亀梨和也主演、前川知大の作・演出舞台『迷子の時間 -語る室2020-』が開幕!公開ゲネプロ&取材会レポート

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2020年11月7日(土)に亀梨和也主演、前川知大が演出を務めるPARCO劇場オープニング・シリーズ『迷子の時間 -語る室2020-』が開幕する。開幕直前となる11月6日に公開ゲネプロと取材会が行われ、亀梨、貫地谷しほり、浅利陽介、松岡広大、古屋隆太、生越千晴、忍成修吾、前川が登壇し本作の見どころなどを語った。

本作は、2015年に自身が主宰する劇団イキウメで上演された「語る室」をベースに、『抜け穴の会議室』以来10年ぶりの登場となるPARCO劇場のオープニング・シリーズに相応しい2020年版として新たに描かれる一作。深遠さを増した独自のSF的な世界観から、今を生きる意味を私たちに問いかけてくる、まさに“前川ワールド”の真骨頂といえる作品となっている。

物語は、とある田舎町、交番脇の広場でバーベキューの準備をする警察官・二階堂譲(亀梨)と古橋宗雄(忍成)を、車が盗まれたと嘆く男・佐久間一郎(古屋)が見つめているところから始まる。流れでバーベキューに参加することになった佐久間はその町で起きたとある事件について聞き始め、2人は身構えてしまう。実はこの町では5年前、とある日の夕方に人気のない山道で一人の園児と幼稚園送迎バス運転手が唐突に姿を消す失踪事件が起きていたのだ。

失踪事件について2人ははぐらかしつつ、霊媒師だという佐久間と幽霊が見えるという譲はその話で盛り上がる。そんな中、夕方5時半のチャイムが鳴った時、譲は事件が起きた日について語り始めた。5年前の今日、9月22日に交番に居た譲は町民からの電話で失踪現場にいの一番に現場に駆け付けていた。エンジンがかかったまま、無人になった幼稚園バス。その中に残されていた荷物で譲は姉の息子が居なくなってしまったことを知り・・・そこから5年、消えた子供の母であり譲の姉・美和子(貫地谷)、とある失敗を犯し責任を感じている譲、消えたバスの運転手の兄である宗雄ら平穏に生きてきた人間たちの日常が崩されてしまう。

この舞台が見事なところは、行ったり来たりする現在と過去の時間軸を綺麗に切り替ていくところ。観る者を混乱させることなく、過去と現在を描き、同時間に起きたことを違和感なく見せてくるのだ。舞台上、限られたセットを自在に変化させて物語をスムーズに展開させる前川の演出力が光るのももちろんだが、それを可能にさせているのは亀梨らキャスト陣の表現力の豊かさのおかげだろう。5年前と今、事件がきっかけで情緒の変化が生まれているが、それを瞬時に切り替えていく姿は見応えがあって心の中で思わず拍手したくなる。

特に息子が居なくなったことで、譲を激しく攻め立て、息子と一緒にいなくなった古橋について中傷的なビラをばらまくなど予期せぬ行動を起こしてしまうほど激しく情緒が乱れた5年前と、すっかり落ち着きを戻して穏やかな表情見せる現在、シーソーのように行ったり来たりする美和子を演じる貫地谷の緩急がすごかった。他にも父の死を知り実家を目指すヒッチハイカー役の浅利、帰ることのできない未来人役の松岡、奇跡を信じて嘘をつき続ける霊媒師役の古屋、浅利演じるヒッチハイカーの妹で遺品から亡き父の秘密に迫ろうとする娘役の生越が演じる個性豊かなキャラクターたちがさまざまな事象と感情、真相を運んできて、バラバラに見えた物語が一つになっていくのは観ていて気持ちが良かった。

公開ゲネプロの前に行われた取材会では、前川が「ミステリー的な・・・子供の失踪事件が分かってきて、この7人が絡んでそうで絡まなくて、でも深いところで録っても絡んでいるのが分かるお話です。ややこしい話ではあるんですけど、難しく考えてもらうよりは感覚で観てもらえるように作ったつもりです。なのでこの7人の繋がりと言うものが観た後にあったかい形で残ればいいなと思います」と語っているが、まさにキャスト陣の繊細な演技が重なり合って物語が紡がれているおかげで、置いていかれることなく最後まで難なく物語を追いかけていくことが出来るし、観終わった後には観客側にしか味わえない不思議な気分も感じられた。

主演を務める亀梨は今回、5年ぶりとなる舞台でストレートプレイに初挑戦。亀梨は「PARCOさんとこうやってお仕事させていただくのは初めてですし、この劇場に立つのも初めて、ストレートプレイも初めて、浅利君は一度ドラマで少し共演させていただきましたが、皆さんとは初めましてというところから・・・という初めてばかりの舞台なのですが、稽古場ではすてきな稽古の時間を過ごさせていただきました。こういった状況の中でステージに立たせていただけることに感謝しつつ、良い時間を過ごしていただけるように尽くしたいと思います」と意気込んでいる。

また、亀梨と同い年ながら姉を演じる貫地谷は「憧れの前川さんの作品に参加できるということですごくうれしかったですし何度も足を運んでいていつか出てみたいなと思っていたPARCO劇場にこうやって出演することができてうれしいです」と喜びつつ、「本当に素敵な人たちばかりで稽古場もすごく楽しいというか、毎日ここに居る人たちの事をどんどん好きになっていきました。懐かしい感じもするのに、前川さんの時空を自在に操ると言いますか、懐かしいとはまた違う部分を融合した素敵な舞台になっていますので多くの方に観ていただけたらと思います」とアピールした。

