大阪・シアターBRAVA!が、10周年記念として手掛けるシリーズの一つ、つながる音楽劇『麦ふみクーツェ ~everything is symphony!!~』が、2015年4月から東京・世田谷パブリックシアターと大阪・シアターBRAVA!で上演される。これに先駆けて、11月20日(月)東京・セルリアンタワー東急ホテルにて製作発表会見が開催され、主演の渡部豪太を始め、皆本麻帆、脚本・演出のウォーリー木下、音楽監督のトクマルシューゴ、プロデューサーの日高英雄らが登場した。
シアターBRAVA!で上演される作品、関西の演劇ファンはきっとチェックされてます…よね?まだの方はこちらからどうぞ。
本作は坪田譲治文学賞を受賞した、いしいしんじの同名小説を舞台化した作品。演出の木下をはじめ、登壇者には本作のファンが多いようで、中でもヒロインの“みどり色”役を演じる皆本は、「いしいさんの作品がすごく好きなので、このお話をいただいたときに本当にびっくりしました! 絶対やりたいと思っていたので、出られるという連絡が来るまで、毎日小説を枕元に置いて寝ていたんです」と、緊張した様子で語った。その後も「こういった場所で話すのは苦手で…」と、なかなか緊張がほぐれない皆本に、木下たちが「どんな役なんですか?」と助け舟を出すといった光景も見られた。
会見の中盤では、本作の“音楽でつながる”というテーマにちなみ、登壇者と本作に出演する楽団メンバーによるサプライズの演奏会が行われた。パフォーマンスの最後には、渡部が主人公“ねこ”の特徴でもある猫の鳴き声を披露。現段階でもしっかりした猫の鳴き声だったが、渡部自身は「この作品の中で僕の楽器になるのは、喉。猫の鳴き声と楽譜に記されているところで『素晴らしい猫の声で鳴いてくれ』と言われているので、今から猫を研究したいと思います」と語っており、まだまだ納得していないようだ。
本作のチラシには、原作に登場する演奏会を再現するため、「観客はなにか音の発するものを持参すること」という記載がある。実際に観客が持ち寄ったものを使って音を立てて、演劇に参加するという仕組みが用いられている。この演出について、木下は「お客さんと橋渡しをする役は松尾貴史さんなので、松尾さんにかかっているといっても過言ではないです(笑)」と冗談を交えながらも、「“客いじり”と呼ばれるような作品をずっとやってきているので、お客さんが自然に一緒になってやってくれるような仕掛けは何となくわかるつもりです」と自信をにじませた。観客も出演者の一人となる演出がどのようなものになるのか、期待したい。
また、会見では“ねこ”にだけ見える謎の人物、クーツェ役は世界的タップダンサーの熊谷和徳が決定したことも発表された。熊谷はプロジェクションマッピングを駆使した映像と声で出演することになるようだ。
シアターBRAVA! 10周年記念シリーズ・つながる音楽劇『麦ふみクーツェ ~everything is symphony!!~』は、2015年4月10日(金)から19日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて、2015年4月23日(木)から26日(日)大阪・シアターBRAVA!にて上演。