舞台『終遠のヴィルシュ』北出流星、太田夢莉らで織りなす絶望と救済 【レポート】

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舞台『終遠のヴィルシュ』北出流星、太田夢莉らで織りなす絶望と救済 【レポート】

2024年12月19日に東京・シアターサンモールにて、舞台『終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation- Case. Scien Brofiise』が開幕した。初日当日に「絶望エンド」バージョンの公開ゲネプロが行われたので、その模様をお届けする。

目次

人気恋愛アドベンチャーゲームが初舞台化!

「終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-」は、2021年に人気女性向けゲームブランド「オトメイト」よりNintendoSwitch用ソフトとして発売された恋愛アドベンチャーゲーム。

人気タイトルの原画などを手掛けてきたイラストレーターの読(よみ)による美しいイラスト、謎の死の呪いが国を覆い尽くす小国を舞台に、“死神”と呼ばれ周りを不幸にしてしまう主人公・セレスを中心に、謎の死の真相に迫っていく緻密で重厚なストーリー展開、セレスの周りに現れる様々なタイプの魅力的な男性キャラクターたちが女性ユーザーの心を掴み、大ヒットを記録した。

舞台『終遠のヴィルシュ』北出流星、太田夢莉らで織りなす絶望と救済 【レポート】

その初舞台化となる本作は、絶望エンド・救済エンドの2パターンの物語が回替わりで上演され、謎の死の真相やセレスと登場人物たちの人間模様が舞台上で描かれる。

演出は演劇集団Z-Lion 主宰の粟島瑞丸。シアン・ブロフィワーズ役は北出流星、そして主人公の少女・セレス役には元NMB48の太田夢莉。

さらに、イヴ役を北村健人、マティス・クロード役を永島龍之介、アドルフ役を高本学、アンクゥ役を林光哲、サロメ役を石井陽菜、ヒューゴ役を中田凌多、ダハト役を古賀瑠が演じる。

舞台『終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation- Case. Scien Brofiise』は、2024年12月19日(木)から12月29日(日)まで東京・シアターサンモールで上演される。上演時間は約3時間20分(休憩あり)。

ゲネプロレポート:死神と呼ばれる少女と登場人物たちの運命が織りなす絶望と救済

国民が23歳までに死に至る《死の呪い》を抱いて生まれてくるという西ヨーロッパの小国・アルペシェール。「死神に魅入られた国」と呼ばれる国の民は短命である自分たちの運命を嘆き、抗う。

しかし、長年にわたる研究の末、23歳までに死を迎える肉体を捨てて記憶だけを生き永らえさせる「記憶のダウンロード」というシステムを創り出した。「記憶のダウンロード」によって永続的に生き続ける人々は“リライバー”と呼ばれ、短命に抗い続けている。

舞台『終遠のヴィルシュ』北出流星、太田夢莉らで織りなす絶望と救済 【レポート】

時を同じくして、関わる者全てが不幸になることから《死神》と呼ばれる少女セレスがいた。人生を嘆いた少女が自ら生を終わらせようとした瞬間、目の前に《死の番人》だと名乗る謎の男アンクゥが現れる。番人の導きにより、少女は否応なしにこの国に巣食う《様々な死の謎》に近づくこととなる・・・。

万人に若くして等しく死が降り注ぐという残酷なまでの運命を軸に、中世ヨーロッパ風な衣裳や街並みと、リライバーといったSF的な要素がミックスした魅力的な世界観。ヨーロッパ調のセットに、転換には映像を使用することで原作ゲームライクな雰囲気も醸し出し、幻想的な映像も交わる中で美麗なキャラクターたちとダークな世界観が舞台上で合わさる。

舞台『終遠のヴィルシュ』北出流星、太田夢莉らで織りなす絶望と救済 【レポート】

舞台『終遠のヴィルシュ』北出流星、太田夢莉らで織りなす絶望と救済 【レポート】

そんな舞台上で、様々な死の謎といったミステリアスで重厚なストーリーラインとともに、多様な運命に彩られたキャラクターたちの繊細な心情と心が紡ぎ合うことで生まれる愛キャッチ的な心理描写が交錯することで、オトメイトらしさあふれる空気感をまとった物語がシアンとセレスを中心に綴られていく。

