上白石萌音、屋比久知奈がW主演を務め、井上芳雄らが出演するミュージカル『ジェーン・エア』が東京・東京芸術劇場 プレイハウスで上演中。ジョン・ケアードの新演出で立ち上げた本作の会見と公開ゲネプロの模様をお伝えする。
本作は、1847年に刊行されたシャーロット・ブロンテの長編小説のミュージカル版で、英帝国が世界の覇者であったビクトリア朝のイギリスが舞台の物語。『レ・ミゼラブル』『ナイツ・テイル』『千と千尋の神隠し』などを手掛けた演出家、ジョン・ケアードが自ら脚本を担当し、1996年カナダ・トロントで初演、その後2000年にブロードウェイにてロングラン上演しトニー賞作品賞、主演女優賞など主要5部門にノミネートされた。またドラマ・デスク賞では最優秀女優賞を受賞するなど話題に。日本での上演は2009年、2012年となるが、今回梅田芸術劇場と東宝の共同制作により新演出版として11年ぶりの上演となっている
主人公のジェーン・エアとヘレン・バーンズは上白石萌音と屋比久知奈が役替わりのWキャストで演じており、ジェーンと深くかかわることになるエドワード・フェアファックス・ロチェスター役の井上芳雄の他、春野寿美礼、仙名彩世、樹里咲穂、大澄賢也、春風ひとみらが出演し物語を盛り上げている。
物語は、孤児となったジェーンがおばのミセス・リード(春野寿美礼)に引き取られるところから始まる。ミセス・リードに嫌われていたジェーンは規則が厳しいローウッド学院に行くことになり、屈辱的な罰を受けている最中に心優しきヘレンと出会い、“許す心”を教わる。交流を深めていた二人だがヘレンは病気で亡くなってしまい、成長したジェーンは学院を出て家庭教師になることを決意する。そして、孤独で少し皮肉で謎めいた男・ロチェスター(井上芳雄)の屋敷で働くことになったジェーンは夜になると女性の幽霊が現れるという奇妙な現象に驚きながらも充実した日々を送ることに。その中で、雇い主であるロチェスターとの交流も育み、彼と自分に共通する何かを感じ始める・・・というストーリーが展開していく。
芯の通ったジェーンの真っすぐな感情や言葉が歌としてしっとりと重厚感のあるメロディーに乗ることで観客の心によりストレートに響き、その人間性に惹かれていく。そしてヘレンの慈愛に満ちた優しい歌は、それまでジェーンに厳しい態度を取ってきた“悪い大人”へ感じたネガティブな感情を和らげてくれる。作品を通して、どんな状況でも自分を持ち他人への愛を忘れず生きていく女性の強さを感じ、鼓舞されるような気持ちになった。
『ナイツ・テイル』の作曲としてジョンとタッグを組んだポール・ゴードンがが手掛ける素晴らしいナンバーを歌い上げる上白石、屋比久、井上らの歌声と共に紡がれていくドラマティックな物語に引き込まれていくこと間違いなしだ。
公開ゲネプロの前に行われた囲み取材には、ジェーンとヘレンを役替わりで演じていく上白石と屋比久、ロチェスター役の井上が登壇。上白石は「ここまで来られたのは知奈のおかげです」と語り、「たくさん話し合い、励まし合い、過分に褒め合ってやってきました(笑)。知奈と一緒にこの役を作り上げた経験は生涯の宝になるのではないかと思います」と二人の絆を感じさせた。
一方の屋比久も「萌音とは同じ役を演じる者同士でしかわからないことを共有できましたし、おかげで救われましたこともありました。いつも地に足がついている萌音は、周りを安心させてくれる空気をまとっていて、その包容力が演技にも表れていると思います。Wキャストで同じ舞台に立てることはなかなかないので、ここからまた切磋琢磨していきたいです」としみじみ語る。
そんな信頼しあう二人を真近で見てきた井上は「僕が知る限り、ミュージカル史上最も仲良しなWキャストだと思います(笑)」と冗談交じりに語り、「同じ役を演じるライバルですが、共鳴しているように見えて僕が入る隙がないくらい。2人でひとつになって稽古している印象を受けながらも2人とも全然違うお芝居をしてくるので、とても面白いです。Wキャストがこんなにぴったりと寄り添っているのはまれなことだなと思いますし、キャスティングの素晴らしさと共に、2人の人間としての力を感じました」と、劇中のジェーンとヘレンのように厚い信頼で繋がる二人を微笑ましく見つめていた。
ミュージカル『ジェーン・エア』は、4月2日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスで上演され、4月7日(金)から4月13日(木)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティでも上演。また、4月1日(土)17:30開演回と4月2日(日)12:30開演回ではライブ配信されることも決まっている。上演時間は約2時間45分(休憩あり)。
(映像提供:東宝演劇部)
公演情報
上演スケジュール
【東京公演】
2023年3月11日(土)~4月2日(日)
東京芸術劇場 プレイハウス
【大阪公演】
2023年4月7日(金)~4月13日(木)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
出演
ジェーン・エア/ヘレン・バーンズ:上白石萌音 屋比久知奈(Wキャスト)
エドワード・フェアファックス・ロチェスター:井上芳雄
春野寿美礼 仙名彩世 樹里咲穂
折井理子 水野貴以 中井智彦 萬谷法英 神田恭兵
<スウィング>江崎里紗 犬飼直紀
岡田悠李 萩沢結夢 三木美怜(トリプルキャスト)
大澄賢也 春風ひとみ
スタッフ
【原作】シャーロット・ブロンテ
【脚本・作詞・演出】ジョン・ケアード
【作曲・作詞】ポール・ゴードン
【翻訳・訳詞】今井麻緒子
【音楽スーパーバイザー】ブラッド・ハーク
ほか
企画・制作・主催
梅田芸術劇場 東宝
公式リンク
公式サイト:https://janeeyre.jp/
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