朝夏まなとインタビュー!「さらに前のめりに」“冒頭”から深まるミュージカル『モダン・ミリー』

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ミュージカル『モダン・ミリー』朝夏まなと

2024年7月10日(水)に、ミュージカル『モダン・ミリー』が開幕する。1967年公開のミュージカル映画を原作とした本作。2022年9月の上演から2年ぶりに、再び愛すべきキャラクターたちがとぴきりのハッピーをとどけてくれる。

主人公・ミリー役を演じるのは朝夏まなと。今回の稽古では、2年前の上演時とは違った気づきがたくさんあるという。新キャストも加わり、新たに見えてきたことは?

目次

朝夏まなと「スタートラインが前回よりも先にあるから・・・」

――ミュージカル『モダン・ミリー』のお稽古3回目になりますね。

はい。2年ぶりにお稽古をしております。初演はコロナ禍で全公演中止になってしまいましたが、最後の通し稽古までやっていたんですよ。だから、2022年はそのリベンジ公演みたいな気持ちで。ある種の達成感を感じながら、みんなで「本当にできてよかったね」と言っていました。だから、今回の再演が決まった時は「あっ、またできるんだ!」という驚きの方が大きかったんです(笑)。

でも、出演するメンバーがだいぶ変わったことで、すごく新鮮な気持ちで再びこの作品を向き合うことができていますし、前回気づかなかったことを発見することが多いです。台本も、すごく細かく読み込んでいるんですよ。立ち稽古する前に1度全員で読むだけじゃなく、場面ごとにもう一度本読みをして、演出の小林香さんの「こういう感じにしてほしい」という意図を聞きながら進んでいます。前回よりさらに細かく作っていけているので、より分かりやすく、リアリティのある感じになっていくんじゃないかなと思っています。

――まだ前回の感覚がフレッシュな中で、どういう気づきが多いですか?

台本で、前半に少し変更が入った部分がありまして。それによって、ジミーとの関係性が・・・。新しくジミーを演じられる(田代)万里生くんが、存在感がすごい方なので。そこに立ち向かうエネルギーが必要だなと。あと、ミリーはもっと(ジミーとのやり取りに)興奮していたんじゃないかと思ったり。

初めて潜り酒場に行った時に鉄格子の中に入れられてしまって、ジミーと二人で長く会話をするシーンがあるんですけど、そこの心情も、前回はわりと楽し気に「喧嘩をしていた二人が仲良くなっていく」みたいな感じで作っていたんです。でも、今回は彼(田代さん演じるジミー)の発する言葉の端々に潜むウィットに富んだセンスに気づく、自分と波長が合うことに気づくというか、「ミリーがもっとジミーの良さに気づくシーンだったんだ!」と感じたんですね。

ミリー自身もタイピストなので言葉に関しては精通していますし、この二人のやりとりってとってもオシャレだなと。そう思えたことによって、ジミーへの気持ちが変わっていく段階を、より繊細に踏めそうだと思っています。

――演じる俳優さんの違いによる見え方の違いっておもしろいですね。

そうですね。それもありますし、そもそものスタートラインが前回よりも先にあるのも大きいのかも。多分、自分の中にすでにミリーが入っているから、より先に進める気がしています。

――小林香さんの演出面にも、新しいことはありますか?

前回よりももっと、田舎から出てきたミリーが“自分で選んで物事を進めていく”ことを大事にしたいとおっしゃっていました。物語の冒頭、前回は「意気込んで田舎から出てきたけれど、NYに着いたらそのすごさに圧倒されて不安も芽生えた・・・」みたいな感じで作っていたんですけど、今回は「憧れの地に来た、目に映るものすべてが新しい!」みたいな感じで、不安はない作りにしています。それによって、より前のめりなスタートになっている感じがします。

ミュージカル『モダン・ミリー』朝夏まなと

――最初に受ける印象が前回とまったく違うものになりそうですね・・・!

まだ私は見ていないんですが、衣裳も変わると聞きました。多分、さらにやる気に満ち溢れた女の子が立っている!と印象づけられたらいいなと思っています。

――『モダン・ミリー』は、女性にハッピー感とエネルギーを充填してくれる作品だと思いましたが、さらにそのパワーも強まりそうです。

本当にそうですよね。『モダン・ミリー』は1967年に作られた映画が元になっていますが、今の時代も同じことが起こっていたりしますからね。さすがに物語の舞台となっている時代(1920年代)よりは女性の立場は向上していますけど、まだまだなところもあるじゃないですか。だからこそ、ミリーが自分で選んで、より幸せな道に進んでいく強さを観た方のパワーに変えていただけるようにしたいなと思いますし。

私、ミリーの人に対する接し方がすごく素敵だなと思っているんです。誰に対しても一生懸命で、最終的に仲良くなっちゃうし、周りの人に影響を受けながらも自分でちゃんと選んでいく。ただ単に強いのではなく、しなやかな強さを持っている。みんなミリーを好きになっちゃう。

――朝夏さんが演じていることも、よりミリーをポジティブに感じさせてくれていると思うのですが、朝夏さんにとってミリーはどういう存在ですか?

『モダン・ミリー』は、演じる上では体力的にとてもハードな公演ではあるんですが、気持ち的には全然沈まないんです。やっぱりハッピーエンドで終われることも大きいですし3時間の中にある紆余曲折をミリーと一緒にちゃんと経験していくと、一公演終わるごとにスカッとするんですよ(笑)。バイタリティ溢れる嫌味のないミリーは、とてもかわいいキャラクターだなと思います。

――先ほど、物語冒頭からのアプローチが違うと教えていただきましたが、朝夏さんの中での役作りもそれによって変化していますか?