また原作ゲームを未プレイでも、練り込まれた世界観や設定を、序盤で解説してくれるのは嬉しい配慮だろう。さらに、メインキャラクターたちと死刑執行人(ブロー)とのスピード感のある剣戟アクションがストーリー展開に幅を加えている。

シアンを演じる北出は、俺様気質で他人に関心のない天才科学者ながら、後半にかけて揺れ動く心情の変化と機微を、色気あふれる姿で大胆に演じる。セレス役の太田は、ストーリーテーラー的なモノローグを担いながら、死に魅入られた運命に戸惑う少女として繊細な見た目と声の中に、自分の運命と決別する力強さを身につけていく成長を丁寧に演じ上げていく。

舞台『終遠のヴィルシュ』北出流星、太田夢莉らで織りなす絶望と救済 【レポート】

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そんな2人と巡り会う、多様な運命に彩られた登場人物を演じるキャストも美しく印象的だ。自警団の一員として人々を助けるイヴを演じる北村は 誠実さと博愛主義的な人柄を明るさと爽やかさを交えながら好演し、華麗な剣裁きも披露してくれる。訪問教師として子供たちに授業を行うリュカ役の佐野は、セレスを導くような教師としての落ち着きと気品を、大人の色艶で魅せる。

舞台『終遠のヴィルシュ』北出流星、太田夢莉らで織りなす絶望と救済 【レポート】

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富裕層の少年マティスとして舞台に立つ永島は、人見知りな気弱さと殺された兄のために復讐を果たそうとする激情という二面性を巧演。セレスと同じ養護施設で育った自警団のリーダーであるアドルフを演じる高本は、セレスの良き理解者と兄貴分的な存在感と明るさを遺憾なく発揮しながら、ワイルドな剣術でアクションシーンを引っ張る。謎の存在であるアンクゥ役の林は、別次元の高見に存在するような雰囲気を身にまといながら、妖艶さとミステリアスさで注目を集める。

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セレスが暮らす養護施設を切り盛りするサロメ役の石井は、母性のある慈愛に満ちた眼差しと振る舞いで、大人感を醸し出している。イヴの親友で自警団に所属するヒューゴ役の中田は、前向きで思慮深い演技を見せながら、北村や高本との殺陣の中でも冷静沈着さを持ってアクションに緩急を付けている。そして、シアンに次ぐ天才研究者のダハトを演じる古賀は、天才研究者としての知的な姿と年相応の少年らしい可愛らしさをミックスしてチャーミングに演じている。

フレッシュな若手たちによって演じ上げられる魅力あふれるキャラクターたち。黒き災いの花リコリス・ノワージュが満ちた世界で、死神に魅入られた者の運命が行きつく先は絶望か救済か・・・。

(取材・文/櫻井宏充)

舞台『終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation- Case. Scien Brofiise』公演情報

<スケジュール>
2024年12月19日(木)~12月29日(日)
東京・シアターサンモール

<スタッフ・キャスト>

【原作】オトメイト(アイディアファクトリー)
「終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation-」
https://www.otomate.jp/virche/
【脚本・演出】粟島瑞丸

【キャスト】
シアン・ブロフィワーズ:北出流星
セレス:太田夢莉

イヴ:北村健人
リュカ・プルースト:佐野真白
マティス・クロード:永島龍之介
アドルフ:高本 学
アンクゥ:林 光哲

サロメ:石井陽菜
ヒューゴ:中田凌多
ダハト:古賀 瑠

橋本征弥
小泉 丞
久保 春
大塚優希
竜崎新大

舞台『終遠のヴィルシュ -ErroR:salvation- Case. Scien Brofiise』公式サイト・SNS

【公演サイト】https://virche.scissors-blitz.com/
【公式X(Twitter)】https://x.com/virche_stage

(C) IDEA FACTORY/©舞台「終遠のヴィルシュ」製作委員会

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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