演出家・長塚圭史が、作家・葛河梨池の思想を基点に演劇作品を発表しよう、と結成した創作団体「葛河思潮社」による第4回公演『背信』が、2014年9月10日(水)からKAAT神奈川芸術劇場を皮切りに、東京、豊橋、仙台、新潟と5都市で上演される。
― エマ「この小説のテーマは何だと思ってるの?」
― ロバート「背信だ」
画廊を営むエマ、出版社を経営するロバート、作家エージェントのジェリー。
“逆行”していく時間の中で不確かな現実が浮き彫りになり、3人が織りなす会話に不穏な意味が宿っていく――
原作は、現実認識のあり方を根源的に捉え直した作家として2005年にノーベル文学賞を受賞した劇作家ハロルド・ピンターの傑作戯曲。“時間が逆行していく”特殊な構造で3人の男女の不倫劇を描いた今作は、静かに艶やかに、観る者に記憶のあいまいさ、現実認識の不確かさを突きつける。
真実と偽り、はたして区別できるものなのか?
ブロードウェイでは1980年に初演され、2013年には『007』シリーズのダニエル・クレイグ&レイチェル・ワイズ夫妻が共演したことで話題となった本作。葛河思潮社としては、立ち上げ以来『浮漂』(2011年/2012年再演)『冒した者』(2013年)と、三好十郎の戯曲を上演してきた長塚圭史が、第四回公演にして初の海外戯曲に挑むことになる。
出演は、松雪泰子、田中哲司、そして長塚圭史。演じる俳優にとっては奇妙な体験となるだろう、いやもしかするとそれを目の当りにすることこそが、この劇の最大の見所なのかもしれない、と代表の葛河は語っている。