2017年7月、東京・Bunkamuraシアターコクーンにて、音楽劇『魔都夜曲』の上演が決定した。脚本は、濃密な人間ドラマを描き出し、演劇界を牽引するマキノノゾミ。演出は、大劇場からライブハウス公演まで幅広いジャンルの公演を手掛け、華やかさとエッジの効いた演出で、“今最も旬な演出家”と言って過言でない河原雅彦。
本作の舞台となるのは、“魔都”とも称された1930年代の中国・上海。近衛文麿首相の息子で秘書官も勤めた近衛文隆をモチーフとした主人公・白河清隆を中心に、華やかさと暗部を抱えた上海の歴史に隠された秘めた恋と、時代の光と影、人間群像を、生バンドのジャズの音色と共に、華やかにドラマティックに描き出す。
白河清隆役を演じるのは、藤木直人。藤木は、時代劇『冬の絵空』で舞台デビュー後、蜷川幸雄演出『海辺のカフカ』日本公演・海外公演に出演、そして蜷川の遺作となった『尺には尺を』に主演。映像から舞台まで活躍の幅を広げ、今まさに充実期を迎えている俳優。繊細な演技力と凛とした佇まいで、激動の時代に生きる“プリンス”をいかに演ずるか期待が高まる。
ヒロインの周紅花(チョウ・ホンファ)役はマイコ。日米ハーフの美貌、上品さと迫力を兼ね備えた演技力は、演劇界の次世代スターの呼び声も高い。今回も鮮烈な印象を残してくれることだろう。
紅花の兄・周志強(チョウ・チーチャン)役は、2017年ミュージカル『フランケンシュタイン』の怪物・アンリ役で、歌唱力とその美しき怪物ぶりが好評を得た小西遼生が演ずる。
「東洋のマタハリ」として名を馳せた実在の人物、川島芳子役には壮一帆。宝塚雪組トップスターであった壮の”男装の麗人”ぶりが今から楽しみだ。
クラブのピアノマン鳥谷良治にはこまつ座『木の上の軍隊』での演技が各所から高い評価を得た松下洸平。
そして、物語の舞台となるジャズクラブ「ル・パシフィーク」の支配人であり、謎めいた雰囲気を持つ男・新田日出夫役に、橋本さとし。
その他、劇団四季出身、ミュージカル『エビータ』『アイーダ』等でタイトルロールを歴任した秋夢乃、更に、コング桑田、春風ひとみ、山西惇、村井國夫、といった演劇界の実力派俳優がずらりと勢揃いした。
演出の河原雅彦、キャストの藤木直人、マイコ、小西遼生、橋本さとしから、以下、今作品に向けて、コメントが届いた。
◆演出:河原雅彦
詳しいストーリーはどっかの解説で読んでいただくとして、僕の仕事は、マキノさんの重厚な脚本を華やかかつ、スリリングなエンタメとしていかに舞台上で昇華させることだと思ってます。その点では、藤木さん、マイコさんを始め、多芸に秀でた魅力的なキャスト陣がドバっと集結してくれたことはとても心強いですね。なにせ日頃から大変お世話になっているキューブ20周年記念公演を預かるわけですから。素敵な舞台を届けられるよう、僕なりに楽しみながら魂を削るのみです。
◆藤木直人:白河清隆(しらかわ・きよたか)役
今回僕が演じるのは白河清隆という由緒ある公家の血筋でありながら自由奔放な御曹司で、二人の中国人兄妹との出会いをきっかけに戦争にむかって進む歴史の大きなうねりに巻き込まれて行きます。どんな舞台になるか今の時点では想像もつきませんが、脚本のマキノさん、演出の河原さんとご一緒出来るのが楽しみです。キャストも事務所の先輩が多いので稽古場で萎縮してしまうと思いますが(笑)、舞台やミュージカル経験の豊富な方々ばかりなので色々勉強したいと思います!上海は当時の日本からみたら魅惑的な魔都と呼ぶにふさわしい街。そんな上海を舞台にした音楽と物語を是非楽しんでいただければと思います。
◆マイコ:周紅花(チョウ・ホンファ)役
「魔都夜曲」、美しくも妖しいタイトルに心惹かれました。自分にとって挑戦多き作品になりそうですが、“魔都”の言葉通り、観客の皆様を舞台の世界に迷わせ、一度観たら忘れらない、そんな作品になればと思います。
