梅津瑞樹×陳内将「６００６（ロクゼロゼロロク）」二つ返事で実現した共演

2024年7月31日2024年8月1日

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三人芝居「６００６（ロクゼロゼロロク）」が、2024年7月31日（水）に開幕する。東映が仕掛ける少人数演劇企画に今回登場するのは、梅津瑞樹、陳内将、赤名竜乃介の三名。木下半太が描く昭和60年と令和6年に起こる二つの「誘拐事件」の物語を、サスペンス・コメディかつ濃密な会話劇として繰り広げる。

企画発足時、プロデューサーから声をかけられた梅津瑞樹が共演者に望んだのは、縁の深い陳内将だった。めったに希望を言わない梅津の希望に、二つ返事で応えたという陳内。絆を感じる二人に、公演に向けて話を聞いた。

（取材・文・撮影／エンタステージ編集部 1号）

三人芝居「６００６」は「少人数のお芝居やりたいよね」から始まった

――本企画は、プロデューサーさんと梅津さんが「少人数のお芝居をやりたいよね」という話から、すぐに陳内さんのお名前が挙がったとお聞きしました。

梅津：陳さんと初めてご一緒したのは『BIRTH』という四人芝居だったんですよ。そこから、カミシモ（『あいつが上手で下手が僕で』）でコンビを組ませていただいて。

陳内：そうだね。

梅津：『BIRTH』はWキャストでやっていたんですけど、すごく面白くて、すごくしっかり芝居をしたというか、役者としての“うずき”を満たせるようなお芝居だったんですよね。自分を応援してくださっている方も、『BIRTH』が印象に残っていると言われることが多くて、観てくださる方にも僕らの思っていることがちゃんと伝わっているんだなと確信を得まして。

また、少人数のお芝居をやりたいと思った時に、『BIRTH』は四人芝居だったので、より濃厚な芝居を陳さんとしたいと思ったんです。実は最初、『リーマン・トリロジー』をやりたいと思ったんですよ。でも、あれはちょっと僕らもお客さんもすごく疲弊しちゃうから。

陳内：あはは、確かに（笑）。

梅津：少人数芝居をするんだったら、まずは陳さんと一緒にやりたいなと思ってお声がけしてもらったら、OKいただけたので嬉しかったです。こんな機会、またあるかどうか分からないから。

陳内：プロデューサーさんから「陳ちゃん、この時期何やってる？梅ちゃんと少人数芝居やろうと思っているんだけど」って連絡もらって。「やる～！」ってすぐ返事しました（笑）。

梅津：（笑）。

陳内：名前を挙げてくれたって聞いて、嬉しかったんですよ。プロデューサーさんも「梅ちゃんから名前が出るなんて」って言ってました。自分から「誰かと一緒にやりたい」とかほとんど言わない人だから、光栄だなと思いました。

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――三人目の赤名竜乃介さんは、陳内さんのご推薦と聞きました。

陳内：はい。もう一人、誰がいいかなって話になった時、『月の岬』という作品で共演して印象的だったので推薦させてもらいました。彼はね～･･･作品になぞらえてあえて「令和」と言わせてもらいたいんですが、令和の若手俳優っぽくない、昭和くささがあるんですよ。なんかね、彼、一日二本くらい映画を観るらしいんですよ。昔の作品も、よく観てるみたいで。

梅津：へぇ～。

陳内：前回共演していた時、「将さん、今日公演終わり、レイトショーになるんですけど一緒に映画観に行きませんか？自分がW主演した作品が今上演されてるんです」って言ってきたんですよ。マジ？！ってなって（笑）。

梅津：（笑）！

陳内：「お前が言うなら･･･」って、二人で観に行ったんですよ。で、終わったら「将さん、感想聞きたいんで居酒屋行きませんか」って、ぐいぐいくるの！俺、嫌いじゃないのよ、そういうヤツ（笑）。ごはん食べながら、「あのシーンはこうだったんですけど、どうしたらもっと良くなると思いますか？」みたいな話をずーっとしていて、すごいハングリーさを感じたんですよ。

コロナ禍以降、あんまり後輩とごはんに行って、がっつり芝居の話をするみたいなことが少なくなったから、なんか嬉しかったんですよね。僕はそういう時代を生きてきたから。とても芝居に熱い子だから、梅ちゃんとも合うんじゃないかなと思って推薦させてもらいました。意外と年上いじるしね（笑）。

――木下半太さんとのご縁は？

陳内：僕、ドラマでご一緒させていただいたことがあります。コロナ禍で、やるはずだった舞台がなくなってしまって、「プー太郎だぁ～」と思いながら、ウォーキングに行こうとしていた時にマネージャーから「木下半太さんの四人芝居の映像の話があるんだけど、やる？」って電話が来たんです。思わず叫びました。テンション爆上がりするぐらい、もともと半太さんの作品が好きだったんです。

