熊林弘高演出『パンドラの鐘』追加キャストに松下優也、野田秀樹からのコメントも

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東京芸術劇場の芸術監督である野田秀樹の戯曲を気鋭の演出家・熊林弘高が演出する『パンドラの鐘』。2021年4月から6月にかけて上演が決定した本作のビジュアルが公開され、新たに松下優也の出演も発表された。

東京芸術劇場が自主事業として行ってきた「RooTS」(日本の現代演劇の源流を探るためにアングラ時代の戯曲を掘り起こし、若い演出家がチャレンジする企画)の流れを受け、「野田戯曲を野田芸術監督以外の人が演出することにも積極的に取り組む」企画の一つとして上演される本作。

熊林が挑戦するこの『パンドラの鐘』は、1999年にNODA・MAP第七回公演として世田谷パブリックシアターで初演され、紀伊國屋演劇賞個人賞・読売演劇大賞最優秀作品賞・芸術選 奨文部大臣賞(演劇部門)などを受賞した名作。「遺跡の発掘」「古代の天皇の殉死」「長崎への原爆投下」などのモチーフを扱い、“現代”と“古代”の2つの時間軸を行き来する物語には、野田戯曲らしい言葉遊びや複数のモチーフと時間・空間が交錯し、独創性溢れる作品として評価されている。

熊林演出では、一人の俳優が“現代”と“古代”の登場人物を1人2役で演じる。熊林が自身のこの構想を野田に相談したところ、野田は「そういう話なんだよ!」とこれを快諾。上演に向けて、以下のコメントを寄せた。

◆野田秀樹
「天上天下唯我独尊」とは「ジーザス・クライスト」と並び称せられる、あの「お釈迦様」が生まれた時に発した言葉だ。訳せば「この世に俺ほど尊いやつはいねえぜ」である。聞きようによっては、どんだけ傲慢?な響きを持つ言葉だ。だから案の定、この“唯我独尊”が、お釈迦様以外の口から発せられると、「独りよがり」などと訳されもする。だが、熊林氏の演出を見る時、私がいつも感じる、この人の「唯我独尊ぶり」の訳は、「独りよがり」の方ではなくて「お釈迦様」サイドの方である。つまり「尊い」方の「唯我独尊」訳である。世間だろうがコロナだろうが我関せず、熊林氏ならば、脚本をひたすら深く深く読み込み、自分が信じた通りの世界を創るだろう。熊林氏の「唯我独尊」にどっぷり浸った『パンドラの鐘』は、どんな響きをもって、天上天下に鳴り渡るのだろう。
I have been looking forward to listening to it.
因みにこの日本語訳は「楽しみだ」である。・・・短い。

出演は、門脇麦、金子大地、柾木玲弥、木山廉彬、長南洸生、八条院蔵人、松尾諭、緒川たまきの出演が発表されている。今回、新たに連続テレビ小説『べっぴんさん』(NHK)やミュージカル『サンセット大通り』『ハウ・トゥー・サクシード』など、俳優・アーティストとして幅広く活動する松下のほか、野田が東京芸術劇場で次世代を担う演劇人の育成を目指した団体「東京演劇道場」からオーディションで選ばれた木山廉彬・長南洸生・八条院蔵人の3名の出演も決定した。

『パンドラの鐘』は、4月14日(水)から5月4日(火)まで東京芸術劇場 シアターイーストにて上演(4月13日にプレビュー公演あり)ののち、滋賀・兵庫・金沢・水戸・名古屋を巡演する。

目次

あらすじ

本作では<太平洋戦争開戦前夜の長崎>と<遙か遠い昔の古代王国>の2つの時間軸が交互に物語られる。
歴史の謎に惹かれ長崎で発掘を行う考古学者のオズ(金子)がカナクギ教授の下で同僚のイマイチと掘り起こしたのは、土深く埋もれた巨大な古代の鐘であった。発掘研究の出資元であるピンカートン財団のピンカートン未亡人とその娘タマキ(門脇)は その鐘の謎を明らかにするようオズたちに依頼をする。すると、その鐘は古代王国が諸外国との戦の末に見つけた戦利品であったことが分かる。
ところ変わって、物語は古代王国の歴史を描く。王女・ヒメ女(門脇)は王であった兄の死をきっかけに王位を継承。王族に 仕えるヒイバアとハンニバルは王の葬儀を終え、埋葬を葬式屋のミズヲ(金子)らに命じる。王の遺体を埋めるため森深く進んで いく葬式屋たち。とあることから、棺の中に隠された秘密を知ってしまう。ヒイバア・ハンニバルは口封じにミズヲらを処刑しようと企てるが、ヒメ女がそれを阻止、代わりにある任務をミズヲらに命じる。ヒメ女が統べる古代の王国は諸外国との戦を重ね、連戦連勝。戦利品として持ってきた鐘は美しい音色を持ち、パンドラという国から持ってきたことから「パンドラの鐘」と名付けられる。しかし、「パ ンドラの鐘」は古代王国の秘密と共に埋められてしまう。
そこから時が経ち、長崎で古代王国の秘密をひも解くオズらは隠された真実に気付く。決して覗いてはならなかった「パンドラの鐘」に記された王国滅亡の謎とは?
そして、古代の光の中に浮かび上がった<未来>のゆくえとは?

公演情報

パンドラの鐘

【東京公演】2021年4月14日(水)~5月4日(火) 東京芸術劇場 シアターイースト
※4月13日(火)にプレビュー公演あり
【びわ湖公演】5月9日(日) 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
【兵庫公演】5月13日(木)~5月15日(土) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【金沢公演】5月17日(月) 北國新聞赤羽ホール
【水戸公演】5月22日(土)5月23日(日) 水戸芸術館ACM劇場
【名古屋公演】5月25日(火) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

【作】野田秀樹
【演出】熊林弘高
【出演】
門脇麦 金子大地 松尾諭 柾木玲弥 木山廉彬 長南洸生 八条院蔵人 松下優也 緒川たまき

【公式サイト】https://www.geigeki.jp/performance/theater266/

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