範宙遊泳「むこう側の演劇宣言」リモート制作した『バナナの花』を無料公開

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演劇集団 範宙遊泳が「むこう側の演劇」プロジェクトを始動した。山本卓卓が脚本・演出を手掛ける範宙遊泳は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、4月に予定していた新作本公演を中止。その後も、関連公演が次々と中止・見送りとなり、“劇場を剥奪された演劇に、演劇は可能か”という問いに直面した今、オンライン上をも上演の「場」として捉え、本プロジェクトを始動するに至った。

第1弾では、完全リモートで制作した作品『バナナの花』(作・演出:山本卓卓、出演:埜本幸良、福原冠)を6月5日(金)20:00より無料公開。今後、続編の制作予定もしているとのこと。

また、上演の「場」となる範宙遊泳公式YouTubeチャンネルでは、現在11本の過去公演記録映像も無料公開されている。

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山本は「むこう側の演劇宣言」として、音楽界や映画界、出版界に起こった革命的な出来事に触れ、場の共有こそが演劇の根源的なアイデンティティと考えた上で、「私自身、脊髄反射的にオンライン演劇を行うということはできなかった。抵抗があったからである。この抵抗が解けるまでに熟考が必要であった。そして熟考の結論は、新たな演劇の形式を追求することに迷わないということであった。(中略)その場しのぎの、劇場公演が再開されるまでの”繋ぎ”としての活動でもない。それも断じてない。私たち範宙遊泳は劇場を剥奪されたとしてさえ、演劇を続けるという宣言である。また、劇場が再開されたとしても、オンライン上に劇場をつくりだすことをやめるつもりはない。という宣言である。なんだかいささかかしこまった文章になってしまいましたが、いつもの演劇、が戻ってくることを望んでいることに変わりはありません。演劇は一度死んだのです。でもこれから蘇ります」と語っている。

範宙遊泳が考える“むこう側の演劇”の条件(2020年5月時点)は、「生であるかどうかは重要ではない、言い換えれば“生でなくとも”演劇を追求しなければならない」「パフォーマーが観客を意識し、観客に見られている想像をしていること。例えばレンズの奥に客席がある。そして実際に、鑑賞者が存在すること」「時間の改変をアプリや編集ソフトを用いて行わない。つまり基本的に一本撮りでなければならない」「演劇的な想像力・身体の飛躍がなくてはならない。例えば屋外の芝生の上で撮影or配信を行う場合、芝生の上を家のリビングにするなどといった見立てが、映像の編集に頼って合成などで表現されるのではなく、あくまで人物や物の配置や俳優の想像力、演技・身体表現で見せることが思考されていなければならない」「その上で、例えば歌舞伎における書き割りのように合成が用いられる場合それは許容される」としている。

むこう側の演劇『バナナの花』#1は、6月5日(金)20:00公開。

【範宙遊泳公式サイト】https://www.hanchuyuei2017.com/
【公式YouTube】https://www.youtube.com/user/hanchuyuei

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