KERA&緒川たまきの新ユニット「ケムリ研究室」オンライン会見でコロナ禍で向き合う舞台制作を語る

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ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と緒川たまきが新ユニット「ケムリ研究室」を結成し、2020年9月にユニット旗揚げ第一回新作公演『ベイジルタウンの女神』を上演する。5月末には、記者向けに“ユニット「ケムリ研究室」オンライン結成お披露目”が行われ、KERAと緒川から新ユニット立ち上げの経緯や、コンセプト、今後の構想などが語られた。

旗揚げ第1弾となる『ベイジルタウンの女神』は、ふとしたことから貧民街で暮らすことになった、俗世知らずの女社長を巡るコメディ作品。出演は、緒川のほか、仲村トオル、水野美紀、山内圭哉、吉岡里帆、松下洸平、尾方宣久、菅原永二、植本純米、温水洋一、犬山イヌコ、高田聖子など。

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オンライン会見で、緒川は2016年の『キネマと恋人』の初演時から二人で企画を立ち上げようという思いがあったことを明かし、「二人の中で“こんなことができたらいいな”といういくつかの貯金のようなものを、5~6年前から少しずつ温めてきました。今回、このようにたくさんの方にご協力いただいて、『ケムリ研究室』とちゃんと名前を打ち出すという作業は一昨年から始めました」と語った。

また、KERAは「緒川さんとは大抵の作品、特に人間ドラマ色の強いものはノンクレジットの作品でも何かと相談して、共同作業のように作品を作ってきたんです。今回が(初めて)公に二人で作るということになりますね。傍から見たら通常の公演と何が違うのか、ということになるかもしれないんですが、心持ちは結構違う。緒川さんは、通常だったら出演者の一人だけど今回はユニットの企画者なので」とこれまでの公演との違いを教えてくれた。

ユニット名は実験基地を想起させる“研究室”と、『シャープさんフラットさん』(2008年上演)のKERA自身を投影したキャラクター“辻煙”にちなんで名付けられたという。「どんな芝居をやるのかネーミングからイメージできない方が良いなと。“研究”なので、失敗したら次こそはと思えるし、『こんなこともやってみよう』『あんなこともやってみよう』ということに繋がるかなと思いました」とKERA。

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また、今後やっていきたいことについて、KERAは「とりあえず3公演くらいはどんどんやっていきたいんですが、そんな時期にコロナがやってきてしまいまして・・・。そもそもこの公演の時期に無事に公演が出来るのかという不安はありますが、とりあえず頭の中には3本くらいの構想はあります」と目標を語りつつ、コロナ禍にある今の状態に不安も抱いている様子。

緒川は、そんなKERAの作品について「劇作家としてのKERAさんについて、ご一緒するキャストの方から『群像劇は色んな人が出るから埋もれてしまいがちな人がいそうだけど、KERAさんの群像劇はほんの少ししか出ない役柄でも人物にとても愛が注がれているから、やっていておもしろいんだ』とよく言っていただくんです。KERAさん自身も『自分は群像劇が得意』とインタビューなどでおっしゃっているんですが、その一方で、短編や少人数のお芝居を自分で作るとなると二の足を踏むということがありまして・・・(笑)」と分析。

続けて、「私が初めてKERAさんと演劇で出会ったのは岸田國士作品のコラージュ作品でした。それは4人芝居の短編集だったんですが、KERAさんの、岸田國士さんという作家への愛情や尊敬が作品作りの中で芽生えていて(作品作りの中に息づいていて?表現ご相談です)、演出している時もイキイキしていたんですよね。だから、きっとご自分が生み出す作品でもそういうものが作れるのではと、私はずっと思っていたんです。この『ケムリ研究室』では、そういったことにもKERAさんに挑戦してほしいなと思っています」とこのユニットでの展望を明かした。

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今回の新作について、KERAは「1作目なので賑やかな方が良いかなと思い、ずっとやりたかったけどご一緒出来ていなかった方などに声をかけさせていただきました。楽しみなキャストさんが揃っているんです」と楽しそうに語り、「ずっと一緒にやりたかった高田聖子ちゃんもいるし、吉岡里帆ちゃんと松下洸平くんの若者二人も楽しみ。一緒に芝居をやるとなった時にどんな感じになるか分からないので期待と不安が入り混じっている部分もありますが、彼らと一緒にやることでおもしろいものになるんじゃないかなという予感がしています」と期待に胸を膨らませていた。

また、ここ数ヶ月は新型コロナウイルスの影響で数々の舞台が休演になる状況だったが、その中でKERAは「自分にしかできないこととか、この制約の中で何が出来るかをずっと考えてました」と明かす。さらに「夜中にいつも(緒川と)2人で散歩しながら話をするんですが、こういうことがなかったら落ち着いて考えられなかったことをいっぱい考えたし、こういう状況にならなきゃ見えなかったことがあるし、それはこれからの作品作りに良くも悪くも影響を及ぼすと思っています」と今後の作品作りへの影響を語った。

一方、緒川は「演劇を観られる状況になった時にどういう気持ちで席に座るのか、ひとつひとつのシーンや役者さんの白熱したお芝居をどう感じるのか、分からないなと思ったんです。今後いち観客としての感覚、作り手としての心構え、どちらもある意味流動的になっていくでしょうし、中々以前のように恵まれた形でというのは叶わないかもしれないということを頭に置いておきたいですね」と観客目線でも捉え、「稽古の時も、稽古の中に潜む思いや危険というものに常に思いを馳せないと誰かを傷つけかねないので、デリケートに対応しながら作品作りに臨みたいです」と、真摯に問題に向き合いながら舞台を作り上げていく姿勢を見せた。

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最後に、KERAは「今後状況がどうなるかわかりませんが、出来る限りのことはやっていきたいと思います。ぜひとも客席でお会いできることを楽しみにしております」、緒川は「上演時期には劇場でお芝居を観ることを楽しんでいただけるような状況になっていることを祈っております。なんとか形にして皆様にお届けできるようにがんばりますので、その時にはぜひ劇場に遊びに来てください」と演劇を待ち望む人々へメッセージを送った。

◆公演情報
ケムリ研究室 no.1『ベイジルタウンの女神』
2020年9月 東京公演
2020年10月 各地公演予定

【作・演出】ケラリーノ・サンドロヴィッチ
【振付】小野寺修二
【映像】上田大樹
【音楽】鈴木光介

【出演】
緒川たまき、仲村トオル、水野美紀、山内圭哉、吉岡里帆、松下洸平、望月綾乃、大場みなみ、斉藤悠、渡邊絵理、依田朋子、荒悠平、尾方宣久、菅原永二、植本純米、温水洋一、犬山イヌコ、高田聖子

【公式サイト】http://www.cubeinc.co.jp

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