男たちの“趣味”を覗き見る!?『趣味の部屋』開幕レポート!

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2013年3月に上演され、大きな話題を呼んだ舞台『趣味の部屋』が再びパルコ劇場に帰って来た!中井貴一総合プロデュースのもと集まった出演者たちと、『相棒』『デート~恋とはどんなものかしら~』等のTVドラマでも大きな注目を集めている鬼才・古沢良太の戯曲、そして映像のみならず舞台演出でも評価を得ている行定勲が起こす熱い化学反応…2015年3月7日(土)の初日前日に行われたゲネプロの模様を舞台写真と共にご紹介しよう。

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舞台はマンションの一室。品の良いジャズが流れるお洒落な室内に男たちが集っている。メンバーは“女性は禁制、ただ己の趣味を愉しむ”というコンセプトで人を集め、リーダーとして場をまとめる内科医・天野(中井貴一)、化粧品メーカー勤務の土井(戸次重幸)、車のセールスマン・水沢(川平慈英)、大学の医学部で教える金田(白井晃)の4人。彼らがそれぞれの趣味に興じているとチャイムが鳴り、巡査だというミカ(原幹恵)が現れて聞き込み捜査を始めようとする。どうやらこの部屋の趣味仲間である一人の男が二週間前から行方不明になっているらしい。

『趣味の部屋』

行方不明になった男の趣味は「カメの飼育」。そしてそのカメの甲羅には謎の二文字が刻まれており…。捜査を行おうとするミカとそれを拒絶する天野。お互い引かない空気の中、天野と付き合いの長い金田が重い口を開く。「本当の事を言おう、この部屋はただの“趣味の部屋”ではないんだ」。誰が真実を語り、誰が嘘を吐いているのか…そして彼らが最後に辿り着く“真実”とは?

『趣味の部屋』

まるで額縁のようにも標本箱のようにも見える白い枠の部屋の中で展開していく会話劇。実際の時間の経過と舞台上の時間の流れが同じで、場面展開も俳優の舞台への出入りもほぼない中、物語は進んで行く。何と言っても面白いのはキャラクターが全く違う4人の男たちの会話の応酬だ。時にミステリータッチに、そして時にコメディータッチで交わされる台詞のうねりに観客は笑い、ドキっとし、最後に「そう来たか!」と膝を打つのである。

『趣味の部屋』

“趣味の部屋”のリーダー、内科医・天野役の中井貴一は多彩な感情表現で古沢戯曲に張り巡らされた伏線をチラ見せしつつ繊細な演技で場を牽引し、4人の中では比較的若い土井役の戸次重幸は体を使った芝居で魅せる。逆に川平慈平は高い身体能力を封印し、ヒトクセある車のセールスマン・水沢を好演。更に金田役の白井晃は、ガンダムのフィギュア集めが趣味という大人オタクの役どころで観客を沸かせる。(2月のシアタートラムで暴力的に美しい『マーキュリー・ファー』の演出をした人と同一人物とは思えないハジけっぷり!)この4人のもとに闖入者として入り込むミカ役の原幹恵のキュートさが場を和ませる。

『趣味の部屋』

登場人物たちの間で回される変化球や消える魔球も満載の“言葉のキャッチボール”に酔いしれ、大人の男たちの“熟練の演技”にどっぷり浸りたい作品である。

『趣味の部屋』は、2015年3月7日(土)~29日(日)東京・パルコ劇場にて上演。東京公演終了後、松山・高松・新潟・金沢・福岡・大阪・札幌・函館・広島・仙台で公演有り。

撮影:上村由紀子

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