2024年11月8日(金)より東京・シアターHで上演される舞台『アオペラ』。「青春」×「アカペラ」の音楽原作プロジェクトを初舞台化する本作では、出演者たちが実際に舞台でも生のアカペラを披露する。
「FYA’M’(フェイム)」の綾瀬 光緒役を演じるのは星元裕月。そして、深海 ふかみ役にはオーディションを経て常盤みつるが選ばれた。ビートボックスを得意とする常盤は本作が初舞台。取材中、先輩となる星元が緊張でいっぱいの常盤をサポートする姿は、劇中のメンバーたちの関係性と重なるものがあった。
そんな二人が、どのように作品を向き合っているのか。ぜひ、インタビューから感じてほしい。
「アオペラ」舞台化、聞いた時は驚きがいっぱい!
――まず「アオペラ」舞台化のお話を聞いた時を振り返っていただけますか?
星元:私は、綾瀬 光緒役のオファーをいただいてから初めて「アオペラ」という作品を知ったんですが、声だけで表現するアカペラを2.5次元舞台にすることが全く想像つかなくて。作品の中で歌わせていただくことはあれど、全て生で、役者の声を使って表現するのは、音響うんぬんの話ではなく、全ての責任を負うということなので・・・最初、それを考えた時は変な汗をかきました(笑)。「本当にできるの?」って。
でも、アカペラというものを知れば知るほど、のめり込んでいくというか、とにかく原作が大好きになっていったんです。ドラマCDや歌を聴く中でメンバー一人一人の価値観や人生観、生き方に触れて、仕事として関わる立場でありながら、一ファンとして「アオペラ」を推したいなという気持ちになりましたし、舞台で役を任せていただけたことのありがたさ、尊さを感じています。開幕の日が近づけば近づくほど、気持ちは高まるばかりです。
常盤:僕はオーディションきっかけで「アオペラ」を知り、作品研究をしました。 個々のメンバーが立っていることと、アカペラのクオリティの高さに純粋に感動した、というのが第一印象でした。出演が決まって、これを自分たちがやるんだと考えた時に、どう向き合って自分の中に落とし込んでやっていけばいいのかという楽しみと不安が混在しつつも、きっちり作り上げたいなという気持ちが大きかったです。
――常盤さんは、ビートボックスがお得意なんですよね。アカペラのご経験も?
常盤:実は、アカペラはやったことがなかったんです。ずっと一人でパフォーマンスをしていたので。実際、皆さんと合わせてやる時と、1人でやるとでは感覚が全然違うため、そこが自分の中で一番課題だと感じてます。
――星元さんは、常盤さんのビートボックスを最初にご覧になった時、どうでした?
星元:今だから白状していいですか?これ、初めて言うんですけど・・・YouTubeで動画を見たよ。
常盤:えっ!待って、誰にも知られてないと思っていたんですけど(慌てる常盤さん)。
星元:ちゃんと見ました(笑)。深海 ふかみを誰がやるのかな?と思い、名前を見て。どんな方なんだろう?って名前を調べたら、動画が出てきたんです。それを見て「本当にできる人だ!」って、すごい安心感が生まれました。
でも、初めて会った時は動画の中で見た人と結構ギャップがあって(笑)。すごく大人しくて、礼儀正しくて。人見知りなのかな?と思ったら、なんか可愛らしいところも見えて、人間味がある方だなと思いました。知れば知るほど新しい一面が見つかるので、早く「ふかみ」と「光緒」でお芝居したいなって楽しみになりました。
常盤:(照)。
――「フェイム」の雰囲気はいかがですか?
星元:初共演の方も多いんですが、みんな、割とすぐに仲良くなれるようなタイプで、殻に閉じこもる感じではなかったので・・・最初に会った時のこと覚えてる?
常盤:覚えてます、覚えてます!
星元:どうだった?
常盤:自分にとってはこれが初めての舞台なので、「先輩だ!」という意識がだいぶ強くて、自分の中でどうしても一歩引いてしまうところがあったんです。
多分、皆さんもそういう僕の状態を察して気遣ってくださっていて、ゆづさんも色々声をかけてくださったりして。ゆづさんには感謝するばかりです。他のメンバーも皆さんいい方なので、仲を深めていきたいです。
星元:そうだね。みんな人がいいというか、根が本当に真面目で、どこまでも相手のことを考える人たちなんで、それ故に遠慮しちゃう部分もあったりするけど、でもそれも「フェイム」っぽいよね。干渉しすぎないけど、バチン!とハマる瞬間があるというか。まだまだ課題はありますけど、私はこのグループのことが大好きです。
舞台『アオペラ』メンバーと声を合わせてみて感じたこと
――実際にアカペラで声を合わせてみた時はどうでした?
