2021年9月17日(金)に東京・シアタークリエで屋良朝幸主演のミュージカル『ドッグファイト』が初日を迎える。開幕前日となる9月16日にフォトコールと取材会が行われ、屋良、昆夏美、藤岡正明、大久保祥太郎、壮一帆が登壇し、本作への意気込みが語られた。
本作は、1991年にアメリカで公開された同名映画を原作としており、ハリウッド映画『ラ・ラ・ランド』、映画『グレイテスト・ショーマン』などで知られるベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが作詞・作曲を務め2012年にオフ・ブロードウェイで上演されたミュージカル。日本では2015年に初演を迎えた後、2017年にも再演されている。3度目の上演となる今回も、主演を務めるのは初演から続投している屋良。新たなキャスト、新たな舞台ビジュアルと共に、新生・ドッグファイトを作り上げる。
物語は、海兵隊員のエディ(屋良)、ボーランド(藤岡)、バーンスタイン(大久保)がベトナム戦争出征前夜、最後の夜を楽しむべく街で大騒ぎを始め、「ドッグファイト」に参加するところから始まる。ドッグファイトは海兵隊で代々受け継がれてきた、“一番イケてない女の子をパーティーに連れてきたものが賞金を得る”という最低のゲーム。誘いを断られ続けたエディは、街のとある食堂で働くローズ(昆)に出会い、彼女をパーティーに誘うことに。
安堵するエディとは反対に、彼の本当の目的を知らないローズは、生まれて初めてのデートに高揚していた。次第にローズの純朴さ、心の優しさに触れたエディは、良心の呵責に苛まれながら、深い愛を知り、大人へと成長していく・・・というストーリーが展開される。
フォトコールでは、エディ、ボーランド、バーンスタイン、フェクター(小川 優)、スティーヴンス(今江大地)、ギブス(一色洋平)ら海兵隊員たちがドッグファイトに参加するために街に繰り出す場面や、エディがウエイトレスのローズ(昆)をパーティーに誘い出そうとする場面が披露された。海兵隊員の屋良、藤岡、大久保はいたずらな笑顔を浮かべて女性を誘い、いきいきとした若者らしさを感じさせる。また、エディに誘われ、嬉しさの中にも少しの不安と緊張を見せるローズを昆が繊細に演じていた。
フォトコール後に行われた取材会では屋良を含め、メインキャスト5名が登壇。フォトコール時とはまた異なる衣装で登場し、和やかな雰囲気で本作への意気込みが語られた。
本作で3度目の主演を務める屋良は、「2回やらせてもらっているんですけど、前回をなぞることはなく、新鮮な気持ちでやっています」と新生・ドッグファイトに期待を込める。また、今回の上演に先立ち、髪を20㎝以上切ったそうで、「これまでは長い髪をリーゼントにしていたんですけど、今回はほんとの海兵隊員になろうと思って髪を短くしました。ちょっともう伸ばすのが嫌になるくらい気に入ってます」と笑顔で話す。さらに、肉体作りに関しても「半年前くらいからこのために作らせていただいて、6キロくらい筋肉量は増やしました。食事も結構こだわって」とコメントし、本作への熱い想いを感じさせた。
ミュージシャンを夢見る女の子・ローズを演じる昆は、「初演の千秋楽を一番後ろの席で見ていて、とても素敵な作品だと思っていました。今度は自分が客席で見ていた舞台をお届けできるので、感慨深いです」と出演への嬉しさを見せ、「自分がお客様にとって寄り添いやすい役として演じられているか、稽古段階から悩んでいましたが、屋良さんや演出の方に手助けしていただいたので、頑張りたいと思います」と力強くコメントした。
海兵隊員であり現実的な兄貴キャラのボーランドを演じる藤岡は、会見の間も常に場を賑わせていた。座長の屋良が髪を短くしたことに関して「2人(藤岡、大久保)にとっては迷惑だったかな」と話すと、藤岡は「そうですね、迷惑ですね。冗談ですよ(笑)」と茶目っ気を見せて、笑いを集めていた。
藤岡と同じく海兵隊員で素直な弟キャラ・バーンスタインを演じる大久保は、屋良と藤岡が筋トレで体を鍛えている一方で、「僕は筋トレを避けてきた人間なので(笑)。今回特に何もしていないんですけど、プロデューサーに聞いたら、そういう海兵隊もいるよね、と言われたのであえて、今のままで行こうという感じです」と率直な気持ちを話す。それに対し藤岡は「そういう役作りって聞いてない!」とツッコミながらも、「補足で言うと、バーンスタインはスリービーズの中でも1人筋トレしてなくてもいいような役だったりするんですよね」とフォローしていた。
また、ボーランドのドッグファイト相手であり娼婦のマーシーを演じる壮は「娼婦とはいってもマーシーは特殊な魅力を持っている女性だと思っています。9cmヒールで、髪も盛っているので、190cmくらいあるんじゃないかなと(笑)。とにかくこの作品一大きいんじゃないかなと思いながら、でもそのでかさが邪魔にならないよう、作品が始まってからも演じたいです」とにこやかに語った。
先月新型コロナウイルスに感染していた屋良は「回復してから10日ほどしか稽古に参加できなかったんですけれども、僕の療養中にキャストやスタッフの皆さんが良い空気感を作ってくださっていて。昆ちゃんにも根気強く(笑)稽古に付き合っていただいていたので、不安はなく、すんなり入れました」と感謝を述べつつ、「初日を迎えるって本当に奇跡だし、こうして明日から幕を挙げられることが本当に幸せなことだなと思っているので、千秋楽までは誰一人欠けることなく、走り抜けていきたいなと思います」とメッセージを送った。
そして最後に「今まで見て下さった方もそうでない方もいらっしゃいますが、全く新しい世界、新しいドッグファイトが誕生しました。これだけ踊るドッグファイトは世界でも、おそらく日本だけなので、ぜひ楽しんでいただきたいです」と意気込み、会見を締めくくった。
ミュージカル『ドッグファイト』は9月17日(金)から10月4日(月)まで、東京・日比谷シアタークリエで、10月6日(水)に愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで、10月21日(木)から10月24日(日)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。上演時間は、第一幕1時間5分、休憩25分、第二幕1時間10分の計2時間40分を予定。
ミュージカル『ドッグファイト』公演情報
上演日程
【東京公演】2021年9月17日(金)~10月4日(月) 日比谷シアタークリエ
【愛知公演】2021年10月6日(水) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【大阪公演】2021年10月21日(木)~10月24日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
スタッフ・キャスト
【作曲・作詞】ベンジ・パセック、ジャスティン・ボール
【脚本】ピーター・ドゥシャン
【翻訳】小田島恒志
【訳詞】高橋亜子
【演出】山田和也
【出演】
エディ・バードレイス:屋良朝幸
ローズ・フェニー:昆 夏美
ボーランド:藤岡正明
バーンスタイン:大久保祥太郎
フェクター:小川優
スティーヴンス:今江大地
ギブス:一色洋平
ルース・トゥー・ベアーズ:池谷祐子
ローズのママ:彩乃かなみ
ラウンジ・シンガー:坂本健児
マーシー:壮 一帆