全編オリジナル楽曲によるミュージカル『空白の響き』が、2026年7月にKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオおよび東京芸術劇場 シアターウエストにて上演されることが決定した。本作の主演は中川晃教が務め、演出をTAACのタカイアキフミが担当する。

“誰にも聞かれなかった音楽や言葉”に光を当てる、オリジナルミュージカル
本作は、谷崎潤一郎の『春琴抄』における佐助と春琴、19世紀アメリカの孤高の詩人エミリー・ディキンソン、そしてクメール・ルージュの恐怖の中で恋人への手紙を書き続けたカンボジアの女性フート・ボパナという、時代も国も異なる三つの物語がひとりのナビゲーターの手によって紡ぎ合わされる物語。
生み出した音楽や詩が発表されず、改竄され、あるいは握りつぶされたにもかかわらず創ることをやめなかった人々に焦点を当て、創作という行為そのものの尊厳を問いかける。素舞台に身体ひとつ、小道具は本一冊というシンプルな空間で、俳優の声と身体だけで立ち上がる気高く崇高で美しいミュージカル作品だ。

主演を務めるのは中川晃教。共演には、島太星、松井工、橘未佐子、井澤美遥・鞆琉那(Wキャスト)、丘山晴己、真風涼帆、剣幸ら実力派キャストが名を連ねた。
近日中に、作曲家およびキャスト9名のキービジュアルも発表されるとのこと。
あらすじ
何もない空間に、人々が一人ずつ現れる。
それぞれが日常のなかで仕事に追われ、生活に追われている。
ある瞬間、全員がふと手を止める。街のノイズの奥に、かすかな旋律が聞こえる。
誰のものでもない、けれど確かにそこにある音楽の残響。
図書館の書庫で古い書物を開いた男は、「春琴抄」の世界に入り込む。
盲目の天才琴師・春琴に仕える丁稚の佐助。
折檻を受けながらもひたすら師に尽くす佐助と、やがて彼だけに心を許す春琴。
二人の間には、痛みと愛が分かちがたく結びついた奇妙な音楽が流れていた。
19世紀のアメリカでは、少女エミリー・ディキンソンが、誰にも似ていないリズムで詩を紡いでいた。
批評家ヒギンソンはその才能を認めながらも、彼女の詩を「正しい」韻律に書き換えて世に出す。
親友スーザンもそれを支持する。
理解されない痛みの中、エミリーは窓を閉め、暗い部屋で一人、自分だけの言葉を探し続ける。
クメール・ルージュ支配下のカンボジア。
強制労働に従事する少女ボパナは、夜ごと恋人への手紙を書いた。
検閲を逃れるため、手紙にはインドの叙事詩『ラーマーヤナ』の王女シータの物語を忍ばせた。
収容所での凄絶な拷問のなかでもボパナは書くことをやめず、「心だけはあなたのもの」と綴り続けた。
やがて春琴の顔に熱湯が浴びせられ、佐助は自ら両目を突く。
暗闇のなかで二人は初めて同じ世界に立ち、春琴は誰にも聞かせるあてのない音楽を夜ごと爪弾き始める。
ボパナの手紙は後世の人々によって発見され、シータの物語はついに完結する。
エミリーは広大な想像力の中で自由を手にし、空より広い頭の中で、言葉と音符を高く舞わせる。
三つの旋律が重なり合い、ひとつのハーモニーとなる。
誰にも聞かれなかった音楽が――いま、時を超えて、私たちの鼓膜を震わせる。
キャスト・クリエイター コメント
中川晃教
美しかった人が醜くなるそれを佐助は見ていた
知らない方が美しく思える 知っていることが恥ずかしくなる
数年前に書いた僕の曲「TO BE IS TO DO」に書かれた歌詞です。
この「空白の響き」のプロットを読んだ時にその世界を思い出しました。
春琴と2人の女が交錯する
それを音楽で繋ぐ「空白の響き」
その響きを求め続ける男
春琴と佐助の何も見えない世界で二人で創った音楽は誰も聞くことはない
そして春琴がいなくなった今、佐助はその音楽も思い出せない
誰にも届かなかったはずの音楽や言葉が、なぜ今、私たちの心を震わせるのか
その声に耳を傾けないと何もない空白に変わってしまうだろう
ぜひ劇場にお越しください。お待ちしています。
タカイアキフミ(演出)
本作に参加させていただくことになり、「なぜ僕がミュージカルを・・・!」という大きな驚きとともに、どこか高揚するような感覚があります。同時に、異なる時代や背景を持つ物語が交差しながら、「行き場のなかった言葉や音」をテーマに据えた本作の強いチャレンジ性にも強く惹かれました。その中で何を軸にし、どのように立ち上げていくべきか、考えを巡らせる日々です。
ミュージカルの演出は初めての挑戦になりますが、音楽と言葉、そして身体がどのように響き合うのかを丁寧に探りながら、この作品にふさわしい形を見つけていきたいと考えています。未知の領域だからこそ、その過程で生まれる発見を大切にしたいです。
素晴らしいキャスト・スタッフの皆さんとともに、ひとつひとつの瞬間を積み重ねながら、この作品にしかない時間を創っていきます。劇場でお会いできることを愉しみにしています。
ミュージカル『空白の響き』公演情報
| 公演情報 | |
|---|---|
| タイトル | ミュージカル『空白の響き』 Blanked Sound |
| 公演期間・会場 | 【神奈川公演】2026年7月5日(日)~7月12日(日) KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ 【東京公演】2026年7月16日(木)~7月26日(日) 東京芸術劇場 シアターウエスト |
| スタッフ | 原作:谷崎潤一郎『春琴抄』ほか Book & lyrics:Musical Blanked Sound Project 演出:タカイアキフミ 主催:ミュージカル『空白の響き』製作委員会 |
| キャスト | 中川晃教、島太星、松井工、橘未佐子、井澤美遥・鞆琉那(Wキャスト)、丘山晴己、真風涼帆、剣幸 |
| チケット情報 | 両会場共の初日・千穐楽・土日祝:15,800円(税込) 平日:14,800円(税込) ※全席指定 一般発売:2026年5月23日(土) |
| 公式サイト | https://shunkinproject.com |
| 公式SNS | 公式X:@BlankedSound_mu |