星元:なんて言ったらいいんだろう、すっと身体に入ってくるっていうのかな。特に、彼(常盤)のビートボックスがずっと下で支えていてくれる安心感がすごかったです。
常盤:そう感じてもらえるのが、多分1番いいことな気がします・・・!
星元:歌うのは、正直に言うと難しかったです。練習しながら、これを舞台でやるんだって思ったら怖さも心配も増したけど、同時に、それ以上に楽しみな気持ちも高まりました。この人たちと、これから本当に青春のような日々を送るんだ!みたいに感じられて。
ちょっと合わせてみようって「Think About U」をやった時、本気でちょっと泣きそうになったんです。もちろん、精度という意味ではまだまだなんですけど、それ以上に、1つのものを声だけで、このメンバーで作れたことがすごく嬉しくて。なんでしょう、舞台の千秋楽の時に得る感覚とはまた全然違って・・・。まだまだ私の知らないもの、知らない世界があるんだなって分かったし、そこから学びもあったし、すごく貴重な最初の一歩だったなと思いました。
――今回、舞台オリジナルアカペラ楽曲「響(ひびく)」もありますが、PV収録の裏話があれば教えてください。
星元:PVを観て改めて聞いてみたかったんだけど、ビートボックスってどうやって練習するの?
常盤:練習は、人と合わせることを前提に進めるんです。他の人の音ありき。パーカッションは、曲のベースになっていないと何の意味もないので、それを意識しました。収録の時も僕が最初にやらせてもらって・・・ここに他のメンバーの音がのると意識して臨んだので、多分、基礎をばっちり作れたと思います。自分の中でも自信を持ってできたので、公開されたPVを観て感動しましたし、皆さん最高だなって思いました。
――ソロでパフォーマンスするのと、誰かのためのビート作りって、何か違いはありました?
常盤:一人でパフォーマンスする時は、見せ場を作る、盛り上げる箇所を意識してやってるんですけど、アカペラとなると、他の人をどう立たせるか、際立たせるかを考えるんです。単純に、自分が気持ちよければいいというわけじゃないところが難しくもあり、楽しいところだなと思いました。
――星元さんは、歌ってみてどうでしたか?
星元:ブースで収録するのがすごく久しぶりで、「やばい、今日すごい緊張してる!声出るかな?!」ってドキドキしていました(笑)。でも、曲自体がすごくよくて、これから始まる、ここから始まるんだよって、思わせてくれました。みんなの声がだんだん集まって、最後ひとつに重なっていく構成がすごく好きなんですよね。完成したのを見て、舞台『アオペラ』の1ページ目が開かれたなって気持ちになりました。大事にしていきたい曲です。きっと、舞台でも毎日違う感情が生まれそうです。
星元裕月「初めてもらった役は一生忘れない」
――お二人は、それぞれ演じる役と出会ってみてどんな印象を抱きましたか?
星元:ここはやっぱり、まず初舞台の人の気持ち聞きたいな。
常盤:プレッシャー・・・!
星元:(笑)。
常盤:深海 ふかみは、物静かで自分からガンガン発言していくタイプではないんです。きっと、優しく育てられて、綺麗なものやいいものをたくさん吸収して生きてきた子なんだろうなと感じる部分が多くて。今回、この役をいただいてから、自分も生活する上でいいものを目に入れたいとか、綺麗なものを見たいと思うようになりました。彼と近しいものを感じる部分も自分の中にあるので、その種を大きくしていって、舞台が終わる時に「深海 ふかみは僕だ」って言えたらいいなって思っています。
星元:いいコメントだ・・・。
常盤:初めての舞台で、初めてもらう役ってやっぱり特別になりますか?
星元:うん、一生忘れない。私も初舞台の記憶は鮮明に残ってるよ。特別な想い出だよね。
常盤:そっかぁ・・・。
星元:私の光緒の第一印象は、自分の良さを一番分かってる小悪魔ちゃん。今までも小悪魔的なキャラクターを演じることはあったんですけど、この子はまた違う美学を持ってるなと思いました。例えば、本質を見抜いてそれを磨くことが好きとか。だからすごくふかみのことを気に入っているんじゃないかなって。私も、目が輝いてたり、原石のような輝きを持っている人たちが大好きだから、すごく分かる。だから、“絶対私がやりたい!この子を離したくない、舞台で表現したい”ってすぐに思いました。ふかみとの関係性とかも含めて。
今回初めて共演する方も多いので、メンバーの色、役者の色、全てを合わせた時にどうなるか、どんな化学反応が起きるのか。今も探っている最中なんですけど、私はきっと、光緒を演じていく上で大事なもの、自分にとっても大事なものを見つけられるような気がしています。
あとは、みったん(常盤さん)が舞台でどう化けていくのか、すごく楽しみ!
