2015年4月10日より東京・世田谷パブリックシアターにて幕を開けた『つながる音楽劇「麦ふみクーツェ」~everything is symphony!~』。いしいしんじの小説『麦ふみクーツェ』を原作に、観客を巻き込むユニークな音楽劇として上演される。初日に先駆け、ゲネプロと囲み取材が行われ、囲み取材には渡部豪太、皆本麻帆、松尾貴史、尾藤イサオ、脚本・演出のウォーリー木下、そして音楽監督を務めるトクマルシューゴが登壇。ゲネプロを終えての心境を語った。
公開ゲネプロには、抽選で招待された一般客も参加。渡部は「稽古でずっとお客様のことを考えて作ってきました。うまくかみ合わないところも出てくるかもしれませんが、それも楽しみながら、みんなでひとつの大きな麦畑に到達したいと思います」と実際に観客を目の前にした感触を確かめていた。ウォーリー木下は「毎回がセッション。物語としても舞台上のパフォーマンスもかなり複雑に繊細に絡み合っているので、細部まで楽しんでもらえたら」と見どころを語った。
今回、映像出演をしている世界的タップダンサー・熊谷和徳とともに渡部自身もタップダンスに挑戦している。「3~4か月くらい練習しました。なかなかタップらしくならなくて…でも、踊りって心が躍るものなんだなと思いました」と渡部。すると尾藤に「初めてで苦労したでしょう。とても素晴らしい。あのシーンは圧巻です!」と褒められ、恐縮しきりだった。
音楽監督を務めたトクマルは「いつもは自分が本番に向けてやるぞ!という気持ちなのですが、今回はみんながんばれ!と親心のような気持ちです」といつもと違う立場を楽しんだようだ。劇中に出てくる楽器にはトクマルの自作楽器も使われている。「初めて作りましたが、すごく面白いものが出来ました。(観客の)近くに来ることもあるので食い入るように見てもらえたら」とのこと。自作楽器には、じょうろを使ったサックスなど面白い工夫をほどこした楽器になっているとのこと。
本作のチラシには“1人1個ずつ、なにか音の発するものを持参すること”と記載されている。楽器はもちろん、おもちゃ、家事用具、日用雑貨のたぐいでも可。(サイレンのみ禁止)自分だったら何を鳴らしたい?と問われると、登壇者からはカスタネットや拍子木など様々な答えが返ってきた。(ちなみに、本日の観客の中には空のペットボトルや紙風船を鳴らしている人の姿も!)指揮者役である松尾は「これほど自由に参加できる舞台はないと思うので。お客様のトーンは私の責任、カバンの中に眠らせたままは避けたい!」と意気込んだ。
音楽だけにとどまらず、舞台美術、衣装、映像、照明、そして観客自身が、その一瞬を生み出す新感覚の舞台となっている。渡部が「ヘンテコなキャスト、ヘンテコなスタッフみんなでお待ちしております。皆さん、音の出るものをご持参頂いて是非参加してください」と笑顔で呼びかけた。『つながる音楽劇「麦ふみクーツェ」~everything is symphony!~』は、2015年4月10日(金)から4月19日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて、4月23日(木)から4月26日(日)まで大阪・シアターBRAVA!にて上演される。