2014年3月に大好評の中、幕を下ろした『SHUNPU Gaiden~春風外伝~』が再び、銀座・博品館劇場に帰って来た! 昨年、破天荒な主人公、尾張藩主・徳川宗春役を演じた石坂勇、中性的な劇場プロデューサー・桃奴役を務めた蒼井翔太、わけあって遊郭に身を置く可憐な花魁・お文役の愛原実花、将軍・吉宗を忍術で操る黒幕・服部半蔵を演じた天宮良らに加え、NHK大河ドラマ「軍師勘兵衛」へ出演を果たし、ますます注目を集める日舞パフォーマー・花園直道や、ダンサー・振付家としても活躍中の舘形比呂一などを新たに迎えパワーアップしている。
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1680年代ライバルだったといわれる八代将軍徳川吉宗と、尾張藩藩主徳川宗治との物語を大胆にアレンジした本作だが、バックグラウンドもキャリアも異なる石坂と花園が、良いケミストーリーを生み出し、正反対ともいえるキャラクターを見事に演じ切っている。2人以外のキャスト陣も、ハイレベルのパフォーマーたちばかりで、それぞれの個性のぶつかり合いで生まれるエネルギーや、ステージの持っているライブ感や、観客を巻き込んだ演出など、当サイトのインタビューで石坂が語っていたように舞台の原点とも言える魅力が詰まっている。
インタビューでそれぞれが自身と本作で演じるキャラクターには共通点があると語っていた二人だが、豪快で破天荒でありながら人々への思いやりや情熱を感じさせる宗春役を演じる石坂も、将軍と言う立場にプレッシャーを感じながらも真面目に取り組もうとする繊細な吉宗役を演じる花園もまさにはまり役と言ったところ。
大立ち回りやあでやかな着物、ど派手な舞台転換など、歌舞伎や時代劇の魅力をふんだんに持ちながらも、歌にダンス、タップなど現代のパフォーマンスを巧みに融合し、文字通り“ジャンク歌舞伎”というキャッチフレーズがしっくりとくるエンターテインメント作品に仕上がっており、時代劇や歌舞伎に慣れない人であっても楽しめる内容になっている。ゲネプロ終了後、出演者たちとともに姿を現した石坂の「(本作公演の)幕が下りるまで、希望という名の“春風”を撒き降らしたいと思います」という言葉の通り、観た者の心に暖かいものを残す“春風”を吹かせる作品だった。