◆小西遼生:周志強(チョウ・チーチャン)役
魔の潜む場所「魔都」の夜に流れる曲。まずはその艶かしく刺激的な香りのするタイトルに惹かれました。作品の舞台となるのは1939年の中国、上海。そこで藤木直人さん演ずる清隆と出会い、親友となる周志強という中国人の役を演じます。どのような作品になるのかはまだ未知ですが、素晴らしいキャスト、カンパニーの方々と共に、激動の時代を生きる人々の生命力を感じることが出来る作品を皆さんにお届け出来ればと思います。
◆橋本さとし:新田日出夫(にった・ひでお)役
1930年代の上海が背景とする混沌とした華やかさと闇が交錯する空気感はいかがわしくて好きです。そんな群像劇の中で個性的な役者が揃い、埋もれてしまわないよう新田日出夫を存在させたいと思います。かつて船乗りでジャズバーのオーナーとなり、過去に謎をもつ男。そしてジャズが似合う毒舌家。とにかくマキノさんが書いた台詞の中で生き生きと新田の言葉を吐き、河原リーダーの演出で、謎めいた50歳の枯れた色気を引きずり出してもらおう(笑)はい、他力本願です。
音楽劇『魔都夜曲』は、2017年7月7日(金)から7月29日(土)まで、東京・Bunkamuraシアターコクーンにて上演される。チケット一般発売は5月13日(土)より開始。その他の公演情報は以下のとおり。
【愛知公演】2017年8月5日(土)~8月6日(日) 刈谷市総合文化センター 大ホール
チケット一般発売 5月13日(土)
【大阪公演】2017年8月9日(水)~8月13日(日) サンケイホールブリーゼ
チケット一般発売 5月下旬予定
◆ストーリー
舞台は1939年、上海。当時の上海はフランスやイギリス、アメリカ、日本などの列強の租界地として異国情緒が溢れる都市となっていた。人々の思惑や欲望を飲み込む多国籍の都市は、”魔都”とも称された。
その都市にある男が降り立つ。男の名は白河清隆(藤木直人)。公家の血を引き父は日本政府の要人、諸国を遊学し芸術に親みながらも遊興に明け暮れていた。上海には、父からの指示で来たのだが、相変わらず遊び歩く日々。その清隆の前にある二人の兄妹が現れる。中国人の父と日本人の母を持つ、周志強(チョウ・チーチャン/小西遼生)、周紅花(チョウ・ホンファ/マイコ)。清隆と二人の間には次第に友情が生まれていく。
新田日出夫(橋本さとし)が支配人を務めるクラブ「ル・パシフィーク」には様々な人々が集まる。クラブのあちこちでは、音楽談義も語られれば、直面する政情に熱を帯びた論議も起こり、ジャズの音色とともに、人々の思惑渦巻く不可思議な空間だった。清隆、志強、紅花は、ル・パシフィークで様々な人々と出会う。
紅花は清楚な外見からは予想がつかない自由奔放な一面ものぞかせ、清隆はそんな紅花にいつしか惹かれてゆく。しかし、ふたりの恋には、それぞれの宿命が待っていた。志強と紅花にはある秘密があった。
時代は大きな影を落とし始めていた。時は太平洋戦争前夜。未だ目的が見出せなかった清隆も、彼の存在自体が持つ宿命により、容赦なく歴史の大いなる波に巻き込まれてゆく。
各国列強がにらみを利かせ思惑渦巻く都市・上海で、清隆は次第に自分のなすべきことに目覚めてゆく。清隆と紅花、そして取り巻く人々の大いなるドラマが展開してゆく。
◆公演概要
cube 20th. presents 音楽劇『魔都夜曲』
作:マキノノゾミ 演出:河原雅彦
出演:
藤木直人 マイコ 小西遼生 壮一帆 松下洸平 秋 夢乃
中谷優心 キッド咲麗花 村上貴亮 吉岡麻由子 前田悟 板倉チヒロ
田鍋謙一郎 奥田達士 コング桑田 春風ひとみ 山西惇 村井國夫 橋本さとし 他
企画・製作:株式会社キューブ