三宅健主演・奏劇vol.2『Trio~君の音が聴こえる』取材会レポート!新しい舞台芸術のカタチへの挑戦


2022年12月15日に東京・よみうり大手町ホールにて奏劇vol.2『Trio~君の音が聴こえる』が開幕した。開幕直前にフォトコールと取材会が行われ、主演の三宅健ほか、大鶴佐助、藤木直人、奏劇の発案者で舞台の原案・作曲・劇中のピアノ演奏を担当する岩代太郎が登壇し、舞台への意気込みを語った。

“奏劇”とは“演奏”の“奏”と“演劇”の“劇”が組み合わさった言葉で、映画「キネマの神様」、「レッド・クリフ」といった数々の映画音楽を手掛け日本を代表する作曲家のひとりである岩代太郎により発案されたプロジェクト。本作は、2018年に紀伊國屋ホールにて上演された奏劇『ライフ・コンチェルト』に続く第二弾となる。

三宅健主演・奏劇vol.2『Trio~君の音が聴こえる』取材会レポート!新しい舞台芸術のカタチへの挑戦

孤児院で育ち、兄弟のように慈しみあってたサム(三宅)、トム(藤木)、キム(大鶴)の3人が中心となった物語が紡がれる本作。サムは幼い頃から周囲とはどこか違っていて、自分の気持ちを言葉で表すよりピアノを弾いて音楽で語りかけていた。また他の人の気持ちを感じ取り、音楽で表現することができていた。3人は成長し、トムは心理カウンセラー、サムはトムのサポートとしてカウンセリングに訪れる患者たちの心を音楽で癒すのだった。そんな中、二人の前に数年ぶりにキムが現れるのだが・・・というストーリーが展開されていく。

取材会ではキムが再会し、それぞれの子供時代から抱えていた秘密が暴かれるシーンと、3人が台本を置きかくれんぼをするシーンが披露された。後半描かれるシーンであり、台詞からは物語の重要なキーワードも発せられていた。ほんの数分の場面公開であったが登場人物たちの痛々しい心と、静かに零れる三宅の涙が印象的だった。

ステージの形状は三角形になっており、ミュージシャンたちは常時ステージに存在する。岩代が演奏するピアノはサム、西谷牧人が演奏するチェロはトム、三浦一馬が演奏するバンドネオンはキム、それぞれの楽器がそのままキャラクターのイメージとリンクしている。

三宅健主演・奏劇vol.2『Trio~君の音が聴こえる』取材会レポート!新しい舞台芸術のカタチへの挑戦

キムが子供時代からの抱えていた心情を吐露する場面では哀愁あるバンドネオンが響き、それに静かに答えるようにピアノが包み込み、チェロがそっと支えていた。また別の場面では不穏な気持ちを表すように不協和音が生まれ、また別の場面ではピアノ、チェロ、バンドネオンが波のように主役が変わり、それが渦のように調和し物語が展開していった。作品によって音楽は場面構築に重要であるが、本作は役者の演技と音楽の両方が際立ち、両方を生かした演出になっており、音楽の力でより作品の世界にのめり込むことができた。

取材会で、岩代は“奏劇”を作り出したきっかけについて「オペラに代わる新しい総合芸術を作り出したく自分なりに模索して作った」と語る。コロナ禍によって2018年の第一弾から本作まで4年ほど開いてしまったが、今後は岩代のライフワークとしてコンスタントに作っていくようだ。

三宅健主演・奏劇vol.2『Trio~君の音が聴こえる』取材会レポート!新しい舞台芸術のカタチへの挑戦

“奏劇”初参加の三宅も「奏劇という演奏家と役者がお互いに寄り添い、ハーモニーを奏でることで一つの役になっていくのは初めての経験だった」と話す。三宅は朗読劇自体も今回初挑戦だったが、その感想を尋ねられると「ずっと台本もっていると肩が凝って大変ですね」と笑いながらも「演出の深作健太さんから台本を覚えてしまって台詞が腹に落ちてしまうのは違うと、演奏家の方々と同様に台本をスコア(総譜)とし演技する必要があった」と苦労を語った。

