2020年1月10日(金)に東京・渋谷 CBGKシブゲキ!!で開幕する舞台『おとぎ裁判』第2審~戦慄の誘拐パレード ビッグマウスにご用心♪~。昨年9月に上演された第1審では、おとぎの国の奥深くにある「幻火(まほろび)の館」(=通称:Castle Torch“キャッスルトーチ”)の主で裁判官のアケチに判決を求め、「原告:オオカミ」と「被告:赤ずきん」という有名なおとぎ話の中で起こった“殺人事件”の真相に迫り、個性的な登場人物たちが暴き出す美しくも残酷なジャッジメントSHOWと手に汗握るストーリー展開で大きな話題を呼んだ。本格的な稽古のスタートを前に行われたキャスト&スタッフの顔合わせの模様をお届けする。
稽古に先立って行われた顔合わせには、キャスト、スタッフが勢ぞろい。演出を担当するのは、劇団ナイスコンプレックス主宰で本格文學朗読演劇『極上文學』シリーズ、舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』シリーズなどの演出を手掛けるキムラ真だ。
脚本はミュージカル『しゃばけ』シリーズ、本格文學朗読演劇『極上文學』シリーズの神楽澤小虎(MAG.net)、音楽は岩井俊二、椎名琴音との音楽ユニット「ヘクとパスカル」のメンバーとして活躍し、舞台『PERSONA3 the Weird Masquerade』シリーズなどを手掛ける桑原まこ、振付はダンスカンパニー梅棒のメンバーで俳優・ダンサーとして幅広く活躍する野田裕貴が前作に引き続き担当することに。
キャストも、古谷大和、芹沢尚哉、東 拓海、ロッキン=ヨーコの続投組に、新たに廣野凌大、横井翔二郎、碕 理人という個性的な俳優陣が加わり、現場には“さらなる混沌”の世界へと誘ってくれるであろう期待感に満ちていた。
まず、吉井敏久プロデューサーが「本作のコンセプトは“みんなで作っていく”です。遠慮なく、各自で役や世界観を膨らませておもしろいものに出来たらと考えています」と挨拶。
原作・脚本の神楽澤からは「今後の展開は皆さんのお芝居を見ながら変わっていくこともあると思います。例えば台本上では死んでしまうキャラクターが死なない設定になるかも・・・?皆さん次第で今後もストーリーに登場するように戻せる“余白”は残してあるので期待しています(笑)」という言葉があり、「登場人物の生死がみんなの腕にかかっているってことだね(笑)」という吉井Pのツッコミにキャストからは笑いが起こった。
続いて出演者の紹介に移り、弁護士・ロブ役の芹沢は「初演の時のロブは“裁判は最高のショーだ”という事を観客に伝える役どころで、それはこの作品がこだわっているテーマのひとつ。今作でもそこをどんどん盛り上げて伝えていけるように、そして第1審とは違った色のロブを出せるようにがんばります」とコメント。
キャッスルトーチの執事・ジュード役を演じる東は「ジュードも裁判というSHOWを誰よりも大切にしていて、それはすごく純粋なところからきているものがあると僕は思っています。純粋な僕が純粋なジュードを演じるということで、がんばっていきたいと思っています」とアピールした。
キャッスルトーチのメイド、メロディ役のロッキン=ヨーコは、「異物混入な感じがしていると思いますが、初めてのキャストの皆様よろしくお願いします(笑)。物語にいろいろ投げかけるような大事なメロディ役、今回も一生懸命取り組みますので、よろしくお願いいたします!」と意気込みたっぷり。
そして、『おとぎ裁判』初参加で、原告・アベル役を演じる廣野は台本を読んだ印象について「一番まともじゃないといけない役だと思ったのですが、本読みで皆さんの濃すぎるキャラクターを見て自分もそっちに参加したいなという気持ちもありつつ、今すごく葛藤しています(笑)」と笑顔を見せた。
