ミュージカル『アルジャーノンに花束を』 上演スタート

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2006年に浦井健治主演で日本初演を果たし、2005年度菊田一夫演劇賞(浦井健治)や、月刊ミュージカル第2位にも選出された『アルジャーノンに花束を』。8年の歳月を経て今年9月18日(木)に再演の幕を開けた。

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原作は6月にこの世を去った作家ダニエル・キイスの同名小説。これまでアメリカ、カナダ、フランスで映画化され日本でも発行部数300万部を超える名作である。

32歳になっても幼児並みの知能しかないチャーリィ・ゴードンにある日夢のような話が舞い込む。大学の偉い先生たちが彼の頭を良くしてくれるというのだ。この申し出に飛びついたチャーリィは白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査と手術を受ける事に。そしてこの手術により、彼は天才に変貌するのだが…。

主演の浦井は本年、チャーリィ・ゴードンと同じ32歳。技術だけでもキャラクターだけでも成立させられないチャーリィという難役と真摯に向き合い、この役を魅力的に生き抜いている。「ぼくが賢くなればともだちに好きになって貰える」とピュアな瞳で語っていたチャーリィが高い知能を得た事で様々な壁にぶつかり、更に自らの運命を知って苦悩する様子には胸が締め付けられる。初演から8年の時が経ち、数々のミュージカルや新国立劇場『ヘンリー6世』三部作のタイトルロール等の経験を積んだ浦井が演じるチャーリィは明るく美しくそして……切ない。

チャーリィの最初の教師であり、彼の初恋の相手、アリス・キニアンを演じる安寿ミラは、研究者としての立場と一人の女性としての気持ちの揺らぎを繊細に表現。心理学者 ストラウス博士他様々な形の“父性”を演じる宮川浩は張りのあるあたたかい歌声を劇場に響かせ、再演からの参加になる良知真次はチャーリィに対して色々な角度から“屈折”した人間の心理を見せる。チャーリィの分身ともいえる白ネズミのアルジャーノンは森新吾がマイムとダンスで魅せていく。

人間にとっての幸福の意味を考えずにはいられない『アルジャーノンに花束を』。心の柔らかい場所にダイレクトに響く作品である。9月28日まで天王洲 銀河劇場にて上演。その後大阪、福岡公演もあり。

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