一方、浅利は「僕はヒッチハイカーという役で、ゆる~く出てゆる~く去っていく・・・」という自虐じみた自己紹介を始め亀梨らから「ゆるくはないですよ(笑)」と突っ込まれつつ、「ヒッチハイカーですから風のごとく流れていくような、橋爪功さんのような。ちょっと出たらクスッと笑える存在感のあるようなものを目指しています」と掲げると、亀梨から「十分出てますよ!」と太鼓判を押され照れ臭そうに笑っていた。

また、松岡は「前川さんは俳優をやる中でご一緒したかった演出家さんなので、できてすごくうれしいですし、何より諸先輩方に囲まれて芝居ができるのは最上の喜びだなと思います。稽古場で一人一人からいろんなものを学んで、いよいよ初日を迎えるんですがしっかりとぶつけられそうな気がしますし、演劇ってやっぱり楽しいな、必要不可欠なものだなと感じたので、皆さんの日常に演劇が入っていけばなと思った作品でもあるので楽しみにしていてください」とうれしそうに語った。

怪しげ満点ないで立ちの古屋は「私の役どころから申しますと・・・霊媒師という役で、ご想像の通りちょっと目に見えないものとかとのアクセスというか、そことのコネクションを人一倍大切にする感じで。この作品自体も目に見えないけどきっと確実にあるもの、人の人生にとってとても大切なものが凄く深く描かれていると思ってまして、早くより多くの皆さんにこの作品をしっかりお送りできたらと思います」と

生越は「舞台ってやっぱり稽古期間があってすごく特別だと思うんですけど、そこで7人がすごい深いところで繋がっていて、そこを創り上げる稽古が皆さんが素敵であったかい人たちで簡単な言葉じゃ伝えきれないくらいすてきで7人で繋がっているっていうのをみんなで作り上げられたんじゃないかと感じていて、それをこのPARCO劇場でお客様に届けられるのが楽しみで、千穐楽までまだまだあるので諦めずにもっと発見をしていけたらと思います」と明るくコメントした。

そして、初の舞台出演がPARCO劇場だった忍成は「感慨深いです」としみじみしつつ、「こうしてまた新しいPARCO劇場でやらせていただけるのがうれしい。僕も2年ぶりの舞台で緊張してたんですけど、前川さんの作品も観させていただいて今回ご一緒出来るのがうれしいと思っていて、そういう稽古をするんだろうと思ったんですけど、チームワークが良くて役どころもそうですけど、それぞれの個性が出てくるような稽古場で、1人1人の事がよく分かったので、それがチームワークに繋がっているのかなと。それが本番ですごく役に立つというか、底力になるのかなと思います。初日これから迎えて良い緊張と、これからようやくお客さんに観てもらえるんだという喜びを感じてます。ぜひ楽しみにしていてください」とメッセージを送る。

全員が口を揃えて幸せですてきな稽古時間を過ごしたというが、その秘密は稽古の最初に行われるゲームの時間だとか。椅子取りゲームやジェスチャーゲーム、その日によってコミュニケーションを撮ったり声を出したり体を動かせるゲームが行われるその時間に、忍成は「こんなに楽しみながらこういう風に味が出たり、作品をやるのが楽しくなるから自然と集中できるというか、そういうのがすごい面白いなって」と楽しそうに語り、亀梨も「あの時間が非常に有意義だった」としみじみ。亀梨は“ワードウルフ”という、みんなでお題について話し合う中、みんなとは異なるお題を与えられた少数派の人(ワードウルフ)を探し出すゲームが特にお気に入りとのことだが、先陣を切っていっぱい話すものの突っ込まれると途端に弱くなってしまうという自分自身の性格を新たに発見したという。

また、パンフレット撮影も兼ねつつ、劇中に出てくるバーベキューシーンを実際に経験しようという趣旨の元バーベキュー稽古なるものも行われたとか。それぞれ何かを持ち寄ろうという話になったが、バーベキューの前日に持ち寄るものを確認したら以外にも肉を持ってくる人がいなかったということで、亀梨はみんなに秘密でキャンプ当日に早起きして肉を買い込んで持ち込み、さらにキャスト陣に大好評となったハマグリなども手配して、“座長”としての男気を見せていたという。

そんな素晴らしいチームワークを見せる朗らかな雰囲気で行われていった取材会。最後に、「前川さんとご一緒させていただきキャストの皆さんと素敵な時間を過ごす中で、PARCO劇場さんに立たせていただけることをしっかり噛みしめています。“時間”というものがキーになっているのでこの“時間”というものをいい形で、良い思いを持って劇場を後にしていただけるように過ごしていけたら良いなと思います」と亀梨がメッセージを送って締めくくった。

公演情報

PARCO劇場オープニング・シリーズ『迷子の時間 -語る室2020- 』
【東京公演】2020年11月7日(土)~11月29日(日) PARCO劇場
【大阪公演】2020年12月8日(火)~12月13日(日) サンケイホールブリーゼ

【作・演出】前川知大

【出演】
亀梨和也
貫地谷しほり、浅利陽介、松岡広大、古屋隆太、生越千晴 忍成修吾

【公式サイト】https://stage.parco.jp/program/maigonojikan

(取材・文:エンタステージ編集部 3号 撮影:加藤幸広)

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