検察官・ルータス役の横井は「これは文句ではなく感想なんですけど・・・」と前置きをした上で「何故、京都出身の人(碕)がいるのに、僕が京都弁のキャラを演じることになったのか疑問を持ちましたが(笑)。これもありがたい試練だと思っています。こんなにおもしろくて自由な作品にはなかなか出会えるものではないので、芝居を楽しみつつ京都弁の先生(碕)にも指導していただきつつ、がんばりたいと思います」と語った。
すっかり稽古場の雰囲気になじんでいる様子の碕が演じる被告人・笛吹き男のピートは、ロブ(芹沢)との絡みが多いそうで意思疎通が大事になる役どころだが、まさかの服装の趣味がシンクロしていた。「今日、稽古場に来て服を着替えたら色違いのお揃いになっていて、めっちゃ恥ずかしい!」と苦笑いの碕に、芹沢も「俺も恥ずかしいよ!」と絶叫。これには一同、大爆笑。気を取り直し、「恥ずかしいですけど、仲良くやっていきたいなと思います(笑)」と、芹沢と顔を見合わせ、笑顔で意気込みを語った。
最後に主演で裁判長のアケチ役、古谷大和は「オリジナル作品で、しかもキャストが7人しかいないという非常にアットホームな座組で芝居を出来る幸せを噛みしめています。作品を打ち出し第2弾につなげるのは簡単なことではないですし、それだけこの作品がお客様に愛され、カンパニーみんなの気持ちがひとつになってようやく実現出来るものだと思っています。その期待やプレッシャーをしっかり背負って、最後までしっかりとお客様の前に立てることを楽しみにしています」と力強く語った。
演出のキムラ真からは「プロデューサーの吉井さんとは“最高のショーパブを作る”、美術スタッフとは“もしも寺山修司がメルヘンを設定としてショーを作るとしたら、どんな感じになるか”というコンセプトで打ち合わせをしました。今、こんなに楽しい稽古場はないなと思っていますし、改めて本作に出演する役者陣の素晴らしさを感じています。僕は役者が大好きで、役者を守るのが僕の仕事だと思っています。ガタイでかくて強面ですが、誰よりもピュアでみんなのことを信じています。一緒に素敵な作品にしましょう!」と愛に溢れた言葉でキャスト陣のハートをがっちりと掴んでいた。
その上で、「僕は小虎さんの台本を絶対的に信じているし作品に対する愛情も感じています。皆さんにもその想いに応えてほしいし、せっかく小虎さんとディスカッションできる環境にあるのだからその機会をフルに生かして、少しでも疑問に感じることや分からないことがあれば自己解決せずに直接質問をぶつけて、そのうえで先ほど吉井プロデューサーがおっしゃった“キャラクターとして、存分にこの作品を楽しむ”ことをしてほしいです」と語っていたのが印象的だった。
“おとぎ話”という昔から親しまれてきた物語を題材に、現代に生きる人々の心の闇に迫る法廷劇として描くエンターテイメントショー。新作公演で裁かれるおとぎの国の住人は、いったい誰なのか――その幕開けを楽しみに待ちたい。
『おとぎ裁判』第2審は、2020年1月10日(金)から1月19日(日)まで東京・渋谷 CBGKシブゲキ!!にて上演される。なお、下記の日程ではアフタートークの実施を予定。
◆アフタートーク
1月10日(金)19:00公演 髙﨑俊吾
1月11日(土)13:00公演/18:00公演 石田 隼
1月14日(火)19:00公演 前川優希
1月15日(水)14:00公演 深澤大河
1月15日(水)19:00公演 齋藤健心
1月16日(木)19:00公演 杉江大志
1月17日(金)19:00公演 加藤良輔
【公式サイト】https://www.clie.asia/otogi2/
【公式Twitter】@castletorch
(C)2019 CLIE/Mr.AUTHOR
(取材・文・撮影/近藤明子)