梅津：今回、陳さんが木下半太さんを推薦してくださったんです。

陳内：プロデューサーから提案を受けて、ぜひ！と思いまして。僕、半太さんの作品って軸はしっかりサスペンスなのに、余白で死ぬほどコメディできるんですよ。小説でも、ドラマでも、余白で「書いてないけどやって、ということかな？」と感じられる瞬間があるんです。ドラマの撮影の時、実際にその「書いてないけど･･･」の部分をやってみたら、監督が笑っちゃって（笑）。これがきっと答えですよね。今回も、サスペンスの根幹はしっかりと立てて、余白をどんどん膨らませられたらいいなと思っています。

梅津瑞樹と陳内将の縁

――一緒に作品作りをしていて見える、お互いの俳優としての好きな部分を教えてください。

梅津：芝居って、毎日同じ台詞を言って同じことをするものですが、微妙にその日のコンディションとかで変わってくるじゃないですか。陳さんの相手役をやっていると、そういうちょっとの変化がすごく楽しいです。

特に、『BIRTH』の稽古期間のことが印象的です。毎日稽古に行くんですが、トリプルキャストだったので割と抑圧された精神状態の中にいまして。その時に、陳さんが「僕は梅ちゃんがやりたいことをやればいいんじゃないかと思うよ」みたいな言葉をかけてくださったんですよ。

陳内：あったね。「人がそうやってるからって、自分も同じようにやらなきゃって思わなくていいんじゃない」みたいなことを、梅ちゃんだけに言ったんだよね。

梅津：みんな結構フラストレーションが溜まって、ぶつかったりすることもあったんですよね。「（演出家に）言われたことと違くない？」「いや、僕はこれでいいと思っていますし、問題ないって言われていますし」みたいな感じで、ストレスをぶつけ合ってしまって。でも、陳さんが何気なく投げかけてくれた言葉にすごく助けられたんですよね。

陳内：その後に共演した『紅葉鬼』も大変だったんだよね。原作はあるんだけど、原作の中の劇中劇だったからほぼオリジナルみたいなもので。原作サイドとプロデューサーサイド、脚本サイドの三つ巴の調整にすごく苦労されていて、本がなかなか届かなくて。僕らも、稽古ができないからオフの日が続いてしまったり。そうしたら、ある日のオフ明け、梅ちゃんの髪の色が派手に変わっていたんですよ。･･･なるほど、これが彼の無言の意思表示か！って、なんか変な風に感じ取ってしまって（笑）。

梅津：（爆笑）！！

陳内：僕ね、あの時梅ちゃんってすごく器用なんだなって思ったの。『紅葉鬼』って、音合わせすごく大変だったんですよ。長尺の音合わせで。台本届いたばっかりだし。でも、稽古に入ってすぐ「ここはこの音で」「転調するところがこの台詞だったら嬉しい」みたいな、なかなかの難易度のオーダーがきても、わりとすぐにバチっと応えていて。実際合わせてみたら呼吸が合う。曲に気持ちよく乗れる感じが合うんだなと思ったんです。そういうのもあって、『紅葉鬼』での共演が印象深いなあ。

梅津：音合わせは大変でしたけど、決まったらこっちも気持ちが上がるし、外から見ていても作品の熱量が上がるんですよね。でも、芝居については「俯瞰した視点と冷静さを伴っていないとできない」と気づいたんですよ。だから、一緒に芝居をする心地よさの中で「この人、すっごく冷静なんだ」とも感じていました。

陳内：あはは（笑）。

――少人数での、より濃密なお芝居のセッションを楽しみにしております。

梅津：少人数の芝居では、役者の技量や持っているものが丸見えになってしまうと思うんですよ。だから、まずはしっかり自信を持って。サスペンスでもあり、コメディでもある、いい塩梅の話になるのではと思っていますので、ぜひ楽しみに足をお運びいただけたら嬉しいです。

陳内：大好きな梅ちゃんと、推薦させてもらった竜乃介と、昔から大好きだった半太さんと、願ってもない布陣でやらせていただけるからには全力で、魂を削って舞台に立ちたいと思います。八公演は少ないよ～って皆さんに思ってもらえるぐらい、しっかり届けます。

そして･･･昨年梅ちゃんが立ち上げた「言式」という演劇ユニットに呼ばれなかった悔しさが、今回で晴らせるんじゃないかと思ってます！よろしくお願いします。

梅津：（爆笑）！！