日~8月30日に東京・森下スタジオ Cスタジオにて初演された。