2025年9月9日(火)、東京・日生劇場にてミュージカル『Once』が日本カンパニーによって初演を迎える。開幕に先駆け、9月8日に囲み取材と公開ゲネプロが行われ、囲み取材には主演の京本大我、共演のsara、鶴見辰吾、斉藤由貴、そして演出の稲葉賀恵が登壇した。本作は、トニー賞8部門を受賞した傑作ミュージカルで、主演の京本は、役作りのため本作で初めて舞台でのギター弾き語りに挑戦。アカデミー賞最優秀歌曲賞に輝いた名曲「Falling Slowly」などを披露している。

世界中を虜にした、人生の再生の物語
本作は、2007年に公開されたアイルランド映画を原作としたミュージカル。2011年にミュージカル版がニューヨーク・シアターワークショップで開幕し、翌年ブロードウェイに進出。トニー賞で11部門でノミネートされ、作品賞、演出賞、脚本賞、主演男優賞を含む8部門を受賞する快挙を成し遂げた。キャストレコーディングCDも2013年のグラミー賞にてベストミュージカルシアターアルバムに選出されるなど、世界的に高い評価を得ている。
日本では、これまで来日公演や海外プロダクションによるコンサート版が上演されてきたが、今回初めて日本カンパニーによる上演が実現する。
京本大我らが開幕直前の意気込みを語る!
公開ゲネプロの前には囲み取材が行われ、主演の京本大我、sara、鶴見辰吾、斉藤由貴、演出の稲葉賀恵が舞台扮装で登場。まず、初日を翌日に控えた心境を問われると、演出の稲葉が「ブロードウェイのバージョンとは全く違うものですが、日本版として新演出でゼロから皆さんと一緒にがっぷり作り込んできました。音楽の多面的な素晴らしさを伝えられると思います」と、新たな作品が生まれることへの自信をのぞかせた。
続いて主演の京本は「ギター稽古も含めると半年近くこの作品に関わってきました。合宿していたかのような濃密な時間があっという間に過ぎ、いよいよこの日を迎えます。ここまでやってきた自分と、皆さんを信じて、稲葉さんの素敵な演出、そして作品のメッセージを届けられたら」と、これまでの道のりを振り返りながら静かに闘志を燃やす。
ヒロインを演じるsaraは「無我夢中でひたすら走ってきた感覚です。人生のいろんなものが凝縮されていると思います。お客様をお迎えして、この作品がどうなっていくのか、未知数な部分もとても楽しみです」と、開幕を前にした率直な心境を明かした。
さらに斉藤が「ものすごく素晴らしい作品だと断言できます。稲葉さんの演出も素晴らしいし、京本さん、saraさんの歌声、声が良くて。見終わった後、言葉にならないような何かに圧倒されるのではないでしょうか」と作品の完成度に太鼓判を押すと、鶴見も「ご覧になる方は、おそらく味わったことのないような余韻を持ち帰ってくださると思います。ぜひ楽しみにしていてください」と観客の期待感を一層高めた。
京本大我「心が折れかけた」難曲ギターに挑戦!SixTONES楽屋での秘策も
本作で、舞台では初となるギター弾き語りに挑戦する京本。数年前にオファーを受けた際は独学レベルだったというが、実際に楽譜を見て「難易度が相当高くて、正直心が折れかけた時も何度もあった」と告白。それでも、「音楽監督や演奏者の皆さんが早い段階から練習の時間を作ってくださったおかげで、何とか今日まで来れた」と感謝を述べた。
劇中では、リプライズ含め9曲近くを演奏する。「普段、自分で曲を作る時は弾きやすいコードを選びますが、今回は与えられた難易度のものをクリアしていくしかなかった。初めて出会うコード進行もありました」とその苦労を語る。しかし、「『難しそうな演奏をしてるな』と思われたら負け。シンガーソングライターという役として、物語やメッセージを届けることが一番」とプロ意識を見せた。
また、人前での演奏に慣れるため、「SixTONESの楽屋で、メンバー5人が休んでいるところで急に演奏しだす、というのをやっていました。うるさくて迷惑だったと思いますが(笑)」と、独自の練習方法を明かし、会場を和ませた。
演出・稲葉賀恵、主演・京本を「適役。どこまでも飛べる」と絶賛
本作は、稲葉賀恵による“新演出”で上演。京本は、稽古前に稲葉から演出プランを聞いた時のことを「すごく斬新でどういう『Once』になるんだろうと、未知ではありましたがすごく高揚したのを覚えています。稽古が進むにつれてそれが具現化されて、この新解釈にどんどん自信がついてきました」と振り返る。
その京本について、稲葉は「アーティストとしてかなり面白い人。自分自身と戦い、世界にちょっと挑発してもがいている。そういう方が“ガイ”という役をやるのはものすごく適役」と分析。「一緒にモノを作る人間として、とてもわくわくしました。この方とならどこまでも飛べるな、という信頼感が不思議と最初からありました」と、主演に厚い信頼を寄せた。
共演の斉藤も「テレビで拝見して、心に届く“伝わる歌”を歌う方だと感じていましたが、それだけじゃなく本当にギターが素晴らしい」と絶賛した。
稽古場は差し入れパーティー!?カンパニーの雰囲気の良さ
約2ヶ月に及んだという稽古期間について、鶴見は「人の稽古を見ているのも本当に面白くて。稲葉さんの演出は伝え方がとても面白いんです。例えば“ゆっくり”を伝えるのに、『軽自動車でゆっくり走るんじゃなくてフェラーリでゆっくり走ってほしい』とかね。面白い演出で本当に楽しかった」と振り返る。
