飯塚健による会場一体型 新感覚エンターテインメント『コントと音楽』とは

当ページには広告が含まれています

2019年12月6日(金)に神奈川・横浜赤レンガ倉庫内のライブレストラン「モーション・ブルー・ヨコハマ」にて、コントと音楽 vol.01『振り返れない。』が開幕した。事前に、同会場では合同取材が開催され、演出・脚本の飯塚健と、出演の関めぐみ、加村真美、日高七海が登壇し、作品について語った。

ライブレストランを舞台に繰り広げられる新しいエンターテインメントの形を目指す本作。いわゆる“演劇”というスタイルではなく、客席の一部を小さな舞台装置として出演者たちが何本かのコントを披露し、その合間にステージ上ではモーション・ブルー・ヨコハマの普段のスタイルでバンドがコントの内容と連動して演奏するという内容となっている。

脚本・演出を担当するのは、『荒川アンダー ザ ブリッジ』シリーズをはじめ数々のヒット映画・ドラマを手がけてきた映画監督・脚本家の飯塚。キャストには、関、加村、日高のほかに、中別府葵、三浦俊輔、山田瑠々、久具巨林、平田貴之、市原朋彦、福田航也が名を連ね、音楽プロデュースを映画『北の桜守』で日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した海田庄吾、衣裳をファッション・スタイリストとして数々の映画衣裳を担当してきた白石敦子が務める。

物語の舞台は2019年師走の横浜のとあるライブレストラン。ふと耳に入ってくる、気になる会話がすべてのはじまり。「ヤバい。向こうの席に、元カレがいる!」「お父さんとご飯食べれるの、もう最後かもしれない」などなど・・・。たまたま入ったレストランで隣の席の会話が気になったりしたこと、誰でもあるはず。そんな思わず「きき耳立てました」的なシチュエーションを主軸に繰り広げられる、元カレも元カノも家族も友達も入り乱れてのコントの連続。そしてそこに寄り添う煌びやかなメロディとリズム。まさにザッツ・きき耳&盗み聞きエンターテインメント・ショーが開幕する!

店内全体が舞台となり、演者は生きたレストランという環境の中でコントを演じ、時に演者が客席からステージへ登り歌い、時に踊るという前代未聞のバラエティー・ショーとなる本作。その開催に至った経緯を、飯塚は「最初に食事をして、お酒を飲んで、ライブを見て、また歓談の時間があって、またライブを見て帰るというライブレストランならではの時間の流れ方から、コントのほうが演劇よりも見やすいですし、オチとして役者がそのままステージに流れていって、そこにはミュージシャンがいて生の音楽がかかるというのが、おもしろいと思ったんです」と振り返る。

013630_2.jpg

“vol.01”と銘打ち、すでにモーション・ブルー・ヨコハマでの続編上演も決まっているという点に、飯塚は「正気かよって思いますよね(笑)。ありがたいことです」と笑うと、ブルーノート東京のプランニングサポートによるスタイリッシュなライブレストランを舞台とすることに対して、「まずカッコイイですよね。ここでコントをやるというバカバカしさに『ハァ?』と言われる感じですが(笑)。ヨコハマに観に来てくださいというのはハードルが高いとは思うんですけど、だからこそ特別感も同じくらいあると思います。見せる側もハードルも上がりますが、他にはない空間です」とアピールした。

数々の作品の中で音楽というものに重要な役割を持たせてきた飯塚は、本作の音楽要素に関して「今の歌よりも、もっと前の昭和キャバレーみたいなものができたらと思っています。あの当時の曲って、逆に今聴いたほうが心を打たれるものが多くて、そういう曲をアレンジするとおもしろそうかなと。生ならでは、この空間ならではと思います」と解説。

続けて、長年ともに映像作品を手がけてきた海田と白石に「90年代の歌を昭和のアレンジにするんだったらずっとコンビを組んできた海田さん(海田庄吾)じゃないとやれないかなと思っています。衣裳も、コントとステージ上では変更しないので、それを網羅できるスタイリングを一緒に作るとしたら白石しかいないと思っています」と信頼を寄せ、チャレンジングな企画なので、チャレンジングなキャスティングをしたというキャストについても「お酒を飲みながら、料理を食べながら観るものは全然違うと思うので、決まりきったことじゃないキャスティングをしたかったんです」と思いを明かした。

013630_5.jpg

飯塚作品への出演が約12年ぶりとなる関は、「モーション・ブルー・ヨコハマのファン、音楽を聴きたい人、お食事が気になってデートしたいなと来てくださる方もいると思うので、このお芝居だから観たいという人たちではなくても楽しめるようなものを提供したいです」と意気込み、本作の魅力を「同じテーブルの同じ時間という軸がすごく面白いですし、身構えずにお酒を飲みながら、お食事しながらというコンセプトにおもしろさを感じています」と語った。

013630_4.jpg

現在、テレビ神奈川『関内デビル』MCレギュラーを務めている加村は「個人的に横浜でお仕事ができるのはうれしくて、いい機会を頂いたなと感じています」と喜びを露わにし、「お酒を飲みながらお芝居を観られるということはなかなかないですし、やっぱり好きな役者さんを間近な距離で見られるというのが魅力です」とアピール。

013630_3.jpg

飯塚の劇場最新作にも出演する日高は「飯塚さんの現場は映画なのにライブ感を大事にする現場で、何をやらされるんだろうというのがあるので、今回の企画を聴いた時にピッタリだなと思いました」と話すと、「堂々と、きき耳&盗み聞きができるというのがおもしろいです。“きき耳&盗み聞きエンターテインメント”なんて言葉は聞いたことないですよね」と笑顔を見せた。

稽古について質問されると、飯塚は「今回は作り方が特殊で、脚本を渡してお願いしますというやり方はしていなくて、何も決まっていないのに稽古場に集まって、こういうシチュエーションで何かやってみてとやっているんですよ」と明かし、キャストたちも悪戦苦闘しているという稽古方法について「出来上がったコントを活字にして渡すと途端に演劇に寄っていっちゃう。そこのせめぎ合いが観客と近い距離で演じるからこそあると思うんですよ。そういう環境でどんなことが聴こえてきたら面白いか。それをコントとして、なおかつ最後に音楽をかけてオチをつけるか。ライブで作っていると言いますか、それはすごくセッションだなと思いますね」と説明した。

最後に飯塚は、「コントが始まる前の食事も楽しんでほしいので、一つ一つのコントに準じた食事やお酒についてもアイデアを出せていただいています。12月にヨコハマに来てくださるわけですから、美味しく食べて飲んで、気楽に見られるコントがあって、酔っ払ったもん勝ちな気がしますね(笑)」と笑顔で呼びかけた。

コントと音楽 vol.01『振り返れない。』は、12月6日(金)から12月8日(日)まで神奈川・横浜赤レンガ倉庫内のライブレストラン モーション・ブルー・ヨコハマにて上演。

【詳細】http://www.motionblue.co.jp/artists/conte-to-ongaku/

(取材・文/櫻井宏充 舞台写真/オフィシャル提供)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

目次