三宅健主演・奏劇vol.2『Trio~君の音が聴こえる』取材会レポート!新しい舞台芸術のカタチへの挑戦

藤木は岩代と20年以上親交があるそうで、岩代自身がステージ上で演奏する今作に参加出来る喜びと贅沢さを毎回感じているという。大鶴も朗読劇が初挑戦だったが「“奏劇”は演劇と朗読劇のちょうど中間に位置するような作品なので新鮮味があった」と語る。

また大鶴、三宅、藤木はちょうど10歳ずつくらい年齢が違うそうで、大鶴が「設定が幼馴染だったのだが見えるか不安だった」と話すと、最年長の藤木が「え?どういうこと!?」とツッコミを入れる場面も。しかし稽古が始まると年齢差は全く感じなく演じれたそうだ。岩代からは若くても態度がでかいやつが良かったから年齢差があっても大鶴をキャスティングしたと裏話も飛び出した。しかし実際に大鶴に会うと礼儀正しい好青年だったと笑った。

三宅健主演・奏劇vol.2『Trio~君の音が聴こえる』取材会レポート!新しい舞台芸術のカタチへの挑戦

最後に三宅は今年一年を「充実した一年だった」とし、「コロナ禍でもファンの方々と直接会える機会が多かったのが幸せだった。舞台を観に来てくださる皆さんとお会いできるのも楽しみです。今回は会場のキャパの問題でチケットが激戦で来られる方のほうが少ないかもしれません。しかし来られるる方々は、この新しい芸術のカタチである“奏劇”を贅沢な生演奏と共に楽しんでいただきたいです」と大事にしているファンへ想いを語った。

奏劇vol.2『Trio~君の音が聴こえる』は12月24日(土)までよみうり大手町ホールまで上演。上演時間は125分(途中休憩15分含む)を予定している。

(取材・文・撮影:一本柳歌織)

奏劇 vol.2 『Trio~君の音が聴こえる』公演情報

上演スケジュール・チケット

2022年12月15日(木)~12月24日(土) よみうり大手町ホール

スタッフ・キャスト

【原案・作曲】岩代太郎
【脚本】土城温美
【演出】深作健太

【出演】
三宅健 大鶴佐助 黒田アーサー サヘル・ローズ 藤木直人

<演奏>
三浦一馬(バンドネオン) 西谷牧人(チェロ) 岩代太郎(ピアノ)

あらすじ

サム(三宅健)は幼い頃から周囲とはどこか違っており、自分の気持ちを言葉で表すよりもピアノを弾いて音楽で語りかけた。そして人の悲しみ、喜びや痛みを「音」で感じ取り、彼はピアノを通して音で表現するのだった。ピアノを通して人の心を描写することができるサム。サムは孤児院で育った。同じ孤児院で育った仲間にトムとキムがいる。3人は兄弟のように慈しみ合う、そんな関係であった。

トム(藤木直人)は心理カウンセラーとなった。そしてサムはトムの行うカウンセリングのサポートをしている。トムの元に訪れる人々はトムのカウンセリングと共に、サムが感じ取る患者たちの心の音色によって心を開き、癒されてゆくのだった。

トムの診療所には様々な人が訪れる。若い頃、娘を産み捨てた大金持ちの企業家(サヘル・ローズ)や、愛を見失い、歌えなくなった歌手(黒田アーサー)。そんな患者たちはトムのカウンセリングとサムの奏でるピアノの音色で心を開き、癒されていくのであった。

そんなある日、ニュースが飛び込んでくる。自殺者が急増していると。自ら命を絶つ人々がたえないというこのニュースは少なからず、カウンセラーを生業としているトムにとっては気になるニュースであった。そんなニュースには自分がカウンセリングを行なった患者の名前もあった。

どんどん増える自殺者たち。そんなニュースに心を痛めていたある日、突然二人の前に数年ぶりにキム(大鶴佐助)が戻ってきたのだった・・・。幼少期を懐かしむ3人だったが、キムが戻ってきた本当の目的は一体・・・。

【公式サイト】https://tspnet.co.jp/sougeki-2022





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