一方、saraは稽古場の思い出として「差し入れが本当に充実していて! 特に斉藤さんはほぼ毎日、鶴見さんもラーメンなどを差し入れてくださって、勇気づけられました」と笑顔で語った。斉藤が「毎日がパーティーみたいだったよね」と言うと、キャスト陣は大きく頷き、カンパニーの和やかな雰囲気をうかがわせた。
休演のこがけんへ、京本がエール
会見では、怪我のため休演しているこがけんについての質問も上がった。京本は、夏のフェス「SUMMER SONIC 2025」でこがけんと会い、「また稽古場で」と言葉を交わしたきりになってしまっていたと明かした。その後、こがけんが稽古場を訪れた際に久しぶりに再会したと言い、「ご本人も前向きにポジティブに捉えてくださって、作品の感想もくださいました。僕たちとしては、万全な形でこがけんさんが来てくださるのを待っていたいなと思っています」と、復帰を心待ちにしていると語った。
最後に京本は、「僕にとって30代最初のミュージカルなんですけど。僕はあくまで作品の中心を担っているだけで、稲葉さんの演出のもと、素敵なキャスト、スタッフの皆さんが集まって作り上げた作品です。最高のものを届けられると思うので、ぜひ劇場に足を運んで、この作品の魅力にどっぷりハマってほしい」と力強く呼びかけ、会見を締めくくった。
ミュージカル『Once』公開ゲネプロレポート
囲み取材に続き、ミュージカル『Once』の公開ゲネプロが行われた。舞台はアイルランドの首都ダブリン。夢を諦めかけたストリートミュージシャンと、彼の才能を見出す移民の女性が音楽を通して出会い、彼らの人生が静かに、そして色鮮やかに動き出す。キャスト自身が楽器を奏で、物語を紡ぐ本作は、劇場全体がダブリンの街角やパブになったかのような没入感を生み出していた。
主人公の“ガイ”を演じるのは京本大我。父親の店で掃除機を修理しながら、夜は路上で自作の歌を歌うも、失恋を機に音楽をやめる決意を固めていた。人生に疲れ切った男の哀愁を、京本は儚げな佇まいと、絞り出すような歌声で表現する。本作で初挑戦となるギターの弾き語りは、単なる演奏技術の披露ではなく、ガイのやるせない心の叫びそのものとして響く。
そんな彼の前に現れるのが、sara演じるチェコ移民の“ガール”だ。天真爛漫でエネルギッシュな彼女は、ガイの音楽に何かを感じ取り、一方的に彼の人生に踏み込んでいく。「あなたの歌が聞きたい」という純粋な思いで彼を励ますガールの存在が、モノクロだったガイの世界に光を灯していく。
印象的だったのは、二人が楽器店で初めてセッションするシーン。ガイが元恋人への未練を込めて書いた曲「Falling Slowly」をガールが即興でピアノを弾き始め、ガイも歌い出して美しいハーモニーが生まれる。言葉以上に雄弁な音楽の対話によって、出会ったばかりの二人の魂が共鳴する瞬間だ。
第一幕のクライマックス、初めてパブのステージに立ったガイは「生きるためにはさ、愛さなきゃいけないから」と語り、仲間たちのために、そして自分自身のために自作の曲を歌い上げる。本作は音楽を愛する人々が出会い、互いの傷に寄り添い、再び一歩を踏み出す力を与え合う「人生の再生の物語」。音楽が持つ不思議な力を、余すところなく体感できるだろう。
そんなミュージカル『Once』は、9月9日(火)に日生劇場で開幕し、その後、10月4日(土)から愛知・御園座、10月11日(土)から大阪・梅田芸術劇場 メインホール、10月20日(月)から福岡・博多座で上演予定。上演時間は第一幕が1時間10分、休憩25分、第二幕が1時間5分の計2時間40分(予定)。
ミュージカル『Once』公演情報
公演情報 | |
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タイトル | ミュージカル『Once』 |
公演期間・会場 | <東京>日生劇場 2025年9月9日(火)~9月28日(日) <愛知>御園座 2025年10月4日(土)~10月5日(日) <大阪>梅田芸術劇場 メインホール 2025年10月11日(土)~10月14日(火) <福岡>博多座 2025年10月20日(月)~10月26日(日) |
スタッフ | 脚本:エンダ・ウォルシュ 音楽・歌詞:グレン・ハンサード/ マルケタ・イルグロヴァ 原作:ジョン・カーニー(映画「ONCE ダブリンの街角で」脚本・監督) 翻訳・訳詞:一川 華 演出:稲葉賀恵 |
キャスト | ガイ:京本大我 ガール:sara ビリー:小柳友 エイモン:上口耕平 アンドレ:竪山隼太 / 榎木淳弥 (Wキャスト) バンク・マネージャー:佐藤貴史 レザ:土井ケイト 元カノ:青山美郷 MC:新井海人ダ:鶴見辰吾 バルシュカ:斉藤由貴 ほか※シュヴェッツ役のこがけんは怪我のため当面の間休演し、新井海人が同役を兼任。 |
チケット情報 | <東京公演料金> S席 15,500円 / A席 10,000円 / B席 5,000円 (全席指定・税込) ※詳細は公式サイトをご確認ください。 |
公式サイト | https://www.tohostage.com/once/ |


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