『あいまいばかりの世界』劇場で開幕、宇野結也「すごく大切な日だった」と決意新たに

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Flying Trip『あいまいばかりの世界』が、2020年6月24日(水)に東京・こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて開幕した。本作は、孤独死を遂げた元ヤクザを巡る物語。作・演出は春間伸一、出演は宇野結也、浜浦彩乃、佐伯亮、金井成大など。

(以下、物語のあらすじに触れています)

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新型コロナウイルスが蔓延する“2020年5月”。三ツ矢恭介(宇野)という元ヤクザの男が死んだ。誰にも看取られなかった孤独死。「あっけないもんですね」と、ベテラン刑事の皆川(横井伸明)と若手刑事の須藤(八巻貴紀)、そして新人の女性刑事・源(村田玲奈)は、新型コロナ対策をしながら現場検証に当たっていた。遺品について話していると、そこに一人の女が現れる。妹を騙った女は三ツ矢の遺品を持ち去った。

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遡ること3年。三ツ矢は花菱組の構成員だった。組では、会長(浅野彰一)が新会社の社長を、ナンバー2である高杉(金井)と三ツ矢に争わせようとしていた。弟分である丸山(佐伯)にもてはやされながらも、野心はないと三ツ矢は乗り気ではない。

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時を同じくして、不良グループ(大谷誠、嶋崎裕道、小山梨奈)と雪乃(浜浦)が揉めていた。詐欺をはたらいていたが、やめたがっている雪乃だが、説き伏せられ「次が最後」と再び悪事に手を染めることとなる。

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そんな中、三ツ矢の交際相手である飛鳥(藤本結衣)が勤務するクラブ、玲子ママ(竹本かすみ)が受け取るはずだった金がなくなり、花菱組会長の息子であるトオル(秋山皓郎)が襲われるという事件が起こる。双方のトラブルに巻き込まれていく三ツ矢。

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喧嘩に酒にギャンブルにとりつかれ、どうしようもないクズと言われた男。三ツ矢とはどんな人物だったのか。謎の女は、なぜ三ツ矢の遺品を持ち去ったのか・・・。

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劇場に、演劇が戻ってきた。同劇場では2月末より上演を中止していたため、約4ヶ月ぶりの開場だ。客席には1席ずつ空けて観客を迎えることになるが、それでもそこに“誰か”を目で見て感じられることは、舞台に立つ役者や舞台を支える作り手にとってどれだけ心強いことだろう。それは、客席に座るこちら側にとっても同じことだ。

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作品の中には、「ソーシャル・ディスタンス」「濃厚接触!」「フェイスガード着けて」「Zoom飲み」などと、“今”を反映したシーンが描かれる。SFみたいな話が、現実なのだと実感すると同時に、距離も時間も飛び越えて人々の繋がりの中に生まれる「何か」の存在に気づかされる。その「何か」は、とても“あいまい”なもの。肌で感じること、心の中に渦巻くものは、自分の目で観たからこそ生まれる不可侵領域なのだ。「劇場」という空間から久しぶりに足を踏み出しながら、そんなことを思った。

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カーテンコールで、「すごく大切な日だったと思います。お客さんがいてこそ、舞台は成り立つものなんだと痛感しました。まずは目の前にいるお客様を全力で楽しませていきたいと思います」と挨拶した宇野は、初の主演舞台が、初日直前で中止となる経験をしていた。

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浜浦は、「こぶしファクトリー」としてのアイドル活動の最後を、ファンと分かち合えなかった。自粛生活の中で表現することに対し葛藤していた佐伯は、本作への出演オファーをいの一番に快諾した。カーテンコールで客席を見渡す彼らの顔には、得も言われぬ表情が浮かんでいた。

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Flying Trip Vol.16『あいまいばかりの世界』は、6月30日(火)まで東京・こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて上演。上演時間は、約1時間50分を予定。

なお6月27日(土)18:00回では、THEATER LIVEにてライブ配信も行われる。アーカイブ視聴は配信終了の約2時間後から6月29日(月)23:59まで。

【公演情報】https://db.enterstage.jp/archives/3342

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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