常盤:!!期待していてください(笑)。
――お二人のコミュニケーションはもう、バッチリですね。
星元:光緒とふかみという役の間柄で、しかも彼は初舞台、どうしたら彼がやりやすいんだろうかと考えた時に、「まず、知ろう!」って思ったんです。それでね、ちょっと心の扉をコンコンってノックして。
常盤:はい、何回叩いてもらったか・・・。
星元:「ちょっと出かけない?『アオペラ』のポップアップやってるらしいよ」って言ったら、「行きたいです」って乗ってくれたから、一緒に出かけたりしてみました。ご飯行ったりするのを重ねながら、少しずつ心を開いてくれたかなって。
常盤:本当に、ありがたい話で。多分、ゆづさんだったから自然と肩の力が抜けたんだと思います。
星元:やっぱり役者同士の関係性って、どうしても舞台ににじみ出るものがあるからね。
――星元さんがめちゃくちゃ頼もしい・・・!
常盤:いやほんと、めっちゃ頼もしいです。
星元:任せてください(笑)!「楽しかった」とか、「こうしてよかった」を積み重ねていきたいね。
星元裕月、常盤みつる、それぞれの“青春”
――本作は“青春”も大きなテーマの一つですが、お二人の“青春”エピソードがあれば教えていただきたいです。
星元:青春か~!みったんの青春って何?
常盤:僕にとっては、ビートボックスと出会った頃が一番青春してました。
星元:何をきっかけに始めたの?
常盤:ヒカキンさんです。たまたまYouTubeを見ていて、ヒカキンさんのビートボックスに衝撃を受けて。そこから、毎日狂ったように調べて、いろいろ見て練習して・・・を繰り返してました。
星元:独学だったんだ!もう天才じゃん!!
常盤:昔は教えてくれる人もいなければ、YouTubeでやり方を解説してる人とかもあんまりいなかったので、真似てを繰り返して。大会とかもぼちぼち出たりしていました。
高校の時、部活を1年の冬で辞めてしまったんです。バドミントン部だったんですけど。やることがなくなった分、音楽にひたすら打ち込んでいました。僕、地元が愛知県なんですけど、SNSで駅前でストリートライブをやっているという投稿を見て、そこに参加しに行ったり。
星元:すごい行動力だね。
常盤:まわりにやっている人がいなかったので、自分から情報を探して動かないとって思ってたんです。ほんと、楽しかったな・・・。
星元:そっか~、それは本当に青春だね。私は、学生生活を振り返っても青春らしい青春を過ごしていた記憶がなくて。なので、私にとってはこの仕事を始めてからの方が「青春だな~」って思うことが多いんです。もちろん、苦い想いをすることもあるし、苦しいこともいっぱいあるけれど、「私にとって今が青春」って思いながら、日々お仕事をさせていただいています。
『アオペラ』は、特にそれを強く感じることが多いんじゃないだろうかって思います。このお仕事を8年やらせていただいているのですが、どうしても心のバネが少し固まってきてしまったなと思う時もあるんですね。今回、そこにちゃんと油を打って、弾むようにやりたいと思ってるし、もう一度デビューした時のような気持ちで、みんなと一緒に作品を作りたいなと思ってるので。だから、青春は「今」です!
――観客として、一緒に“青春”を感じられるのを楽しみにしております!
星元:きっと、お客様にとっても大切なものを見つけていただけるという“確信”があります。なので、皆さんも学生のような気持ちで、一緒に青春を感じに来てくれたら嬉しいです。待ってます!
常盤:僕も、初舞台を全力で楽しむので、お客様にも全力で楽しんでいただきたいという気持ちでおります。絶対楽しませられる!という自信があるので、安心していただいて。最高の一瞬を一緒に過ごせたらなと思っています。劇場でお待ちしています!
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
舞台『アオペラ』公演情報
2024年11月8日(金)~11月17日(日) 東京・シアターH
【原作】アオペラ-aoppella!?-
【脚本・演出】元吉庸泰
【音楽】桑原まこ
【アカペラ監修】とおるす
【キャスト】
鈴宮 壱 役:長江崚行 丹波 燐 役:手島章斗 雁屋園道貴 役:宮島優心
四方ルカ 役:畠山理温 宗円寺雨夜 役:磯野亨/
是沢舞斗 役:佐奈宏紀 綾瀬光緒 役:星元裕月 紫垣 明 役:桑原 柊
宗円寺朝晴 役:内田将綺 猫屋敷由比 役:坂田隆一郎 深海ふかみ 役:常盤みつる/
辻堂颯太 役:眞嶋秀斗 ほか
【公式サイト】https://www.marv.jp/special/aoppella-stage/
【公式X(Twitter)】@aoppella_stage
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