相葉雅紀の主演舞台『ようこそ、ミナト先生』開幕!演出・宮田慶子が感じた12年分の成長

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相葉雅紀の主演舞台『ようこそ、ミナト先生』開幕!演出・宮田慶子が感じた12年分の成長

2022年6月4日(土)に東京・新国立劇場 中劇場にて、相葉雅紀の主演舞台『ようこそ、ミナト先生』が開幕した。初日前にはフォトコールと取材会が行われ、主演の相葉のほか、松平健、脚本の金子ありさ、演出の宮田慶子が登壇した。

本作で描くのは、町や人生の“再生”。とある山あいにある町・日永町に一年前に観光目的として訪れた青年・湊孝成(相葉)は、ひょんなことから非常勤の音楽教師として働くことになる。人当たりがよく、どんな相談にも親身になって話を聞く彼は、地元の人、移住してきた人、誰からも“ミナト先生”と慕われるようになっていた。

しかし、一人暮らしの偏屈者・植村久志(松平)だけは、決して心を開こうとはしなかった。そんな植村のもとにも、交流を図ろうとミナトは何度も足を運ぶ。みんながずっと町にいてほしいと願うほど、町に溶け込んでいったミナトだったが、ある秘密を抱えていて・・・。

共演は、松平のほか、秋元才加、忍成修吾、濱田龍臣、須藤理彩、青木さやか、中山祐一朗、横堀悦夫、森田甘路、大沼百合子、田中利花、天野はな、野口俊汰丞、吉村拓也、谷花音。

目次

フォトコールレポート(以下、物語の一部に触れています)

フォトコールでは、まず物語冒頭、ミナトの住む古民家に日永町の住人たちが集まってくる場面が公開された。みんな、何かしらミナトに相談ごとがあって集ってくるのだ。そこへ、一輪車を押したミナトが帰ってくる。順番待ちで次々に寄せられる住人たちの話に、真摯に耳を傾けるミナト。

ミナトが働く日永小学校および中学校の校長・及川太一(忍成)は、そんな彼を町の緩衝材のような存在だと頼りにしている。太一の妻で身重の美樹(須藤)、町へで戻ってきた喫茶店の看板娘・難波さつき(青木)らは「ミナトにずっと町にいてほしい」と診療所の医師・高梨由佳子(秋元)とくっつける計画をするほど。しかし、町で生まれ育った青年・野村伊吹(濱田)はそれをよく思っていないようだ。

虫の声がよく聞こえるようなのどかな町、小さなコミュニティの中で慕われる青年、というのは、相葉の持つパブリックイメージにぴったり。話を聞きながらニコニコと笑みを浮かべる姿は、一瞬で“ミナト先生”がこの場所に来てからの時間に説得力を持たせる。

もう一つ公開されたのは、冒頭から少し時間が経過した場面。都会から移住してきた住人たちが、町役場の職員に田舎暮らしに抱いていたイメージと現実のギャップを訴える。一方で、地元の住人たちも移住組に不満があるようだ。そのどちらの集まりにも顔を出し、ミナトは場を諌めていく。

誰の心にもするりと入っていくミナトだが、植村久志(松平)とは距離を測りかねているようだった。やっと出てきた言葉も、拒絶の言葉。それでも、会話が出来たとミナトは喜ぶ。新しい命が生まれた町は、祭りの季節を迎えていた。ミナトは祭りに植村も参加してもらってはどうかと考えているようだった。一方で、ミナトは町のみんなには見せない険しい顔で、一本の電話をかける・・・。

松平が出てくることで、場の空気がぴりりと引き締まる。その芝居の圧が、相葉演じるミナトの、見えない部分を浮き上がらせていくのが分かる。果たして、ミナトは何を抱えているのか。植村は変わるのか。心の交流が温かな物語を生む。

12年分のダメ出しに相葉雅紀「想像以上につらかった(笑)」

相葉が舞台に出演するのは、実に12年ぶりとなる。相葉自身は、ずっと舞台をやりたいと思っていたそうで「時間は空いてしまいましたが、素敵な皆さんに囲まれてまたお芝居できることを幸せに思いながら、毎日必死に稽古して今日を迎えました。緊張はしているんですが、楽しんでやりたいと思います」と、初日を迎える心境を語った。

また、コロナ禍で無観客の状況が続いていたことにも触れ、「どんな時も楽しんでいただけるように精一杯やることは大前提なんですが、個人的にお客様の前に立つことをすごくしたいと思っていたので、そういう状況が復活したことがとても嬉しいです」と、制限が緩和してきたことを喜んだ。