あえて変えようとは思っていないんですが、前回はわりと年齢を考えていたんです。若い女の子が田舎から出てきて・・・というストーリーなので、自分自身も若めのキャラクター作りを意識していたんですけど、今回は、もうそれはいらないなと思って。22歳の女の子という設定はあるけれども、そこまで年齢に固執せず。当時の22歳と今と感覚も違うと思うし。落ち着きはあまり出さないようにと思うんですが、ミリーはわりと地に足がついた子だと思うので今は等身大でやっていますね。台本もマイナーチェンジをしているので、また新しいミリーが自然と生まれるんじゃないかなと思います。

――田代さんのほかにも新キャストの方が多く加わりましたが、どんな影響を感じますか?

すごくいい風をいっぱい吹かせてくれています。思ったんですけど、この作品に登場するキャラクターって、みんな本当に個性が強いじゃないですか。だから、その個性の強さが、そのまま役者さんの個性にリンクするんですよ。だから、同じキャラクターだけど、万里生くんのジミーだし、ねねちゃん(夢咲ねね)のドロシーになってる。いろんな人が演じるから、そのキャラクターが立ってくる印象を受けました。

――お稽古場で印象的な出来事はありましたか?

ドロシーとミリーの出会いって、結構唐突じゃないですか。そこでもう1曲歌っちゃう?そんなことある?みたいな(笑)。ここの感じも前回とちょっと変わっていて。(前回のドロシー役)実咲凛音ちゃんとは宝塚歌劇団時代に組んでいたこともあってすんなり と行きましたが、(今回のドロシー役)ねねちゃんとはまた違う阿吽の呼吸が生まれてるんです。会うのも久しぶりだったはずなのに、そこはやっぱり“同じ釜の飯”を食べてきた仲というのもあるのかもしれません。すごく楽しいです。

あと、実は万里生くんとは一緒にお芝居をするのは初めてなんですよ。コンサートではご一緒したことあったんですけど、すごく真面目な方で一生懸命な感じが、ジミーとかぶるなと思いました。ご本人は「全然できてない・・・」っておっしゃっているんですけど、いや、ジミーです!って言いたくなる(笑)。それぐらいすごくハマっています。土居さん(マジー役の土居裕子さん)は存在が大きすぎて!言葉を丁寧に届けてくださるんです。大山さん(チン・ホー役の大山真志さん)も最高に面白いんですよ~!!笑いが絶えない現場です。お稽古をしていても、同じ作品をやっているとは思えないぐらい。

――お話を伺っていると、前回ご覧になった方は結構びっくりされそうですね!

変化に気づいていただけるといいなと思います。演出の小林香さんは、冒頭のNYにいる人たちにモダン感を求めていらっしゃったんですよ。あと、前回はまだコロナ禍の影響が大きい時期だったので、より楽しいことだけに振り切って、皆さんにいっぱい笑って、アメコミを読んだような感じで帰っていただこうみたいな雰囲気がありました。

今は、また時勢が変わってきて、以前の感覚が戻ってきているじゃないですか。だから、もう少しストーリーとして意味を持たせたり、力強さを出したいということで、稽古が1920年代についてのレクチャーから始まったんですよ。そういう意味では、もっと物語として深めて届けられるかなと思います。

ミュージカル『モダン・ミリー』朝夏まなと

――「冒頭のシーン」は、いろんな意味で注目ですね。

私も、冒頭のシーンがとても好きなんです。ミリーがNYに来たシーンが、ちゃんと描かれているのが好きで。自分がどういう生い立ちで、どう生きてきて、もう帰らない!という気持ちでNYに立っているのか歌い上げた後、幕が開くとNYの街にモダンな人たちがいる・・・というシーン。これぞブロードウェイミュージカル!みたいな始まりも、オーバーチュアがあるのも、すごく好きなんです。ぜひ、前回もご覧になってくださった方には違いを感じていただけたら嬉しいです。

――新たな『モダン・ミリー』楽しみにしております!

台本もブラッシュアップされ、笑いのクオリティもしっかり上がっています。そこはもう、ぜひご期待いただければと。そして、観てくださった方が一歩踏み出す勇気を届けられるよう、キャスト一同劇場でお待ちしております。

(朝夏まなと ヘアメイク/根津しずえ)

ミュージカル『モダン・ミリー』公演情報

【東京公演】2024 年7月10日(水)~28日(日) シアタークリエ
<全国ツアー>
2024年8月3日(土)・8月4日(日) 大阪・新歌舞伎座
8月11日(日) 愛知・iterra 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
8月16日(金)~8月18日(日) 福岡・博多座
8月24日(土)~8月25日(日) 東京・旋公演 昭和女子大学人見記念講堂

【出演】
朝夏まなと 田代万里生 廣瀬友祐 夢咲ねね 大山真志
土居裕子 一路真輝

入絵加奈子 安倍康律
砂塚健斗 高木裕和 常住富大 堀江慎也 村上貴亮
伊藤かの子 島田 彩 橋本由希子 湊 陽奈 吉田萌美 玲実くれあ

【公式サイト】https://www.tohostage.com/modern_millie/

ミュージカル『モダン・ミリー』朝夏まなと

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