『罪のない嘘』ゲネプロレポート!佐藤B作、辰巳雄大、菅原りこらによる一つの嘘が巻き起こす抱腹絶倒の物語

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2020年1月9日(木)に三谷幸喜作「アパッチ砦の攻防」より『罪のない嘘』~毎日がエイプリルフール~が東京・ヒューリックホール東京にて開幕した。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、佐藤B作、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、小林麻耶、菅原りこ、あめくみちこ、鈴木杏樹、片岡鶴太郎などが登壇した。本作は、1996年に三谷幸喜が「劇団東京ヴォードヴィルショー」のために書き下ろしたシチュエーションコメディ。2008年に佐藤が自ら演出を手掛けて<アパッチ砦の攻防より『戸惑いの日曜日』>として蘇らせ、以降も同劇団を代表する名作として受け継がれて上演されてきた。

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9年半ぶりの上演となる本作の出演は、「劇団東京ヴォードヴィルショー」主宰の佐藤B作をはじめ、片岡鶴太郎、鈴木杏樹、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~/1月・2月公演出演)と室龍太(関西ジャニーズJr./3月公演出演)、小林麻耶、菅原りこ、あめくみちこ、黒田こらん、小林美江、山本ふじこ(Wキャスト)、星野園美(Wキャスト)、中西良太、まいど豊、佐渡稔ら個性豊かな顔ぶれが揃っており、日替わりゲストには石井愃ー、佐藤銀平、梅垣義明が登場。演出はモトイキシゲキが務める。

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キャスト一同が登壇し盛り上がった囲み会見で、佐藤は「笑いが起きなきゃ成立しないお芝居なので、にぎやかな劇場になると思います」と挨拶。「三谷くんの芝居は細かい台詞のやり取りで笑いを作り込むので、稽古が大事なんですが、かなり稽古がやれました」と自信を覗かせつつも、「本当に面倒くさい脚本を書くんですよ(笑)」と冗談を飛ばす一幕も。

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濃い出演者が揃ったことについて、片岡は「中華料理屋の床みたいなコッテコテな濃いメンバーで、スベるスベる(笑)」とコメントすると登壇者たちも爆笑。そんな出演者たちとの稽古を「稽古場は本当に楽しくて、笑いの絶えない良い稽古ができました」と振り返った。

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その濃い中にフレッシュさをもたらす辰巳は「皆さんの胸を借りて思いっきり飛び込んで、本の力と役者さんの力を信じて本番を思いっきり楽しみたいです」と意気込みを語った。ふぉ~ゆ~の活動が忙しいという辰巳は、佐藤から「ほとんど稽古に来ていないですよ。よくここに立っていられるな(笑)」と冗談交じりにツッコまれると、「稽古中は“辰巳のない嘘”でしたね(笑)」と答えて会場の笑いを誘った。

さらに、2022年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の脚本を務めることになった三谷に、「僕も大河に呼ばれるように気合いが入っています。三谷さん、よろしくお願いいたします!」と会見中に売り込みながらも、「稽古中も皆さんのお芝居からいろんなことを学びつつ、そこに三谷さんの本があって、今作は本当に財産になるなと思います。本番では何が起きるか分からないので、皆さんと一緒に楽しむというのを大事にしていきたいです」と気を引き締めた。

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辰巳の母親役を演じ、今作が初舞台となる小林麻耶は、記者からの「見た目はお母さんというより、お姉さんですね」との言葉に「まだお稽古が足りないですかね(笑)」とニコリ。本作の見どころについて、片岡の妻役となる鈴木は「アドリブなのか三谷さんの脚本なのか分からないぐらいに全部成立していて、そこが楽しいので“初大笑い”してください」とアピールした。そのコメントに佐藤は「俺はアドリブをしないです。三谷くんの脚本どおり」と反応。片岡も「私も脚本どおりです」と同調したが、登壇者たちからのツッコミで「ちょっとだけアドリブしています(笑)」と告白していた。

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辰巳の婚約者役を演じる菅原は2019年5月にNGT48を卒業したことを振り返り、「アイドルとして活動していたので、お芝居という形で舞台に携わることができたことが新鮮な気持ちです。なので、新鮮な気持ちで大人になった私をもっと皆さまに見ていただきたいです」と意気込むと、あめくは「私とB作さんの娘役なんですけど、ありえないかわいさなんですよ」と大絶賛した。

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物語は、高級マンション、フォートネス・アパッチの1室で、以前この部屋の持ち主だった鏑木(佐藤)が、テレビの修理屋を装ってやってくることから始まる。彼は妻子と別れ、今は愛人と暮らしているが、娘のちよみ(菅原)が婚約者の堤万次郎(辰巳)を連れてくることに。そこで、4日前まで住んでいたこのマンションで会うためにひと芝居=<嘘>をつくことを思いつく。

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ところが、今の居住者の鴨田巌(片岡)・まち子(鈴木)夫妻が留守の時間帯を調べて入りこんだはずなのに、次々に夫妻が帰宅してきてしまう。そのうえ、マンション自治会の副会長(まいど)とその妻(黒田)や不動産屋(中西)、鏑木の前妻(あめく)や愛人(小林美江)、ついには万次郎の父親(佐渡)と母親(小林麻耶)までが、入れ替わり立ち替わりやってきて・・・。

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たった一つの“嘘”を繕えば繕うほどに、登場人物たちの言葉と思いに掛け違いが生まれ、予想外の展開が巻き起こる。一幕目での登場人物たちによるセリフや行動が伏線となり、二幕目でその張り詰められた伏線の数々が次々と笑いに昇華されていくテンポと展開は抱腹絶倒間違いなし。三谷作品らしさが存分に楽しめる作品となっている。

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佐藤と片岡という両ベテランが息もつかせぬ笑いの連続と予測不能な展開で観客を魅了すれば、東京ヴォードヴィルショーの劇団員らを中心とした濃いキャストたちが笑いの応酬を繰りなす。加えて、辰巳と菅原によるフレッシュな笑いと“嘘”が物語にアクセントをもたらし、観る者をとことん笑いの渦に引き込んでいく。

囲み会見の最後には、辰巳が「劇場で2020年初大笑いをしに来てください!」と呼びかけ、登壇者たち全員による「よいしょー!」との掛け声で会見を締めた。軽演劇(ヴォードヴィル)らしい笑いと心温まる物語を贈る本作は、まさしく新春にふさわしい舞台だろう。

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三谷幸喜作「アパッチ砦の攻防」より『罪のない嘘』~毎日がエイプリルフール~は、以下の日程で上演。上演時間は約2時間45分(途中休憩20分を含)を予定。

【東京公演】1月9日(木)~1月19日(日) ヒューリックホール東京
【大坂公演】1月23日(木)~1月25日(土) クールジャパンパーク大阪WWホール
【広島公演】2月18日(火) JMSアステールプラザ 大ホール
【福岡公演】2月20日(木) 福岡市民会館
【北九州公演】2月22日(土) 北九州芸術劇場 大ホール
【愛知公演】3月27日(金)~3月29日(日) ウインクあいち

【公式サイト】https://www.tsuminonaiuso.com/
【公式Twitter】@tsuminonai_uso

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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