脚本の金子と、演出の宮田は、相葉が12年前に出演した舞台『君と見る千の夢』でも作品づくりをともにした顔ぶれだ。脚本の金子は、本作に自身が抱く相葉のイメージを込めたという。「相葉さんは“ファンタジーとリアリティの融合”のような方だと思うんです。いそうでいない、身近に感じるんだけど存在しない。それを意識しながら、ドラマや映画ではできない舞台ならではの表現方法を意識して書きました」と語った。

そんな金子渾身の脚本ということもあり、相葉は「ハードな役です」と稽古場で生みの苦しみも味わっていたようだ。それに対し、演出の宮田は「(相葉は)12年の間にものすごい経験をなさって、その分中身が充実されたのを感じました。今回の役はきちんと重ねていかないとできない役なので、大人になって中身が充実した分苦しんだのだと思います」と、その成長を讃えた。

宮田のことを「お母さんのような存在」と言い、絶大な信頼を寄せている相葉。それゆえに「稽古をしていない時期もお会いしたりしていて、本当に優しい方なのも知ってるし、鬼の顔も知っているし。ダメ出しをいただくことは年齢を重ねていくと徐々に機会が少なくなっていくので、この期間はできるだけ吸収しようと思ったんですが、12年間分のダメ出しだったので想像以上につらかったです(笑)」と、正直な気持ちを吐露。

宮田は「12年間分のダメ出し、飲み込めないよね!ごめんね!と反省することもありました」と言いながら、「日々自分の中で探しながら深めていっていましたね。稽古場としてはハードだけど、楽しいと思ってもらいたかった。12年前は追いかけ回してダメ出ししていたんですよ。当時は『キャパオーバーです!』ってすぐ逃げちゃってたけど(笑)。それを懐かしく思い出すぐらい、今回はすごい大人でした。成長を感じて、とても嬉しかったです。同時に、欲が出ちゃいました(笑)」と、充実の稽古を振り返った。

宮田と相葉の師弟関係に、松平は「私なんかは若い頃、こういうことはなかったのでうらやましいなと思いました。(相葉が)努力家で、日々どんどん変わっていく姿はとても頼もしいものでした」とコメント。

相葉は、松平からも得るものが多かったようで「正直、最初は近づき難いと思っていたんですが、健さんの方からたくさん声をかけてくださってありがたかったです。健さんは本当にすごい。目力も、放つパワーも、台詞以上のものが伝わってくるんです。対峙してすごく感じることが多くて、勉強させていただきました」と、共演の喜びを噛み締めていた。

また、同日には親友である風間俊介も舞台『恭しき娼婦』の初日を迎えるということで、よく連絡を取り合っていたそう。「さっきもLINEしたんですけど、返ってきません(笑)。忙しいんでしょうね。同時期に舞台に立てるのは嬉しい反面、観に行けないし、来てもらえないのは寂しいですね・・・。でも、個人的に風間くんが家に来た時に(本作を)披露します(笑)」。

また、嵐のメンバーとも連絡を取り合っているそうで「松本(潤)くんは、時間見つけて行くって言ってくれました。みんな忙しいので・・・、でもリーダーは来てくれてもいいのにな?!連絡してみます」と笑った。

最後、相葉は12年ぶりの舞台に向けて「(舞台は)身体一つでの勝負の場で、厳しいし甘くない場所ですけど、定期的にやりたかったです。なかなか叶わなかったんですが、その分、今回に集中しようという思いで全力で取り組んでいます。本当に、みんなで全力で作ってきましたので、来ていただける方は楽しみにしていてください。がんばります!よろしくお願いします!」と締めくくった。

『ようこそ、ミナト先生』は、6月4日(土)から6月19日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場、6月29日(水)から7月3日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演。上演時間は120分(休憩なし)を予定。

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

『ようこそ、ミナト先生』公演情報

上演スケジュール・チケット

【東京公演】2022年6月4日(土)~6月19日(日) 新国立劇場 中劇場
【大阪公演】2022年6月29日(水)~7月3日(日) 梅田芸術劇場 メインホール

スタッフ・キャスト

【脚本】金子ありさ
【演出】宮田慶子

【出演】
相葉雅紀
秋元才加 忍成修吾 濱田龍臣 須藤理彩 青木さやか 中山祐一朗
横堀悦夫 森田甘路 大沼百合子 田中利花 天野はな 野口俊丞 吉村卓也 谷花音
松平 健

【公式サイト】https://www.minatosensei.com



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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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