2020年10月4日から東京建物 Blliria HALLでヴィレッヂプロデュース 2020 Series Another Style『浦島さん』『カチカチ山』が上演中。10月5日に福士蒼汰が主演を務める『浦島さん』のゲネプロと福士、宮野真守(『カチカチ山』主演)による囲み取材が行われ、本作への意気込みや見どころなどを語った。
劇団☆新感線公演はコロナ禍の煽りを受け、春と秋の公演が中止に。福士と宮野が出演を予定するいのうえ歌舞伎『神州無頼街』は2022年に上演延期が決定したが、この状況下でも、何かできることは無いかと試行錯誤する中、25年ほど前にいのうえひでのり演出で劇団☆新感線の劇団員・橋本じゅんと山本カナコが演じた狸と兎の二人芝居『カチカチ山』よりヒントを得て、密にならないキャスト、密にならないスタッフによる、“今ならでは”の二人・三人芝居への挑戦に至った。
演目は、太宰治の小説「お伽草紙」を原案に、「浦島太郎」ならぬ『浦島さん』と、かつての『カチカチ山』という今昔お伽ばなし、演出は劇団☆新感線のいのうえひでのりが手掛ける。そして、『浦島さん』の脚色は倉持裕が務め、『カチカチ山』の脚色は青木豪が担当。福士、宮野がそれぞれの物語の主演を務め、『浦島さん』には羽野晶紀、粟根まこと、『カチカチ山』には井上小百合が出演する。
囲み取材に登壇した福士は「舞台は2回目で、3人芝居ということで僕にとってすごいチャレンジングなことなんですけど、僕自身はすごく楽しんでやっています。舞台上にいるときは、“自分自身”でいられるなという感覚がすごく楽しいです」と笑顔で語る。
一方、10月4日に初日を迎えていた宮野は「二人芝居に挑戦できるのはなかなかない機会で、今までにないセリフ量と運動量だったりで体力的にキツいです(笑)。95分ですが濃縮なエンターテインメントが詰まっているので初日からすごく手応えがあったのでもっともっと面白くなるんじゃないかなとワクワクしています」と笑顔で語った。また、いのうえ歌舞伎『神州無頼街』が延期になったことについて「悔しさがありました」と語りつつ、「でもこの状況下で落ち込んで下を向いてしまうんじゃなくて、この状況の中で新たに作り出せるエンターテインメントがあるんだなと。ソーシャルディスタンス芝居というものを作っていただいたおかげで僕たちの可能性やエンタメの可能性が広がったような気がします」と前向きにコメント。
さらに、「オンラインでの配信も全公演あるので、皆さんにとっても演劇が身近なものになるというのは良いことだなと思います」と語り、福士もその言葉に頷いて同意し、「応援してくれる皆さんのおかげで自分たちが存在できることは、やはりうれしいことですよね。今日報道陣の皆さんがこうしてマイクを向けたり、質問してくださったりする時間も特別なものだと心から感じます。俳優をやっていてよかったなと思う瞬間でもあります」としみじみ語った。
それぞれの作品の見どころについて、宮野は「太宰の解釈が入った『カチカチ山』で、少し屈折しています。ある男が欲望にどう向き合うのかという深い心理も描かれているので、楽しんでもらえると思います」と語り、『浦島さん』に出演する福士は「今回の浦島は、かなりぶっ飛んでいて、エネルギッシュでなので、そのエネルギーに圧倒されて欲しいです。社会的なメッセージもこもっているので、それを感じながらエンタメとして笑っていただけたらうれしいです」とアピール。
そして最後に、福士は「こういった状況で舞台ができることを光栄に思います。今回は配信もありますし、配信を観ていただくことで『また生の舞台を観たい』と思える作品になっていると思うので、ぜひご覧ください!」とコメントし、宮野も「今回の公演は延期になった『神州無頼街』の代わりに立ち上がった企画ですが、決して苦肉の策ではなく、この状況だからこそ新たなエンタメが作れるんだなという可能性を感じました。劇場でもオンラインでも、たくさんの方々に僕らの本気を感じていただきたいです。応援よろしくお願いします!」とメッセージを送った。
ヴィレッヂプロデュース2020 Series Another Style『浦島さん』『カチカチ山』は、10月4日(日)から17日(土)にかけて東京建物Brillia HALLにて上演。全公演ライブ配信される。上演時間は『浦島さん』が80分(休憩なし)、『カチカチ山』が95分(休憩なし)だ。
(撮影:田中亜紀)